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スライムスライム へなちょこ魔物使い  作者: 銀騎士
鉱山 採掘編

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142/302

142 上層⑨

度重なる誤字報告、本当にありがとうございます。

今後ともよろしくお願いします。


 ゴブリン ロードとハイ ゴブリン5匹が精鋭スタッグ ビートルたちに瞬殺されて黒亜人たちは驚愕の表情を浮かべた。


「よし!! 次はコボルト ロードを半数で攻撃して、残りの半数はハイ コボルトを攻撃」


 シルルンは精鋭スタッグビートルたちに命令し、精鋭スタッグビートルたちは半数に分かれてコボルト ロードとハイ コボルトに襲い掛かった。


 精鋭スタッグビートルたちがコボルト ロードとハイ コボルトに攻撃を仕掛けたことで、黒亜人たちは攻撃を止めて戦いを静観しており、戦う相手がいなくなったダイヤとザラがシルルンの肩に戻ってきた。


「……あの犬みたいな奴は強ぇな。俺の攻撃が全く当たらなかったぜ」


「とてつもない速さでした」


「まぁ、コボルト種のロードだからね……まだレベルの低いダイヤとザラじゃ勝てなくてもしょうがない相手だよ」


「ちっ、この体は弱ぇなぁ……俺は強くなってみせる」


「頑張ります」


「あはは、ダイヤとザラは良いコンビになるかもね」


 ダイヤとザラは互いを見つめたが何も発しなかった。


 コボルト ロードと戦いを繰り広げる精鋭スタッグビートルたちは5匹で戦っているにも拘わらず、攻撃が当たらずに苦戦していた。


「やっぱあの犬は速ぇな……こうして傍から見てるとよく分かる」


「コボルト ロードのほうが倍近く速いからね」


「あぁ? 助けねぇのか?」


「守備力は同じぐらいだけど攻撃力はスタッグビートルが上回っているんだよね。まぁ、うちの主力なんだから格上の敵との戦闘経験も積んでほしいからね」


 シルルンはハイ コボルトと戦いを繰り広げる精鋭スタッグ ビートルたちに視線を移した。


 こちらは5対5だが1対1で戦っており、精鋭スタッグ ビートルたちが戦闘を有利に進めていてハイ コボルトの中には腕を失っている者もいた。


「おっ、こっちは勝ちそうだな」


「相手は上位種だけど、『反逆』を発動しているんだから余裕で勝ってくれないと困るんだね」


 シルルンがそう言ったのとほぼ同時に1匹の精鋭スタッグ ビートルがハイ コボルトの首を大顎で切り飛ばし、ハイ コボルトは首から血を噴出させて立ったまま即死した。


 これを皮切りに精鋭スタッグ ビートルたちがハイ コボルトたちの首や胴を大顎で両断してハイ コボルトは全滅し、この場にいる者たちの視線が精鋭スタッグ ビートルたちとコボルト ロードの戦いに集中した。


 コボルト ロードは凄まじい速さで移動しながら精鋭スタッグ ビートルたちに囲まれないように動いており、精鋭スタッグ ビートルたちはコボルト ロードに追いつけない。


 精鋭スタッグ ビートルたちはコボルト ロードにいいように翻弄されて、背後や側面から短剣で攻撃されており、ダメージを受け続けている。


「おい……やべぇんじゃねぇのか?」


「う~ん……さすが高レベルのロードだね……でもコボルト ロードはダメージを積み重ねていくしか手はないんだよね」


 シルルンは魔法の袋から緑色の果物を取り出して、戦いを繰り広げている精鋭スタッグ ビートルたちのほうに転がし「これを食べて体力を回復しろ」と一番ダメージを受けている精鋭スタッグ ビートルに思念で指示を出した。


 一番ダメージを受けている精鋭スタッグ ビートルは戦線から離脱して、緑色の果物を食べて体力が全快し戦場へと戻っていく。


「なるほどな……これであの犬に勝機はなくなった訳か……だが、長くなりそうだな」


「……まぁね。けどスタッグ ビートルの大顎の一撃は必殺だから決まると一瞬で終わると思うよ」


 精鋭スタッグ ビートルたちは大顎の一撃狙いの攻撃を繰り返していたが、大顎の一撃を外した者がエクスプロージョンの魔法を唱えて魔法での攻撃も絡めはじめてコボルト ロードは動ける範囲が狭まり、じわじわと追い詰められていく。


「あはは、意外と早く決着がつきそうだね」


 コボルト ロードは直撃ではないもののエクスプロージョンの魔法でのダメージを受けて動きが鈍くなってきており、シルルンは魔法の袋から緑色の果物を精鋭スタッグ ビートルたちに向かって転がした。


 しかし、転がした緑色の果物に気づいたコボルト ロードが凄まじい速さで移動して、緑色の果物を奪って食べた。


「おいおい……奪われちまったじゃね~か!?」


 体力が全快したコボルト ロードはシルルンの方を見て嘲笑っている。


「……そんなずるいことする奴はこうだよ!!」


 シルルンは『念力』でコボルト ロードを押さえ込み、全く動けなくなったコボルト ロードは驚きの表情を見せる。


 とんでもない速さだったコボルト ロードが唐突に動かなくなり、精鋭スタッグ ビートルたちは躊躇したがそれは一瞬で一斉に襲い掛かり、大顎の一撃でバラバラに解体されコボルト ロードは血飛沫を上げて肉片に変わった。


 これを目の当たりにした黒亜人たちは恐怖の表情を浮かべて後ずさり、一斉に逃げ出したのだった。


 アメーバたちは一斉に「死体を食べたい」と強請り、スタッグ ビートルたちがシルルンの元に集まってくる。


「あはは、よくやったよ」


 シルルンは『反逆』を解除して魔法の袋から大量の果物を取り出して地面に置きながら、アメーバたちに「食べてもいいよ」と思念で返し、スタッグ ビートルたちは果物を食べて体力、魔力、スタミナが全快する。


「で、どうすんだ?」


「黒亜人の群れはまだ4000以上いるから、まずは3000ぐらいまで減らしたいね」


「あぁ? なんで3000なんだ?」


「外にいる魔物の数が3000だからだよ。あとは黒亜人の数と外の魔物の数が同じように減っていくように動くつもりなんだよね」


「……なんかお前のやり方は小賢しいな。俺なら正面から突っ込むぜ」


「はぁ!? 相手の数はこっちの数の30倍近くいるんだよ!? そんなことしたら死んじゃうよ!!」


「そこは気合で乗り切るもんだろが!!」


「黒亜人の群れ1000を倒すだけでもこんなに時間がかかってるのに今の戦力じゃ無理だね」 


「ちぃ……」


 黒亜人の死体を『捕食』したアメーバたちがシルルンの元に戻り、シルルンは再び防御陣形を構築する。


 だが、黒亜人を弾き飛ばしながら何かがシルルンたちに目掛けて突っ込んでくる。


「あぁ? 何だありゃ?」


「……ハイ オークの群れとオーク ロードだね……しかも高レベルだよ」


 シルルンは『魔物解析』で視ながら険しい顔で言った。


「けどどうせ弱いんだろ?」


「とりあえずは戦ってみるけど退いたほうがいいかもしれないね……」


 ハイ オークとオーク ロードはミスリルの武具を身に着けており、ハイ オークの数は10匹で4メートルほどの巨体であり、オーク ロードは6メートルを超えているのだ。


 シルルンは前面に展開していた防御陣を後方に下がらせ、精鋭スタッグ ビートルたちだけを残した。


「あぁん!? 退くだと!? そんなに強ぇのか?」


「『徒党』の能力で守備力が上がっているからね……それにロードが持ってる『闊歩』が厄介でハイ オークの守備力が6000になってるんだよ」


「ろ、6000だと!? 俺の2倍じゃね~かっ!?」


「ロードはもっとヤバイ……ざっと計算してみると守備力が24000ってことになる……」


「なっ!? 化け物じゃね~かっ!?」


「でも、勝機はある……魔法は効きにくいけど能力は効くからね」


「ま~っ!!」


「――っ!?」


 シルルンは聞き覚えのある声が聞こえて一瞬だが動きが止まった。


 (今、マーニャの鳴き声が聞こえたような気がしたけどさすがに幻聴だよね……)


 シルルンは頭を振って迫り来る黒オークの群れを睨みつけた。


「ロードは僕ちゃんが相手をするから精鋭たちはハイ オークを攻撃」


 シルルンは思念で精鋭たちに「物理は効かないから魔法で攻撃しろ」と指示を出して『反逆』を発動しようとした時……


「まぁああああああああああぁぁぁ!!」


「えっ!?」


 シルルンは思わず振り返った。


 するとそこにはペーガに乗ったマーニャとドーラに乗ったメーアが飛行して近づいてくるのが見えた。


「えっ!? マーニャたちが見える……」


 シルルンは手の甲で目をこすってみたがマーニャたちは見え続けている。


「まーーーっ!!」


「プリュリュウ!!」


「メェーーーー!!」 


「ペぺぺペペペペ!!」


 マーニャたちはシルルンに飛び込んできて首元にしがみついて顔をすり寄せ、鳴き声を上げながら甘えており、首にしがみついていたうさポンはビックリしてシャツの中に逃げ込んだ。


「げ、幻覚じゃない!? あはは、よく来てくれたよ!!」


 シルルンは満面の笑みを浮かべながらマーニャたちの頭を優しく撫でた。


 マーニャたちはとても嬉しそうだ。


「あぁ? いったいこいつらは何なんだ!?」


「拠点から駆けつけた僕ちゃんのペットたちだよ」


「なっ!? 中層の拠点から飛んできたのか……」


 ダイヤは驚いて絶句している。


「でも、よく僕ちゃんがここにいるのが分かったね」


 この問いにドーラが「呼ばれていると感じた」と思念でシルルンに返し、メーアとペーガもこくこくと頷いている。


 ドーラ、メーア、ペーガはシルルンが卵から孵したのでシルルンを親と思っている上にペットなのでシルルンとの繋がりが他のペットたちよりも強いのだ。


「そ、そうなんだ……マーニャたちが来てくれたからこれで拠点に帰れるよ」


 シルルンはマーニャたちと精鋭たちに『反逆』を発動する。


 唐突に力が跳ね上がったマーニャたちは驚いてシルルンの顔を見つめる。


「マーニャたちにはあのでかいロードを任せるよ」


 シルルンがオーク ロードを指差し、それを見たマーニャたちはシルルンから離れてオーク ロードに目掛けて突撃した。


 精鋭たちも同時に動き出し、一斉に飛行して上空からエクスプロージョンの魔法を唱えて、大爆発に巻き込まれたハイ オークたちの足が止まるがほとんど効いていない。


 マーニャは『炎刃』を放ち、炎の刃が凄まじい速さで飛んでいき、オーク ロードの前にいたハイ オーク1匹を一瞬で焼き殺して貫通し、オーク ロードにも直撃して胴体を貫いた。


 オーク ロードは腹から大量出血して口から吐血したがそれでも立っていた。


 マーニャが放った『炎刃』は『全特効』により3倍に、そして『反逆』によりさらに2倍の威力に跳ね上がっているが、それでも立っているオーク ロードは化け物と言えるだろう。


 だが、ドーラとメーアが『炎のブレス』を口から吐き、灼熱の炎に包まれたオーク ロードは一瞬で燃え尽きて炭になって消えたのだった。


「マ、マジかよ!? 守備力24000が消えちまったぞ」


「……まぁ、守備力が24000といっても能力攻撃には関係ないからね……それにマーニャたちはさらに強くなってるみたいだよ」


「ペペ!?」


 攻撃対象が炭に変わり、ペーガは辺りを見回した。


 すると精鋭たちがハイ オークたちと戦いを繰り広げているのを見たペーガは『竜巻閃』をハイ オークたちに放った。


 突如、巨大な竜巻が出現し、巻き込まれたハイ オーク5匹が切り刻まれて塵になって即死して、巨大な竜巻は上昇して部屋の天井に大穴を開けて消えていった。


「おいおい、マジかよ……クワガタが苦戦してるのに一発で5匹も殺りやがった……」


 精鋭たちは上空から魔法で攻撃しているが、ハイ オークたちもアースの魔法を唱えて反撃していて1匹も倒せていないのだ。


「4匹共、私より小さいのにすごく強いです!!」


「あはは、マーニャたちは小さいけど強いからね」


 シルルンは満面の笑みを浮かべながら、精鋭たちに「大顎で攻撃しろ」と思念で指示を出した。


 精鋭たちは一斉に上空から急降下して、残るハイ オーク4匹を大顎で攻撃し始め、マーニャたちはシルルンの元に戻ってきた。


「あはは、よくやったよ」


 シルルンはマーニャたちの頭を優しく撫でる。


 マーニャたちはとても嬉しそうだ。


 シルルンは魔法の袋から赤色、緑色、青色、黄色の果物を4つずつ取り出して、それぞれの色の果物をマーニャたちに食べさせた。


 マーニャたちは腹一杯になり、体力、魔力、スタミナが全快した。


「ん? クワガタが勝ちそうだが物理は効かなったんじゃなかったのか?」


 4匹いたハイ オークの内、2匹はすでに身体をバラバラに切断されて肉片に変わっていて、残る2匹は片脚を切断されて跪いており、精鋭たちを近づけまいと斧を振り回していた。


「ロードが死んで『闊歩』の効果が消えたし『徒党』の条件が満たされなくなったから守備力が大幅に下がったんだよ」


「……そういうことか、お前が持ってる『魔物解析』は反則だな」


「あはは、魔物使いなら誰でも持ってる能力だけどね」


「なっ!? そうなのか!?」


「うん」


 ハイ オーク2匹は互いに背を向け合って死角を無くし、アースの魔法を唱えて攻撃しながら斧を振り回して牽制していたが、精鋭たちにエクスプロージョンの魔法の集中砲火を浴びており、『魔法耐性』を所持していなければとっくに砕け散っている状況だ。


 決死の表情を浮かべたハイ オーク2匹は残っている脚に力を込めて突撃するが、一瞬で精鋭たちに囲まれて大顎で身体中を切断されてバラバラに解体されて肉片に変わり、憤死したのだった。

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