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スライムスライム へなちょこ魔物使い  作者: 銀騎士
鉱山 採掘編

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138 上層⑥ 修


 シルルンたちはスタッグ ビートルたちをテイムした森に戻っており、シルルンはペットたちに果物を集めさせていた。


「……悪いね果物をいっぱいもらっちゃって……ここに来ればペットたちの餌が食べ放題だから来ちゃうんだよね」


「構わないわ……あなたのペットたちは敵と戦ってくれるし、それにあなたのペットの数はここにいるスタッグ ビートルたちの数と比べれば微々たるものよ」


 無表情なドライアドが薄く笑ったようにシルルンには見えた。


「そういってもらえると助かるよ……戦力も増やしたことだし果物を蓄えたらナーガ種とラミア種の拠点を潰してくるよ」


 彼はペットたちが果物を集めている間に、さらに通常種のスタッグ ビートルを150匹テイムしており、これでスタッグ ビートルの数は200匹になっていた。


「……やっぱり近くに拠点があったのね。でも、あなたたちだけで大丈夫なの?」


「拠点には1000匹ぐらいいるんだけど、たぶん倒せるよ」


「1000匹……大丈夫なの?」


 ドライアドは驚きの表情を見せる。


「あはは、1000匹ぐらい倒せないと僕ちゃんは中層に戻れないからね」


「あなたたちが無事に戻ってくるのを祈ってるわ」


「ありがとう」


 ドライアドは去っていき、大量に果物を集めたシルルンたちはナーガ種とラミア種の拠点に向かって進軍を開始した。


 シルルンは歩きながらペットたちに作戦を説明し、しばらくするとナーガ種とラミア種の拠点が見えてきた。


 ナーガ種とラミア種の拠点は木の小屋が多数建てられているが、柵などは設置されていなかった。


「じゃあ、作戦通りにいくよ」


 シルルンがペットたちに思念で指示を出して、スタッグ ビートル150匹が一斉に飛び上がり、ナーガ種とラミア種の拠点の上空からエクスプロージョンの魔法を唱えて拠点内の小屋が木っ端みじんに吹っ飛んだ。


「ピュギュアァァアアアアアアァァ!?」


「ギッャヤァヤヤギィ!?」


 生き残ったナーガ種たちとラミア種たちが小屋から躍り出て、驚き戸惑っている。


 スタッグ ビートルたちはシルルンの指示通りに小屋を魔法で攻撃し、次々と小屋を破壊していき、アメーバ50匹が破壊された小屋に向かって突撃して、瀕死のナーガ種とラミア種に止めを刺していく。


「……これで三分の一ぐらいは倒せたね。それじゃあ、僕ちゃんたちも行こうか」


 シルルンはスタッグ ビートル50匹を率いて拠点内部に侵入する。


 小屋の半分ほどが破壊されたところで上空にいるスタッグ ビートルたちに対して、ナーガ種の群れが武器を投擲し、ラミア種の群れが攻撃魔法を唱えて応戦し始める。


「うん、予想通りだね」


 シルルンはラミア種の群れにスタッグ ビートル40匹を突撃させた。


 ラミア種の群れは上空のスタッグ ビートルとの戦闘に集中しており、スタッグ ビートル40匹の接近に気づかずに肉薄される。彼女らは得意な魔法を唱えることもできずに、スタッグ ビートルたちに大顎で体を次々に切断されて肉片に変わって混乱した。


「グゥギアヤヤヤゥアァァァ!!」


 唐突に現れたスタッグ ビートルの群れに対して、ラミア種の群れは怒り狂って奇声を上げる。


 彼女らは攻撃魔法を唱えようとするが、肉薄されたことによって仲間に攻撃が当たることを懸念して攻撃できずにいるのだ。

 

 ラミア種の群れが攻撃を受けていることを知ったナーガ種の群れが、救援に駆けつけようとする。


 だが、上空のスタッグ ビートルたちからすればその行動はバレバレで、彼らは小屋の攻撃を中断して標的をナーガ種の群れに変更し、上空から魔法攻撃を行って救援を阻止する。


「あはは、順調だね」


 開けた場所に出たシルルンは『魔物探知』で敵味方の数を視て満足そうに笑う。


「ブギァアアアアアアアアアアアアァァァ!!」


 怒り狂ったハイ ナーガ3匹とハイ ラミア3匹がシルルンたちに向かって凄まじい速さで突っ込んでくる。


 シルルンは10匹の精鋭スタッグ ビートルたちに『反逆』を発動し、魔法の袋から雷撃の弓を取り出してハイ ナーガ3匹とハイ ラミア3匹に狙いを定めて『六連矢』を放つ。


 青白い稲妻が凄まじい速さで生き物のように曲がり、ハイ ナーガ3匹とハイ ラミア3匹に1発ずつ直撃し、さらに上空から落雷が直撃して体が痺れたハイ ナーガたちとハイ ラミアたちは行動不能に陥った。


「『破壊光線』!!」


「『石槍』!!」


 ダイヤとザラが『破壊光線』と『石槍』を放ち、まばゆい閃光が1匹のハイ ナーガの頭を消し飛ばし、無数の尖った石が1匹のハイ ナーガの身体中を貫いて、2匹のハイ ナーガが力尽きる。


 これと同時に精鋭スタッグ ビートルたちもハイ ナーガとハイ ラミアたちに襲い掛かっており、体が痺れて動けないハイ ナーガとハイ ラミアたちは為す術なく解体されたのだった。


「……あとは時間の問題だね」


 精鋭スタッグ ビートルたちの『反逆』を解除したシルルンは、『魔物探知』で敵の数が急激に減っていくのを視ながら呟いた。


「なぁ、『反逆』はいい能力だと思うが、クワガタになんで『魔物融合』を使わなかったんだ? 融合したほうが強いんだろ?」


「うん、まぁね。『反逆』だと攻撃力だけで言えば2000だけど、『魔物融合』だと6000だからね。けど、黒オーガを倒した時の経験値が少なかったんだよね」


「あぁ? お前、経験値の増え方も視てるのかよ……」


 ダイヤは驚きの表情を見せる。


「うん、特に今は重要だからね。だから『反逆』で勝てる場合は『魔物融合』は使わないことにしたんだよ」


 『反逆』は発動状態でも経験値の増減はないが、『魔物融合』による融合個体にはそもそもレベルがなく、一時的とはいえ別個体になるので経験値は激減するのだが、そんなことはシルルンは知らない。


「グルラァァアアアアアアアアアアアアアアアァァァ!!」


 精鋭スタッグ ビートルたちがシルルンの元に戻ろうとした時に耳をつんざくような奇声が上がり、その奇声を聞いた精鋭スタッグ ビートルたちは動きを止める。


「えっ!? なんでだよ!?」


 シルルンは雷に打たれたように顔色を変える。


 ハイ ナーガよりも一回り大きい個体が現れたからだ。


 その個体の全長は8メートルほどもあり、ミスリルの武具を装備していた。


「ハイ ナーガ ナイト!? 『潜伏』を持ってるから分からなかったんだよ!!」


 怒りに顔を歪めているハイ ナーガ ナイトは凄まじい速さで移動して、一瞬で精鋭スタッグ ビートルたちに肉薄してハルバードを振るった。


「やべぇ!? 『威圧』で精鋭たちは動けない!!」


 その刹那、自身に『反逆』を発動したシルルンは、ハイ ナーガ ナイトに目掛けて矢のごとく突進し、ハルバードの一撃を氷撃の剣で受け止める。


「――っ!?」


 自分よりも遥かに小さい人族にハルバードの一撃を受け止められたハイ ナーガ ナイトの顔が驚愕に染まる。


「……惜しいね、プニがいれば激レア能力の『疾走』を奪えたのに」


 ハイ ナーガ ナイトは凄まじい速さでハルバードを振るうが、全てシルルンに弾き返される。


 一瞬、怯んだハイ ナーガ ナイトは後方に跳躍して体勢を整えようとするが、目の前にいたはずのシルルンの姿が視界から消えていた。


「グ、グルゥ!?」


 ハイ ナーガ ナイトは辺りを見回すがシルルンの姿は見つからず、後ろに振り返るとシルルンの姿があり驚愕する。


 だが、すでにハイ ナーガ ナイトの体は横に斬られており、体が3つに分かれて崩れ落ちた。


 シルルンが『並列斬り』で袋斬りを放ったからだ。


 しかし、ハイ ナーガ ナイトは胴体から血が噴出しながらもヒールの魔法を唱えて体を繋げようとしている。


「……す、すごい生命力だね」


 振り返ったシルルンは絶句した。 


 ハイ ナーガ ナイトは必死に何度もヒールの魔法を唱えて、上半身に胴体を繋いでさらに下半身を繋げようとしている。


「『サンダーウェーブ』」


 シルルンは『サンダーウェーブ』を放ち、無数の鞭のような稲妻がハイ ナーガ ナイトに直撃するが効果はなかった。


「『能力耐性』か……厄介だね。ていうかステータスが上がる『剛力』『鉄壁』『疾走』と軽減系の能力の『物理耐性』『魔法耐性』『能力耐性』を持ってる魔物を初めて視たよ。これで『魔法具耐性』を持ってたら倒すのはすごく苦労しただろうね」


 そうしている間にもハイ ナーガ ナイトはヒールの魔法を唱えまくり、下半身を繋げて立ち上がった。


「とんでもない個体だね……」


 ハイ ナーガ ナイトは後方に跳躍して距離を取って、ミスリルボウを構えてシルルンに狙いを定めて矢を放った。


 シルルンは魔法の袋から素早く雷撃の弓を取り出して、ハイ ナーガ ナイトに狙いを定めて『十六連矢』を放つ。


 16発もの青白い稲妻がハイ ナーガ ナイトに直撃して黒焦げになり、この時点でハイ ナーガ ナイトは炭に変わって即死していたが空から16発の落雷が降り注ぎ、地面を激しく破壊してハイ ナーガ ナイトが放った矢をシルルンは片手で受け止めた。


「……ぷはぁ!? 何だったんだ今のは!?」


「……し、死ぬんじゃないかと思いましたよ!!」


「あはは、『威圧』って能力だよ。能力者より弱かったら恐怖状態に陥って動けなくなるんだよ」


「な、なんて鬼畜な能力なんだ……」


 ダイヤの言葉にシーラも激しく頷いており、動けなかった精鋭たちもシルルンの元に戻ってきた。


 シルルンは『魔物探知』で状況を探ってみるとナーガ種とラミア種は全滅しており、ペットたちがシルルンの元に集まってくる。


「ダメージは受けてるけど誰も死んでなくて良かったよ」


 シルルンは魔法の袋から緑色の果物を取り出して地面に置くと、ダメージを受けたペットたちは嬉しそうに緑色の果物を食べて体力が全快した。


 アメーバたちはシルルンに寄ってきて「死体を食べたい」と50匹全てが思念で強請り、シルルンは「死体を食べてもいいけど拠点を捜索して武具やお宝があったら『捕食』して持ってきて」と思念で指示をだして、アメーバたちは頷いて一斉に散っていった。


 拠点内には大量の武具や財宝があったようで、死体を『捕食』して満腹になったアメーバたちは魔法の袋に次々と武具や財宝を嬉しそうに吐き出していく。


 こうして、シルルンたちはナーガ種とラミア種の拠点を潰し、再び、森へと帰還したのだった。

面白いと思った方はブックマークや評価をよろしくお願いします。


ハイ ナーガ ナイト レベル10 全長8メートル

HP 7200

MP 1400

攻撃力2500+ミスリルハルバード ミスルルボウ

守備力1400+ミスリルの鎧

素早さ1600

魔法 ヒール キュア

能力 統率 剛力 猛毒 豪食 回避 物理耐性 威圧 鉄壁 疾走 魔法耐性 スタミナ回復 潜伏


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