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スライムスライム へなちょこ魔物使い  作者: 銀騎士
鉱山 採掘編

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131 森の魔物の討伐⑦


「なっ!? シルルン!? どうやってここに来た!?」


 ルーミナ将軍は雷に打たれたように顔色を変える。


「それを答える義理はない。俺はロレン将軍に話があるからここに来た。悪いが他の者たちは外してくれないか?」


 ロレン将軍は頷き、側近2人に目配せすると側近2人はテントから出て行った。


「……ルーミナ将軍、あんたもだ」


「なっ!? 私は将軍だぞ!!」


「だが信用できない……これから話すことは身内の話も絡んでる。あんただって身内の話を知らない奴に話さないだろう?」


「うっ……それはそうだが私は情報部のトップとしてここで聞いたことを誰にも話さないと誓う」


 ルーミナ将軍は手を上げて宣誓した。


「……なら、先にあんたの身内で聞かれてはまずい話を今この場で話してもらおうか? それが嫌なら出て行ってくれ」


「うぅ……」


 ルーミナ将軍は動揺して額に手を当てながら逡巡し、テント内を行ったり来たりしている。


「……わ、私は……女だが……お、女が好きなんだ……」


 逡巡した挙句にそんな言葉を言ったルーミナ将軍は、顔が熟れすぎたトマトみたいな色になっている。


「――っ!?」


 あまりの発言にロレン将軍は目を剥いて驚いており、シルルンはそれは身内の話ではなく自分の話だろうと心の中でつっこんだ。


「……俺はインポだ」


 椅子に腰掛けて腕を組んだロレン将軍が堂々と言い放つ。


「――っ!?」


 驚愕したルーミナ将軍は信じられないっといった表情を浮かべて一歩後ずさり、場に気まずい静寂が訪れた。


「……では、話を聞こうか」


 耐え難い苦痛の時間が経過し、ロレン将軍が重い口を開いた。


「ロレン将軍はこの森の状況をどう思っている?」


「……森の魔物はユユカの街を襲うことはないというのが布陣して得た俺の結論だ」


「同感だ」


「だが、ハイ コーコナット クラブが現れた。奴はどう動くか分からん」


「つまり、ハイ コーコナット クラブを討伐すれば、この森の魔物の討伐は終決するという考えで合っているか?」


「……そうだな、奴さえ討伐できればこれ以上、この森にいる意味はないからな」


「分かった。ハイ コーコナット クラブは俺たちが倒す。その後、俺たちは帰還するがそれでいいか?」


「……あんな化け物を本当に倒せるならな。ラーグやホフターを待ったほうが確実なのではないか?」


 ロレン将軍は探るような眼差しをシルルンに向ける。


「相手はたかが上位種だ……何の問題もない」


「それほどフェンリルという神話級の魔物は強いのか……」


「……普段は聞き流すが、あんたらは言いたくもない自分の秘密を俺に話したからあえて言うが、ロブスターは俺が倒したんだ」


「なっ!?」


 将軍たちは雷に打たれたように顔色を変える。


「信用するかしないかはあんたらの判断に任せるが、ハイ コーコナット クラブも俺一人で倒す自信はある」


「……嘘を言っているようには見えないが君は【魔物使い】だろ、正直、信じられないな……」


 ルーミナ将軍が真面目な硬い表情で言った。


「厳密に言えば俺は【大魔物使い】だがな……」


「……えっ!?」


 将軍たちはガツンと頭に衝撃を受けたような顔をした。


「……まぁ、いい。信じられないのであればこれ以上、話をしても無意味だ。約束通りにハイ コーコナット クラブを倒して俺たちは帰還するだけだ」


 シルルンは踵を返して出口に向かって歩き出す。


「待ってくれ!! 俺は信じる!! これは男同士の腹を割った話だからな」


 慌てたロレン将軍が立ち上がり、シルルンを呼び止める。


「すまなかった……私は女だがこれは確かに腹を割った話だった……許してくれ」


 ロレン将軍の言葉にハッとなったルーミナ将軍が申し訳なさそうに頭を下げた。


「構わない。だが、これ以上、何の話を聞きたいんだ?」


「……そうだな、俺は布陣して魔物の動向を探っていたが、君はどうやって俺と同じ結論に辿り着いたのか、まずそれが知りたい」


「俺は森の中間地点で丸一日ほど『魔物探知』で魔物の動きを視ていたから全ての魔物が南下していないことに気づいたんだ。丸一日時間を掛けたのは特定の魔物だけが南下する可能性があったからだ」


「『魔物探知』か……実に便利な能力だな。だが、なぜ魔物が集団で暴れ回っていると思う?」


「……それはある二種の魔物の抗争が原因だからだ」


「ほう……」


 シルルンの言葉に将軍たちは一瞬驚いたような顔をした。


「この森を支配している魔物の種を知っているか?」


「……なんだと? 特定の種がこの森を支配しているのか?」


「そうだ。この森を支配しているのはマンティス種だ」


「なるほどな……マンティス種なら頷ける」


「では、大穴を支配している魔物の種を知っているか?」


「馬鹿なっ!? 大穴の主であるアース ドラゴンは倒したはずだろう!!」


「それは俺たちが勝手にそう思っていただけの話だ。本当の大穴の主はスパイダー種だ」


「なっ!?」


 将軍たちは驚きのあまりに血相を変える。


「遥か昔、マンティス種とスパイダー種は森の覇権争いをしていたらしい。敗れたスパイダー種が大穴に逃げ込んだが、時の経過とともに着々と戦力を取り戻したスパイダー種を脅威に思ったマンティス種のクイーンが大穴に攻め込んだ。これは俺のペットだったシェルリングから聞いた話だ」


「……そうか、あのハイ マンティスのことか」


「そうだ。だが、両者の実力は拮抗していて膠着状態に陥っていた」


「……待て!! なぜそれを君が知っているんだ?」


 ロレン将軍は訝しげな眼差しをシルルンに向けた。


「俺がスパイダー種のクイーンと手を組んでいるからだ」


「「なっ!?」」


 信じ難い事実を告げられた将軍たちは素っ頓狂な声を上げて愕然とした。


「これがロレン将軍に話すつもりだった俺の身内の話だ」


 その言葉に、将軍たちはシルルンの顔をマジマジと見つめて息を呑んだ。


「だが、心配するな。俺は人族を裏切ったわけではない。裏切るつもりならこの森の魔物の討伐にも参加するはずがないし、この話自体をあんたらに言う必要もないからな……」


「……た、確かにそれはそうだな」


「それにスパイダー種の動向も気にしなくていい。スパイダー種が街を襲う気配があるのなら勇者が動くはずだが勇者に動きはないだろう。スパイダー種の目的はマンティス種を滅ぼし森も大穴も支配することだからな」


「なるほどな……」


 シルルンがそこまで言うと将軍たちはようやく落ち着きを取り戻したのだった。


「で、どうする続きを聞くか?」


「あぁ、もちろんだ」


「膠着状態が続いてマンティス種のクイーンはさらに攻撃部隊を出したが、その攻撃部隊は別のルートからスパイダー種を攻撃したんだ。これが今回の騒動の肝になる」


「……どういうことだ?」


「スパイダー種のクイーンまで辿り着けるルートは三本あり、それぞれが独立していて俺たちがアース ドラゴンを倒したルートはその内の一本だ。つまり、攻撃部隊は残りの二本のルートを同時に攻撃したことにより、そのルートの魔物が溢れ出たということだ」


「要するにマンティス種を恐れて逃げ出したということか?」


「だが、そうではない魔物もいるだろ?」


「――っ!? クラブ種、ハーミットクラブ種、ロブスター種、コーコナット クラブ種のことか!?」


「そういうことだ。大半の魔物は新しい巣を求めて森の中を彷徨っているが、その四種はマンティス種の拠点を探して滅ぼそうとしているんだ」


「……眠れる獅子を起こしたということか」


「だが、勝つのはおそらくマンティス種だと俺は思うがな……」


「……分からんな、なぜそう思うんだ? 君の話では四種族が一斉にマンティス種を滅ぼそうとしてるんだろ? しかもその四種族はどの種も桁違いに強いはずだ」


「その理由はエンシェントがいないからだ」


「エンシェント? なんだそれは?」


 将軍たちは訝しげな顔をした。


「優れた上位種一匹だけが辿り着ける最終進化形態で、俺たちで例えるなら勇者だな」


「なっ!?」


 将軍たちはガツンと頭に衝撃を受けたような顔をした。


「おそらく、その四種族にエンシェントはいない。いたら勢力図が変わってるはずだからな……」


「……それはつまり、マンティス種とスパイダー種にはエンシェントが存在するということか……」


「そういうことだ。まず、エンシェントがいるなら巣の規模がとてつもなくデカイ。俺はスパイダー種のクイーンに二度会っているが、クイーンの部屋にはハイ スパイダーが千匹以上いたからな……」


「……せ、千匹だと!?」


 あまりのことにロレン将軍は驚きを隠せなかった。


「それにだ……エンシェントが存在する巣には強力な別種が生まれるらしい。クイーンを護っているデス スパイダーという黒い蜘蛛を『魔物解析』で視たがその攻撃力は八千を超えていた」


「「八千だと!?」」


 将軍たちは声を揃えて叫んで放心状態に陥った。


「……言っておくが、エンシェントはもっと強いからな」


「……ぬう、エンシェントに勇者は勝てるのか?」


「それは分からないな。勇者もエンシェントも強弱があるからな。勇者セルドは歴代最強クラスらしいから負けることはないと思うが彼はホモらしい」


「なっ!? 側近が言っていたことは本当だったのか!?」


 ロレン将軍は思わず立ち上がって叫んだ。


「まぁ、この情報は死んだ勇者から聞いたから嘘ではないだろう」


「……ん? 死んだ勇者からどうやって聞いたんだ?」


「エンシェントに敗れた勇者は【勇者の怨念】という幽体のような存在になるらしい。その【勇者の怨念】から聞いた」


「勇者でさえも敗れるのか……勇者に匹敵する者は魔王だけだと思っていたがこれでは我々が不利だな……」


「まぁ、巣を攻撃しなければエンシェントは出てこない」


「なに? そうなのか?」


「あぁ、エンシェントはその種を守護する存在らしいからな」


「……そうか、それを聞いて安心した。我々はマンティス種やスパイダー種の巣を攻撃する予定はないからな」


「だが、俺たちが知らないだけで他の場所にエンシェントがいる可能性がある。巣を攻撃するときには気をつけるんだな」


「ぬう、確かにそうだな……」


「ではな……俺は行く」


「待て、シルルン……俺たちは腹を割って話をした仲間だ。何か困ったことがあれば必ず俺に声を掛けてくれ」


「それはいいな……私も必ず力になると約束しよう」


 将軍たちはシルルンの手を強く握り締めて熱い眼差しでシルルンを見つめている。


「……あ、あぁ」


 シルルンは戸惑いながらもそう返して、秘密を共有した三人は固い絆で結ばれたのだった。


 












「見つけたデス!! あの大きいのがそうデス!!」


「ぬう……間違いなさそうだ。一度、主君の元に戻るか……」


 プルとブラックは森の上空を『飛行』しながら観察し、ハイ コーコナット クラブを発見した。


「攻撃デス!! 攻撃するデス!!」


「フハハッ!! まぁ、そうだな」


 ブラックは上空から凄まじい速さで急降下してハイ コーコナット クラブの前で浮遊する。


「ぶちのめしてやるデス!!」


「フハハッ!! アース!」


 プルは『触手』を伸ばしてスゲェ剣でハイ コーコナット クラブの胴体を斬りつけたが、全くダメージを与えることができず、ブラックはアースの魔法を唱えて、無数の岩や石がハイ コーコナット クラブの胴体に直撃するが全く効いていなかった。


 ハイ コーコナット クラブはブラックを叩き落とそうと巨大な鋏を振り下ろすが、ブラックは難なく回避した。


「なにをしている!! 魔法だ魔法!!」


「……」


 プルはしょんぼりしてスゲェ剣を口の中にしまった。


 ハイ コーコナット クラブは巨大な鋏でブラックを攻撃するが全く当たらず、『風刃』を放って巨大な風の刃がブラックに目掛けて飛んでいくがブラックは簡単に回避した。


「フハハッ!! 今だアース!」


「くらうデス! サンダーデス! サンダーデス!!」 

「サンダーデス!! サンダーデス!!」


 ブラックがアースの魔法を唱えて、無数の岩や石がハイ コーコナット クラブに直撃し、プルがサンダーの魔法を『並列魔法』と『連続魔法』で唱えて4発の稲妻がハイ コーコナット クラブに降り注いだ。


 だが、ハイ コーコナット クラブには効かなかった。


「おかしいデス!! 倒れないデス!!」


 プルはプンスカ怒ってブラックの頭の上で跳びはねている。


「ぬう……おそらく『魔法耐性』の類か……厄介だな。ここらで退くか……」


「もっと攻撃するデス!! 攻撃デス!!」


「なら、次で倒してみせろ……できなければ撤退だ。優れた将とはそういうものだ」 


「分かったデス」


 ブラックは凄まじい速さで『飛行』して一気に距離をつめるが、ハイ コーコナット クラブは『アクアブレス』を放って巨大な無数の泡がブラックに襲い掛かる。


「フハハッ!! 遅い!! 我には当たらんよ」


 ブラックは速度を落とすことなく巨大な無数の泡を躱してハイ コーコナット クラブの目の前に到達する。


「アース!」


「サンダーデス!! サンダーデス!!」 

「サンダーデス!! サンダーデス!!」


「サンダーデス!! サンダーデス!!」 

「サンダーデス!! サンダーデス!!」


 ブラックのアースの魔法は直撃したが効かず、プルの8発のサンダーの魔法は1発目と8発目が『魔法耐性』を貫通してハイ コーコナット クラブは黒焦げになったが、『再生』により回復する。


「治ったデス!! 生意気デス!!」


「……ぬう、奴を主君の元まで引っぱっていくしかあるまい。お前は奴を攻撃し続けろ」


「分かったデス!!」


 プルは瞳を輝かせて頷いて攻撃魔法を連発し、怒り狂ったハイ コーコナット クラブはブラックを猛然と追いかける。


 ハイ コーコナット クラブとの距離を適度に保ちながらブラックは森の外へと後退し続けるのだった。














 シルルンがテントから外にでるとプニがふわふわと『浮遊』してシルルンを待っていた。


「終わったデシ!」


 プニがシルルンの肩に戻り、シルルンはプニの頭を優しく撫でる。


 プニはとても嬉しそうだ。


「【ダブルスライム】殿!! この御恩、一生忘れませんぞ!!」


 精鋭騎兵の隊長と上級兵士たちがテント前で跪いており、欠損していた精鋭騎兵の隊長の左腕と右脚も復元していて、精鋭騎兵の隊長は熱い眼差しをシルルンに向けている。


「……」


 シルルンは何も言わずに歩いていく。


「……奴に挑むおつもりですか!? 我々もお連れ下さいっ!!」


 精鋭騎兵の隊長が決意に満ちた表情で言った。


「その必要はない……あんたらにはすぐに帰還命令がでるだろう」


「ぬう……なんというお方だ……あれほどの化け物ですら雑魚にすぎないのか……」


 遠ざかっていくシルルンの背中に上級兵士たちの熱い眼差しが集中し、その表情から彼らがシルルンを深く尊敬しているのがありありと窺えた。


 シルルンは仲間たちと合流して森に向かって進軍する。


「主君!! そちらに連れていきますぞ!!」


 ブラックからの思念を聞いたシルルンは「分かった」と返して、『魔物探知』と『魔物解析』を同時に使用してハイ コーコナット クラブの位置と強さを探る。


「ハイ コーコナット クラブが来る。下がるよ」


 森に入る直前だったシルルンたちは500メートルほど後退して森を注視する。


 しばらくすると前方から木々をなぎ倒して進む轟音がどんどん近づいてくる。


 ブラックとプルの姿が見えると同時にハイ コーコナット クラブが森から姿を現した。


 森の外に出たことで視界がクリアになったハイ コーコナット クラブが狙い済ました鋏の一撃を振るい、ブラックは余裕で回避するが巨大な鋏が地面にぶち当たって地面が爆砕して巨大な大穴があく。


「うぉおおおぉ!? でけぇなオイ!! これがハイ コーコナット クラブか!?」


 驚きのあまりにバーンは血相を変える。


「プニ!! 一緒に戦うデス!! プルだけじゃ倒せないデス!!」


「分かったデシ!!」


 プルの思念に応えたプニがテレポートの魔法でシルルンの肩から掻き消えて、プニはブラックの頭の上に出現する。


「ハイ コーコナット クラブは『風刃』と『水無効』を持ってるデシ!!」


「ほう……では近づけばいいのだな!!」


 言うと同時にブラックは瞬時に突進してハイ コーコナット クラブに一瞬で肉薄した。


「プニラッシュデシ!!」


 プニは『触手』の乱打を放って、無数のパンチがハイ コーコナット クラブの胴体に炸裂して甲高い音が鳴り響く。


 ハイ コーコナット クラブは目の前のブラックを叩き落とそうと巨大な鋏を振るうがブラックは余裕で躱して距離を取る。


「奪えたか?」


「奪ったデシ!! 弱くなったから攻撃するデシ!!」


「くらうデス!! サンダーデス!! サンダーデス!!」 

「サンダーデス!! サンダーデス!!」


 プルがサンダーの魔法を唱えて四度雷鳴が轟き、黒焦げになったハイ コーコナット クラブは活動を永遠に停止したのだった。


「……生意気な相手だったデス」


 ブラックがシルルンの元に戻り、プルとプニがシルルンの肩に跳びのった。


「よくやったよ」


 シルルンはプル、プニ、ブラックの頭を優しく撫でる。


 プル、プニ、ブラックはとても嬉しそうだ。


「おいおい、マジかよ……ぷよぷよのペットたちだけで倒しちまったぜ……」


 バーンは驚きを隠しきれなかった。


「……ふふふ、主のたくさんいるペットの中で特にあの3匹が異常なほど強いんだ。しかも、あの白いスライムの口の中には小さくなったラーネ殿がいて、そこに主の力も加わるんだぞ……恐ろしいだろ?」


 ロシェールの言葉に、バーンは閉口するしかなかった。


 シルルンはハイ コーコナット クラブの死体を魔法の袋にしまって、仲間たちと共にラーネの『瞬間移動』で拠点へと帰還したのだった。


 しかし、シルルンはラーネの『瞬間移動』で軍の拠点の一際大きいテントの前に出現し、中に入る。


「シ、シルルン!? どうしたんだ、忘れ物か?」


 テント内にはロレン将軍とルーミナ将軍の姿しかなく、ロレン将軍は怪訝な表情を浮かべている。


「現物を見ないと不安だと思ってな……」


「なんの話だ?」


 シルルンは目の前のテーブルの上に魔法の袋から取り出したハイ コーコナット クラブの死体を置いた。


 突如、20メートルを超える物体が出現し、テーブルは重さに耐え切れず一瞬で潰れてテントは破けて四散し、ハイ コーコナット クラブの死体が外からも露になった。


「うぁあああああああぁぁああああぁぁぁ!?」


「また奴が地中から攻めて来たぞ!!」


 ハイ コーコナット クラブを見た兵士たちが騒然とする。


 腰掛けていた椅子から吹っ飛んで尻餅をついたロレン将軍とルーミナ将軍は、あまりの出来事に身体が硬直してその場から動けなかった。


「……ハイ コーコナット クラブの死体だ。確認するといい」


「……し、信じられん……も、もう倒してきたのか……」


 ロレン将軍とルーミナ将軍はハイ コーコナット クラブの死体とシルルンの顔を交互に何度も見ながら言った。


「死体を貰ってもいいデシか?」


 シルルンが頷くとプニはハイ コーコナット クラブの死体を『魔物吸収』で吸収して嬉しそうだ。


 今度は唐突にハイ コーコナット クラブの死体が消え去り、兵士たちは困惑して場は静寂に包まれた。


「ではな……」


 シルルンはラーネの『瞬間移動』で掻き消え、ロレン将軍とルーミナ将軍は虚空を見つめて呆然としたのだった。


 こうして、森の魔物の討伐は終決したのだった。

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[一言] ハイコーコナットクラブのお肉は食べませんでしたね。 美味しいらしいんですけどねぇ。
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