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スライムスライム へなちょこ魔物使い  作者: 銀騎士
鉱山 採掘編

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126 森の魔物の討伐② 修


「クラブを一匹もらってもいいデシか? 『再生』と『アクアブレス』が欲しいデシ!!」


 クラブたちの死体を『捕食』したプニが魔法の袋に九匹吐き出し、プニは上目遣いでシルルンを見つめる。


「それは構わないけど『死体吸収』は死体がバラバラでも問題なく魔法や能力を吸収できるのかい?」


「死体はバラバラでも吸収できるデシ」


 クラブの死体を『死体吸収』で吸収したプニは、『再生』と『アクアブレス』がコレクションに加わったて嬉しそうにしている。


「……」


(『アクアブレス』はともかく、『再生』は有用な能力だね。ペットたちに譲渡するためにも数を倒す必要があるよ)


 逡巡したシルルンは作戦指示をメイとプルに出し、シルルンたちは東の方角へと進んでいく。


 昼はメイが指揮を執ってシルルンの仲間たちが魔物と戦い、夜はプルがペットたちを指揮して魔物と戦いながら進軍しているので、彼らの進軍速度は異常に早かった。


 昼夜問わずの強行軍が可能なのは、プニがファテーグの魔法でスタミナを回復しているからである。


 シルルンとプニはクラブ種が出現時のみ戦闘を行っており、プニが『略奪譲渡』でクラブ種の魔法と能力を奪ってから、シルルンがクラブ種を倒しているので『再生』と綺麗に倒したクラブ種の死体が着々と増えていく。


 彼らが森の中間地点を越えたところで、多数の魔物の群れの存在を捉えたシルルンが訝し気な顔をした。


「ボス!! 前方に五百ほどの群れがいるけど半数以上がクラブ種の群れよ!!」


 索敵に出ていたリジルが慌てふためいて声を張り上げる。


 北上する魔物の群れを『魔物探知』で捉えていたシルルンが頷く。


「……このまま突貫する」


 その言葉に、皆が驚きの表情を見せる。


「このまま進めば互いにぶつかりませんが、魔物が反転する可能性がありますので戦闘態勢を整えていてください」


 メイの言葉に、皆が真剣な表情で頷いた。


 シルルンたちが速度を落とさずに進軍していくと、魔物の群れはシルルンたちの二十メートルほど先を通り過ぎて行ったのだった。


「ふぅ~なんか拍子抜けね……でもなんで反転しないんだろう?」


 遠ざかっていく魔物の群れを見つめるリジルが怪訝な表情を浮かべている。


「いえ、反転してくるはずです」


 メイの言葉通りに、北上していく魔物の群れの百匹ほどが反転したが、シルルンたちは何の問題もなく魔物の群れを殲滅したのだった。


「やっぱりおかしい。北上したクラブ種たちは何でこっちに来なかったんだ?」


 シルルンの言葉に、メイが神妙な表情で頷いている。


 しばらく考え込んでいたシルルンは、魔法の袋から鉄板を大量に取り出して地面に敷き詰めていく。


 この鉄板は厚みが二センチメートル、一辺の長さが二メートルあり、シルルンがメタル ゴーレムに作製させたものである。


「ここで休憩するよ」


 そう宣言したシルルンは魔法の袋から魔車やテーブル、料理に必要な道具を次々に取り出して地面に並べていく。


 強行軍ではなかったのか? 


 そういう思いがシルルンの仲間たちに生じたが、彼らもおかしな違和感を覚えていたので、誰もそれを口にすることはなかったのだった。


 料理道具を並び終えたシルルンは、魔法の袋からクラブの死体を取り出してテーブルの上に置いたが、クラブの胴体は三メートルを超えており、一台のテーブルには一匹しかのせることができなかった。


 シルルンは『念力』でクラブの脚を一本千切ってから隣のテーブルに移動する。


 彼の目前にはクラブの脚が浮いており、クラブの脚の長さはおよそ三メートル、脚の太さは四十センチメートルほどあるので巨大だ。


 シルルンが『念力』を脚の殻の中から発動すると、殻が弾けて身だけが剝き出しになる。


 その一連の流れをシルルンの仲間たちが呆然と見つめている。


 シルルンが『念力』でクラブの身を半分に分けて片方をテーブルの上に置くと、彼は残りを口元に引き寄せて豪快に食らいつく。


 その光景を目の当たりにしたシルルンの仲間たちは思わずゴクリと喉を鳴らす。


「……濃厚でプリプリしていて美味い!!」


 その言葉に、皆の表情がパーっと明るくなり、シルルンは無言でガツガツとクラブの身に食らいついている。


 シルルンの仲間たちは一斉にクラブに群がり、脚を引き千切ってテーブルの上に置く。


「この殻はすごく硬くて手で殻を割れません」


「ていうかこれ、食べきれるの?」


「ちょっと!! 武器で切るのは汚いからやめてよ!!」


「じゃあ、どうやって身を取り出すのよ!!」


「……魔法で割ればいいのよ。ウインド」


「テーブルごと切ってどうするのよ!!」


 女たちは大騒ぎしながらクラブの脚を解体しているが、ゼフドとバーンはすでに手持ちの武器で殻を切って身を食べており、あまりの美味さに彼らは食べる手が止まらない。


 メイはシルルンがテーブルの上に置いた身を適度な大きさに切り分けて巨大な皿に盛りつけており、巨大な鍋で湯を沸かして湯通しで食べた彼女の顔は綻んでいる。


 ビビィはクラブの脚を引き千切ろうとしたが、力が足らずに断念するしかなかった。


 しょんぼりとしているビビィが視線を隣のテーブルに向けると、身が巨大な皿に綺麗に盛りつけられていた。


 切り身に思わず手を伸ばしたビビィが身を口に運ぶと、ビビィは目をぱちくりさせて凄まじい勢いで食べ始める。


 そんな光景を見ているペットたちが、クラブを食べたそうにシルルンを見つめており、彼は魔法の袋からクラブを取り出して地面に置くと、ペットたちは嬉しそうにクラブ群がった。


 クラブの身は草食のマルたちが食べるほど美味しいようだが、鉄しか食べないミドルたちは消沈している。


 見兼ねたシルルンは魔法の袋から大量の鉄の塊を取り出して、地面に置くとミドルたちは幸せそうに鉄を体内に取り込んでいる。


 テーブル上のクラブは鋏と脚が全て無くなっており、シルルンがクラブの胴体を『念力』でひっくり返してふんどしを引き千切って地面に捨てた。


 シルルンが『念力』で腹部を引き千切ると、甲羅の中の“かに味噌”が露になる。


 引き千切った腹部を巨大な鍋の中に投じたシルルンは、宙に浮いたままの脚の身を『念力』で動かして、かに味噌に絡めてから食いついた。


「……絶品だ!!」


 シルルンは感嘆の声を上げる。


 皿とスプーンを持ったシルルンの仲間たちがかに味噌に殺到し、そのあまりの美味さにシルルンの仲間たちは感動して身を震わしている。


「マスター!! クラブは美味しいの!! もっと食べたいの!!」


 マルが思念でシルルンに訴える。


「……珍しいね」 


 シルルンは少なからず違和感を覚えたが、彼はペットたちや仲間たちが食べる分には出し惜しみするつもりはなかった。


 彼が一匹ずつクラブの死体をマルたちの前に置くと、マルたちは何かに取り憑かれたように一心不乱にクラブを食べている。


 それを目にしたシルルンはどこか釈然としない気持ちになったのだった。


 満腹になったシルルンの仲間たちは魔車の中で休息しており、ペットたちはシルルンの近くで眠っている。


 シルルンは魔法の袋から酒を取り出して、バーンとブラックと共に酒を酌み交わしている。


 魔法の袋から酒を取り出したシルルンは、バーンとブラックと共に酒を酌み交わしており、


 そんなシルルンたちを見つめているファクスは、森の中間地点で堂々と休憩するのかと彼は驚きを隠せなかった。


 ちなみに、見張り役にはラーネとシャインがついており、近づく魔物を皆殺しにしているのだ。


 スラッグの奴隷秘書たちは、ラーネとシャインの動きが速すぎて倒した魔物の数を計上できず、申告された数を認めるしかなかった。


「……それで強行軍から一転してここで休憩してるのは訳があるんですかい?」


「分からないからここで休憩しているのが本音だね……」


「というと?」


 バーンは怪訝な表情を浮かべている。


「……ここは森の中間地点だから魔物の動きを見ようと思ってね」 


「魔物の動きをですかい……何のために?」 


 バーンは怪訝な面持を深めた。


「スラッグは魔物の群れ……」


 しかし、唐突に真っ白に輝く光にシルルンたちの視界は奪われたがそれは一瞬の出来事だった。


「……な、なんだったんだ今の白い光は!? 敵襲か!?」


 バーンは険しい表情で辺りを見渡している。


「進化の輝きだよ」


「……進化の輝き?」


 シルルンを見つめるバーンは戸惑うような表情を浮かべている。


「マルたちが上位種に進化したんだよ」


 シルルンは思わず口かどに笑みが浮かぶ。 


「なっ!?」


 驚愕したバーンとファクスは慌てて視線をマルたちに向ける。


 そこには一回りほど体が大きくなったマルたちの姿があったのだった。


「魔物はいきなり進化するんですかい?」


「いや、ほとんどが戦いの中で進化するんだけど、何かが鍵になってる場合もあるんだよ。おそらくクラブが最後のパーツだったんだよ」 


「……なるほど……さすが大将だ」


 全長が三メートルほどまで巨大化したタマとキュウが誇らしげにシルルンの傍に寄ってきた。


 シルルンは優しくタマとキュウの頭を撫でる。


 タマとキュウはとても嬉しそうにしており、シルルンは『魔物解析』でタマとキュウを視る。


 彼らの守備力は千百まで上昇しており、『鉄壁』を加味すると二千二百になるので、最早、物理攻撃で彼らにダメージを与えることは困難だとシルルンは思ったのだった。


 しかし、マルも巨大化しているので進化を果たしているはずだが、彼女はぶるぶると体を震わせてその場から動く気配はなかった。


「――っ!?」


(――もしかして進化に失敗したのか!?)


 そう脳裏によぎったシルルンは深刻な表情を浮かべている。


 だが、突如、マルの体が真っ白に輝きながら七色の激しい光を発したことにより、シルルンたちは目が眩む。


「――なっ!?」


 視力が回復したシルルンたちが見たものは巨大過ぎる魔物の姿だった。


 その魔物は装甲が七色で全長は十メートルを超えており、シルルンたちは目を剥いて驚いたのだった。


「……」


 (……二段階進化したのか?)


 シルルンは『魔物解析』で巨大過ぎる魔物を視てみると、キャンディ メガボールという魔物だった。


 ダンゴムシは一センチメートルほどの大きさだが、ほとんど同じ姿で掌サイズの虫がいるのである。


 その虫の名はメガボールだ。そして、七色の殻をもつメガボールはカラフルな飴玉のようだからキャンディ メガボールと名付けられたのだ。


「マスター強くなったの!!」


 マルはとても嬉しそうに人族語で言った。


「……」


 人族語を発したマルにバーンとファクスは絶句する。


「よくやったよマル」


(ステータスの値が異常に高い……)


 マルを『魔物解析』で視たシルルンは驚きを禁じ得なかった。


 マルの守備力は四千六百で、マルが所持する『金剛』を加味すると、その守備力は一万三千八百という驚異的な数値を叩き出している。


 さらにマルは『物理耐性』『魔法耐性』『能力耐性』を所持しているので、最早、防御に関しては無敵だとシルルンは思わずにはいられなかった。


 マルは進化の際に地面に落ちた魔装玉を口にくわえて装備する。


 マルは七色のメタリックボディになったのだった。


 ちなみに、起きてきたシルルンの仲間たちがマルを見て絶句したのは言うまでもない。


 シルルンたちはこの場所に一日ほど留まった後、再び東に向かって進軍したのだった。

面白いと思った方はブックマークや評価をよろしくお願いします。


ハイ ピルバグ レベル1 全長約3メートル

HP 4000

MP 400

攻撃力 400

守備力 1000

素早さ 300

魔法 シールド

能力 鉄壁



タマ&キュウ ハイ ピルバグ レベル1 全長約3メートル

HP 4600

MP 420

攻撃力 440

守備力 1100

素早さ 320

魔法 無し

能力 鉄壁 魔法耐性



キャンディ メガボール レベル1 全長約10メートル

HP 21000~

MP 1200

攻撃力 1100

守備力 4000

素早さ 1000

魔法 シールド マジックシールド ドレイン マジックドレイン

能力 金剛 物理耐性 魔法耐性 能力耐性 再生 HP回復 スタミナ回復 統率



マル キャンディ メガボール レベル1 全長約10メートル

HP 26000

MP 1700

攻撃力 1300

守備力 4600+魔装玉

素早さ 1150

魔法 ウインド ヒール キュア シールド マジックシールド ドレイン マジックドレイン

能力 統率 毒牙 剛力 魔法耐性 毒霧 金剛 物理耐性 能力耐性 再生 HP回復 スタミナ回復


メガボールはヤスデの仲間だが、この作品ではピルパグ種ということにしている。


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― 新着の感想 ―
[一言] マルが凄い事に!(笑)
[一言] だんご三兄弟がとうとう上位種に進化しちゃいましたね。 しかもマルちゃんは更にもう一段階上に、、、 古株のこの子達が活躍するのは嬉しいです。
感想一覧
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