表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スライムスライム へなちょこ魔物使い  作者: 銀騎士
鉱山 採掘編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

156/302

156 再び奴隷屋へ②


「あのう……お客様はどの様な女性が好みなのでしょうか?」 


「う~ん、好みっていうより希少な能力を持ってる奴隷がいたら考えるかもね。あと、買うと決めてるのは子供の奴隷だね」


「えっ!? お、お客様はそのご年齢でロリの趣味がおありなのですか!?」


 ススララは雷に打たれたように顔色を変えた。


「い、いや、そうじゃなくて男女は関係ないんだよ」


「りょ、両刀なのですか……」


 ススララはガツンと頭に衝撃を受けたような顔をした。


「いやだから違うって!! 独り立ちできるまで預かるだけだよ」


 だが、ススララは受けた衝撃が大きすぎてシルルンの言葉など聞いてはおらず、リストを凝視している。


「やはり、お買い得奴隷に子供はいないようです。ですが一般奴隷になら子供の奴隷も多数いると思います」


「ふ~ん、一番小さい子は何歳ぐらいなの?」


「最年少は5歳ですね。種族は人族、獣人族、亜人族になりますね」


「えっ!? 人族もいるのかよ!?」 


 シルルンは驚きのあまりに血相を変える。


「当然、いますよ。人族の子供は親が死ねば基本的には教会や孤児院に引き取られますが、死んだ親に借金がある場合、借金返済のために奴隷として売られる場合もあるのです。もっといえばお金に困って子供を売る親もいるんです」


「ぐっ、言われたら当たり前の話なのになんで気づかなかったんだ……」


 シルルンは苦虫を噛み潰したような顔を浮かべている。


「……で、では獣人族か亜人族の子供にいたしますか?」


 何か違和感を感じたススララは躊躇いがちに言った。


「ううん、人族も含めて5歳の子供は何人いるの?」


「少々お待ち下さい……50人になりますね」


「全員買うよ」


「りょ、両刀な上に絶倫なんですね……」


 目を大きく見張ったススララは思わず呟き、その呟きが聞こえていたシルルンは呆れて何も返さなかった。


「で、6歳から10歳ぐらいまでは何人いる?」


「お、お待ち下さい……110人ですね。ですがこれは朝から1人も買われていない場合になりますね」


「じゃあ、5歳から10歳まで全員買うよ」


「あ、ありがとうございます。子供の奴隷の場合、有用な能力を所持しているケースは少ないので1人あたりのお値段は100万円ほどになりますね」


「うん、分かったよ」


「あの……先ほどもお伝えしましたが1人あたり100万円で160人になると最低でも1億6000万円になるんですが……」


 ススララの顔に戸惑うような表情が浮かんでいる。


「あはは、そのぐらいの計算はできるよ。でも不安そうだから先に会計を済ませるよ。場所はどこ?」


「は、はい。こちらです」


 シルルンはススララに先導されてついて行く。


「こちらでご精算下さい」


 カウンターの女性がにっこり笑っているが、ススララが話しかけると慌しく何かを調べだした。


「子供の奴隷は1人も売れていないようで160人いますがお値段のほうは1億7000万円になりますね。これは有用な能力を所持している奴隷が何人かいたからです。その奴隷のリストを見ますか?」


「いや、いいよ。リストはまとめてくれたらそれでいい」


 シルルンは魔法の袋から金貨袋を大量に出して支払いを済ませた。


「それでは私は子供の奴隷を連れてきますね」


 そういってススララは部屋から出て行った。


 残されたシルルンがしばらく待っているとメイとセーナがやってきた。


「ご主人様、『アイテム鑑定』を持つ奴隷は多数いましたがその奴隷達に交渉をもちかけると最終的には解放してくれるなら『アイテム鑑定』は無料で差し出すという返事が多数を占めました。ですので、その中で『アイテム鑑定』『アイテム解析』『解析』の3人に絞りましたがいかがでしょうか?」


「えっ、そうなんだ。じゃあ、その3人でお願いするよ」


「分かりました。それではここに連れてきますね」


 セーナは軽く一礼して部屋から出て行った。


「シルルン様、私は『人物解析』で多数の奴隷を視てきました。その中で戦闘職の『剛力』という能力が攻撃力が2倍になるので有用だと思いました」


 そう話したメイの体がグラッと傾き、慌ててシルルンは『念力』でメイを支えて、プニに「ファテーグの魔法でメイを回復してくれ」と思念で言った。


「ファテーグデシ!」


 プニがファテーグの魔法を唱えて、メイのスタミナが全快し、メイの瞳に活力が戻った。


「……も、申し訳ありません」


 メイは深々と頭を下げた。


「あはは、気にすることないよ……解析系の能力は消耗が激しいからね」


「は、はい……ありがとうございます」


「で、『剛力』は確かに有用な能力だけどいらないよ。他には何かなかったの?」


「あとは一般職の能力で『技巧』というものがありました。これは技術力が2倍になるという能力です」


「へぇ、そんな能力もあるんだ」


 だが、シルルンは微妙な顔をした。


 人族でいうところの生産者のような作り手がペット達には皆無だからだ。


 しかし、『技巧』は技術力が2倍になることで生産者達には有名な能力だが、戦闘職の者が所持した場合、武具の扱いの技術力も2倍になることはほとんど知られていなかった。


「『技巧』もいらないでしょうか?」


「ううん、買うから連れてきてよ」


「分かりました」


 メイは嬉しそうな表情を浮かべて部屋から出て行った。


 こうしてシルルンは子供の奴隷160人と『アイテム鑑定』『アイテム解析』『解析』『技巧』を所持する奴隷を買ったのだった。


 『アイテム鑑定』を所持する奴隷の値段は5000万円

 『アイテム解析』を所持する奴隷の値段は1億1000万円

 『解析』を所持する奴隷の値段は2億3000万円

 『技巧』を所持する奴隷の値段は5000万円 


 

 奴隷達を引き連れたシルルン達は店の外に出た。


「じゃあ、君達の奴隷契約を解除するよ」


 シルルンは4人の奴隷達に向かって言うと同時に「姿を消して『アイテム鑑定』『アイテム解析』『解析』『技巧』だけを奪え」とプニに思念で命令した。


 頷いたプニはインビシブルの魔法で姿を消して奴隷達の背後に回ってそっとタッチして『略奪譲渡』で全ての能力を奪ってから、指定された能力以外を戻してシルルンの肩に戻ってインビシブルの魔法を解除した。


「あ、ありがとうございます」


「いや、礼をいうのはこっちだよ。有用な能力をありがとう。君達の奴隷契約を解除する」


 シルルンはそう言いながらプニの頭を優しく撫でた。


 プニはとても嬉しそうだ。


 シルルンと4人の奴隷達の胸から奴隷証書が出てきて四散して消え去った。


「これで君達は自由の身だよ」


「ありがとうございます。能力の譲渡はどの様になさるのですか?」


 自由の身になった4人の者達の1人が探るような眼差しをシルルンに向けた。


「もう使えないと思うから気にしないでいいよ」


「えっ!?」


「本当だ!?」


「使用できなくなってるわ!!」


「い、いつの間に!?」


 自由の身になった4人は驚愕している。


「君達は奴隷から解放されて自由の身になったけど、身分的には難民と一緒だから関所に行ってから職を探さないといけないのは知ってるよね?」


「はい、もちろんです」


「うん、どうしても仕事が見つけられなかったら第四区画にあるスライム屋を訪ねてくれたらいいよ。日に一食という契約で雑用で雇うから」


「日に一食ですか……」


「それはあまりにも酷いんじゃないでしょうか……」


 4人は不満そうな顔をした。


「まぁ、仕事をみつけられなかった場合の保険だと思ってくれたらいいよ……けど、国外にいる難民達はその内容でも群がってくるんだよね」


「そ、それは……」


「そんなに酷い状況なのですか……」


 4人は表情を強張らせて押し黙ってしまう。


 レアな能力を所持していた彼らは奴隷に落ちる前までは裕福な生活をしており、国外にいる奴隷の状況や下々の者達の生活水準などは知らないのである。


「だからこれは餞別だよ」


 シルルンは魔法の袋から金貨袋を取り出して金貨を10枚ずつ渡したのだった。


「あ、ありがとうございます!!」


 4人は感激して深々と頭を下げた。


「うん、頑張って仕事を探してね」


「はい!! それでは失礼します!!」


 4人はシルルンに向かってもう一度深々と頭を下げた後、長い階段を下りて行った。


「じゃあ、皆は集まってね」


「は~いっ!!」


 子供達は元気一杯に返事を返してシルルンの元に集まった。


 当初、子供の奴隷達はシルルンを見て激しく怯えていたのだ。


 だが、シルルンが魔法の袋から食べ物を大量に取り出して地面に置き、「好きなだけ食べてもいいよ」と言ったので、子供の奴隷達は食べ物に群がり満腹になって安心しているのだ。

 

 それと同時にシルルンは「キュアの魔法で門番2人を治してくれ」と思念でプニに命令する。


「キュアボールデシ!!」

「キュアボールデシ!!」


 2つの緑色に光り輝く玉が門番2人に直撃して石化は治り、それを確認したシルルンは『瞬間移動』で掻き消える。


「ガキはどこいった!?」


「あ、あれっ!?」


 石化が治った門番2人は戸惑いながら辺りを見回すが誰もおらず、呆然と立ち尽くしたのだった。

面白いと思った方はブックマークや評価をよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ランキングに参加しています。 リンクをクリックしてもらえるとやる気が出ます。 小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ