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スライムスライム へなちょこ魔物使い  作者: 銀騎士
鉱山 採掘編

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153 新たに加わったペット達の紹介


 プル達が戻ったことにより、マジクリーン王国に行く必要がなくなったシルルンは新しく加わったペット達を仲間達に紹介しようと洞穴の前にペット達を集めたが、洞穴の出入り口が小さ過ぎて龍族であるルアン達は入れなかった。


「う~ん……どうしたものかな……」


 シルルンは腕を組んで逡巡する。


「やっぱり、雨風が凌げる寝床はほしいよね……」


 逡巡した結果シルルンは、ゴーレム達を思念で呼んで採取ギルドの横に建物を作り始める。


 縦横の長さが200メートル、高さが30メートルもある巨大な建物だ。材料である地面の土をそのまま使ったので巨大な地下の空間ができたが、坂道を作ってこの地下の部屋にも移動できるようにした。


「入り口の扉はどうしようかな……」


 シルルンは部屋の中から入り口を見ていたが、結局、そのままにした。


 入り口は25メートルほどもあり、その様な巨大な扉を作るのは大変だからだ。


 シルルンは部屋の一番奥に転移の魔法陣を敷いた。


「皆はここで待機しててね」


 シルルンはそう言うとゴーレム達を引き連れて、転移の魔法陣を踏んだ。


 トーナの街に移動したシルルンは転移の魔法陣を回収して、魔法の袋の中に入れて建物から外に出た。


「じゃあ、さっきと同じ建物をここにも作ってよ」


 ゴーレム達は頷いて元々あった建物を一瞬で変形させて、凄まじい速さで地面の土を石に変えながら建物を作っていく。


 しばらくすると建物は完成してシルルンは建物の中に入り、一番奥に転移の魔法陣を敷いて地下の部屋へと続く長い坂道を下りていく。


 地下の部屋の高さは50メートルほどもあるのだ。


「ここから通路を作りたいからこれぐらいの高さと幅で穴を掘って進んでよ」


 シルルンは高さと幅を20メートルほどに指定して東側の壁を指差した。


 頷いたゴーレム達は凄まじい速さで穴を掘りながら通路を石に変えて突き進んでいく。


「じゃあ、任せたよ」


 シルルンは地下の坂道を上がっていき、部屋の一番奥に転移の魔法陣を敷いた。


 これにより、再びトーナの街と鉱山の拠点が繋がったのだ。


 シルルンは建物の外に出て東の方角に歩いていく。


 前に訪れた時にはシルルンがゴーレム達に作らせた数件の建物しかなかったが、今では数多くの建物が建てられており、人々が行き交っていた。


「どこに行くデスか?」


「道を挟んだ先にある僕ちゃんの土地に行くんだよ」


 東側の防壁に到着したシルルンは跳躍して防壁の上に上がって跳び下りて、道を挟んだ先にある防壁に向かって歩いていく。


 すぐに防壁に到着したシルルンは再び防壁を越えて右側の土地に下りた。


「ペット達にはここに住んでもらおうかな」


 右側の土地は何もしていないので防壁しかないのだ。


 シルルンは『魔物探知』で地下を掘り進むゴーレム達の位置を探るとすでに右側の土地まで掘り進んでいた。


「そこから真上に上がってきてよ」


 シルルンがゴーレム達に思念で伝えると、ゴーレム達が地上に上がってきた。


 位置的には右側の土地の南側だ。


「じゃあ、ここにも同じ建物を作ってよ」


 ゴーレム達は頷き、地面の土を石に変えながら建物を作っていく。


 さすがに三度目ともなると作業速度が格段に向上して建物はすぐに完成した。


 これにより、右側の土地と左側の土地が地下の通路で繋がったのだ。


「あはは、これでペット達は鉱山の拠点で狩りをして、ここに戻ってくることができるようになったよ」


 シルルンは満面の笑みを浮かべながら、魔法の袋から大量の鉄の塊を取り出してゴーレム達に渡した。


 ゴーレム達はとても嬉しそうだ。


「……ここの土はサラサラだけど育つかな」


 シルルンは魔法の袋から種袋を取り出して、赤い種をサラサラの土に埋めた。


 するとみるみる内に木が育って赤い実が実った。


「すげぇ!! どんな土でも木が生えるって言ってたけど本当だったよ」


 プルとプニは意味が分からず、目をぱちくりさせている。


「とりあえず、他の種類の種も埋めとこうかな」


「やるデス!! やるデス!!」


「デシデシ!!」


「あはは、じゃあ埋めてみたらいいよ」


 シルルンはプルとプニに種を一粒ずつ渡した。


 プルとプニは『触手』で土に穴を掘って種を埋め、じーっと見つめている。


 すぐに木は生えて3メートルほどの高さまで成長して実を実らせた。


「すごいデス!! どんどん伸びていくデス!! この木はプルの木デス!!」


「こっちはプニの木デシ!!」


 プルとプニは目を輝かせて木を見つめている。


「これでも生えるかな?」


 シルルンは紫色の種を指で弾き、種が土の上に落ちた。


 それでも種は発芽して木は成長したのだった。


「まぁ、これで食料にもなるし鉱山で戦って傷を負っても果物を食べれば回復できるよね」 


 満足したシルルンはラーネの『瞬間移動』で待機させていたルアン達の前に出現する。


「もうちょっと待っててね」


 シルルンはルアン達にそういって部屋から出て行き、洞穴の中に入って食堂に移動した。


 メイとセーナは目を見張り、シルルンの肩にプルとプニがのっているのを視認してさらに驚きの表情を浮かべている。


「今いる仲間達だけでいいからここに呼んでほしいんだよね」


「……分かりました」


 メイとセーナは二手に分かれて仲間達を呼びに行った。


 しばらくすると仲間達全員が集まったのだった。


「見て分かると思うけどプル達が自力で戻ってきたからマジクリーン王国に行く必要がなくなったんだよね」


「……スライムアクアはどうするのよ? 元々、スライムアクアをペットにするために上層に行ったんでしょ?」


「まぁ、そうなんだけどスライムアクアは自我意識があるから無理矢理にはテイムできないんだよね」


「じゃあ、諦めるの?」


「う~ん、時間をおいてからもう一度行ってはみるけどね。いずれにせよ、ここの問題が全部片付いた後になると思うよ」


「……」 


 仲間達は無言で頷いた。


「じゃあ、新たに加わったペット達を紹介するからついて来てよ」


 シルルンは踵を返して歩いて行き、仲間達も後に続いてシルルン達は洞穴から外に出た。


「なっ!?」


 巨大過ぎる建物が視界に入った仲間達の顔が驚愕に染まる。


「あはは、あれがペット達の寝床なんだよね」


 ペット達の寝床に到着したシルルン達は中に入っていき、部屋の奥でルアン達が首を長くして待っていた。


「じゃあ、ペット達を紹介するよ。まずは人族語が話せるドラゴンのルアンから」


「俺は絶対に勝てないと思っていたエルダー ハイ ドラゴンに勝利した主に仕えたいと思って配下になった。何度ももうダメだと思ったがその度に主は覆してみせた。あの戦いは俺の心が震えたぜ」


「なっ!? 私達なしで龍族のエルダーに勝ったの!? それも上位種のエルダーに!?」


 ラーネは驚き過ぎてプニの口の中から跳び出てシルルンに詰め寄った。


「あはは、まぁ、なんとか勝つことができたよ」


 その言葉にラーネは身体をわなわなと震わせながら信じられないというような表情を浮かべている。


「エルダーって何なのよ? エンシェントより強いの?」


 仲間達は困惑した表情を浮かべている。


「フフッ……その種の中ではエンシェントが最強なのは変わらないわよ。エルダーは古を生き抜いた高レベルの個体のことよ。だけど、龍族の上位種のエルダーなのよ……」


「その通りだ。俺達、龍族の上位種のエルダーなら他の種のエンシェントを屠ることは容易いだろうな」


「なっ!?」


 驚愕した仲間達の視線がシルルンに集中するが、シルルンは全く意に介さなかった。


「次はハイ ペガサスのヤミだね」


「私は魔物使いのマスターは危なくなるとペットを囮にして逃げるものと思っていたのよ。だけどマスターは逆でエルダー ハイ ドラゴンが現れたとき、身を挺してペット達を護ったのよ。そんなマスターだから私はペットになったのよ」


「……」


「……シルルン様。エルダー ハイ ドラゴンは具体的にどれほど強かったのですか?」


 ヤミの言葉を無言で仲間達は聞いていたが、険しい表情を浮かべたゼフドがシルルンに問いかけ、仲間達の視線がシルルンに集中する。


「……攻撃力3万超えの化け物だよ」


「さ、3万っ!?」


 仲間達は驚愕して身じろぎもしない。


「そ、そんな化け物にどうやって勝ったのよ!!」


 リザの声は最早、悲鳴に近かった。


「……さっきも言ったが何度も負けると俺は思った。『魔物融合』で勝機はあったが時間切れ、金色の結界から退魔の結界で勝てるはずがテレポートの魔法で逃げられた。だが、主は最後の最後で覚醒して力ずくでねじ伏せたんだ」


「なっ!?」


「……そりゃすげぇや!!」


「さすが私の主!!」 


 ほとんどの者達は絶句して言葉を発せなかったが、バーンはどこか遠くを見つめて口から涎を垂れ流し、ロシェールは顔を紅潮させて恍惚な表情を浮かべている。


「ん~、まだ言ってなかったけどヤミには下位種の子供がいて、こっちの黒と白の下位種は僕ちゃんのペットなんだよね」


「あは、あの黒いペガサスは可愛いですね。私の相棒になってくれるでしょうか?」


 黒と白のレッサー ペガサスはペーガとじゃれあって遊んでおり、それを見たアキの目は釘付けだった。


「う~ん、基本的には何年もかけて口説くみたいだけどね」


「そうなんですね!! ペガサス種は何が好みなんですか!?」


「果物が好きで肉は嫌いらしいよ」


「ありがとうございます!! あとで店で果物をたくさん買ってみます!!」


 アキは弾けるような笑顔を見せた。


「あはは、頑張ってみるといいよ。次はスライムダイヤモンドのダイヤだね」


 名前を呼ばれたダイヤは、プニの口の中から出てきてシルルンの掌の上に跳び乗った。


「俺はいろいろあって今はスライムをやっている。まぁ、よろしく頼むぜ」


「わぁ~!! やっぱり、すごく綺麗ですね!!」


「宝石みたいっ!!」


 ラフィーネはダイヤに近づいてマジマジと見つめており、女達の大半がその美しさに心を奪われた。


「次はレッサー スタッグ ビートルのシーラ。シーラは僕ちゃんのペットじゃないけど人族語が解かるんだよ」


「えっ!? マスターのペットじゃないのに人族語が解かるんですか?」


 ブラが怪訝な表情を浮かべている。


「信じられないと思うけどシーラは元人族でレッサー スタッグ ビートルに転生したんだよね」


「えっ!?」


 仲間達は面食らった表情を浮かべている。


「喋れませんが皆さんよろしくお願いしますぅ!!」


「あはは、シーラが喋れないけどよろしくって言ってるよ」


「……」


 仲間達は絶句して何も返せなかった。


「次はスライムアースのザラとラビットボールのうさポンだよ」


 名前を呼ばれたザラがプニの口の中から出てきて、ダイヤがプニの口の中に戻り、ザラがシルルンの掌の上に跳び乗った。


 うさポンはシルルンの首の後ろに隠れながら仲間達をじーっと見つめている。


「嘘っ!? この子兎なのっ!?」


「し、信じられない可愛さだわ……」


「……ヌイグルミみたいね」


「もしかしてうさポンちゃんもミニシリーズなのかしら!?」


 女達は熱い視線をうさポンに向けているが、ラフィーネだけはザラを凝視していた。


「うさポンはミニシリーズじゃないよ。あとビビリだから触ったりしたら嫌がるからダメだよ」


 その言葉に女達はすごく残念そうな顔をしたのだった。


「次はハイ ワイバーン。赤いほうがローズで青いほうがアクエリアスだよ」


「……ずっと赤いワイバーンが気になってたのよ。ローズ……シルルンがつけたにしては良い名前じゃない」


 リザの目はローズに釘付けだ。


「僕ちゃんはケチャップも良いと思ったんだけどね」


「却下よ!!」


 リザとローズが声を揃えて言ったが、ローズの声は思念なので仲間達には聞こえなかった。


「私はリザ。よろしくねローズ」


「あはは、リザは【竜騎士】なんだよね。だからローズが気になっているんだよ」


 シルルンは思念でローズに言った。


「ふ~ん……覚えておくわ」


「ローズが覚えておくって言ってるよ」


 リザは満足そうに頷いた。


「次はハイ スタッグ ビートルのカティンとキル。そしてスタッグ ビートル約200匹だよ」


「……ハイ スタッグ ビートル2匹だけでも異常なのに、スタッグ ビートル約200匹ってあんたどこまで狂ってるのよ」


 リザは呆れ返っているが、他の者達は羨望の眼差しでシルルンを見つめている。 

 

「あはは、虫系の中でスタッグ ビートル種はトップクラスに強いから欲張っちゃったんだよね。それで次はハイ アメーバのターコイズと約50匹のアメーバだよ」


 アメーバ達は一斉に体を縦長にしたり平べったくするのを繰り返している。


「あの動きは何なんでしょうか……?」


 仲間達は唖然としてアメーバ達を見つめている。


「次はミニ グリフォンのフィンとレッサー グリフォンのグリーとグララだよ」


「なっ!? 5匹目のミニシリーズですか!?」


「グリフォンのミニ シリーズだと強くなるでしょうね」


「やっぱり、ミニ シリーズは小さいから可愛いですね」


 仲間達は期待に満ちた目でフィンを見つめている。


「まぁ、これで新たにペットになった個体の紹介は終わりだけど、食料を求めて狩りに出るペットもいると思うからその時は混乱しないように冒険者達にも説明をよろしくね」


 シルルンはホフマイスターに視線を向けてそう言うとホフマイスターは何度も頷いていた。


「じゃあ、とうとうタイガー種の討伐ね」


 リザの言葉に参加する意思のある者達が目をギラつかせた。


「うん、そうだけど、ハーヴェンが戻ってきてからになるけどね」


 その言葉に目をギラつかせた者達は満足げに頷いた。


「あと転移の魔法陣はここに移動したからね」


 シルルンは部屋の奥を指差して、転移の魔法陣で移動することがあるメイ、ガダン、ホフマイスターは頷いた。


 こうして、新たに加わったペット達の紹介は終わったのだった。


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