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スライムスライム へなちょこ魔物使い  作者: 銀騎士
鉱山 採掘編

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103 ダンジョン都市アダック⑭

 

 シルルンたちはゆっくりとダンジョンを進んでいた。


 レドスたちには急ぐ理由があるようで、二十一階に転移した時点で彼らとは別れている。


 シルルンは二十一階に上位種が多く出現するなら引き上げようと考えていたが、遭遇する魔物たちはこれまでとほとんど変わらなかったため、シルルンたちは難なくダンジョンを進んで現在は二十九階まで下りてきている。


 二十九階はこれまでのダンジョンの様相から一変した作りになっており、百メートルほどの高さがある壁には、いたるところに幅が五メートルほどの通路があり、その通路が複雑に伸びて迷路のようになっていた。


「なんかこれまではすごくシンプルだったのに、ごちゃごちゃ入り組んだ作りになってるね」


「そうですね……まるで雰囲気が違いますね」


 シルルンの言葉に、アニータは顔を顰める。


「けど、通路自体はこれまでと変わらない作りだよね」


「どうするのボス?」


「まぁ、進んでみようか」


 シルルンたちは壁の通路を無視して進み始める。


 シルルンたちが戦闘になると、プルとプルル、プニとプニニ、そしてブラックが別々に壁の迷路に突入して消えていく。


 彼らは暇なので戦闘になる度に迷路に飛び込んで宝箱を探していた。


 これにより、リジルは自身が吐いた言葉に苦しめられることになる。


 彼女は宝箱を発見したら自分を呼べとプルたちに言ったからである。


 プルたちはすぐに宝箱を発見してリジルを呼びに戻ってくるが、迷路の通路はあらゆる方向に複雑に伸びており、リジルは必死に壁をよじ登ってプルたちの後を追いかけて引っ張りまわされていた。


 そして、リジルたちがシルルンたちの元に戻ってくると、ブラックが大量の宝箱を発見して持ち帰って待っているのだ。


 そのため、リジルは休む暇もなく宝箱の罠を解除し、宝箱の鍵を開けているとプルたちが宝箱を発見して呼ばれるのだった。


「この辺で休憩にしようか」


 シルルンは疲れきっているリジルを見兼ねて提案し、魔法の袋から食べ物や飲み物を地面に置くと、仲間たちやペットたちは地面に座ってくつろぎ始める。


「何してるんデスか?」


 プルは怪訝な顔でプニに尋ねた。


「リストを作ってるデシ」  


 プニは『触手』でペンを握って紙に文字を書いている。


 彼はシルルンから貰った羊皮紙に『略奪譲渡』で奪った魔法や能力を書くと、『改竄』の指輪を使用してその魔法と能力を消していた。


「いっぱいあるデス。『飛行』が欲しいデス!!」


「『飛行』は二つあるからいいデシよ。でも、マスターに聞くデシ」


 プニは『飛行』と書いてある横の2と書かれた数字を見て返した。


 言うまでもなく、魔法や能力の横に書かれた数値は個数を意味している。


「マスター!! 『飛行』が欲しいデス!! プニはいいって言ってるデス!!」


 プルが物欲しげな表情で訴える。


「う~ん……『飛行』だけだよ。どんな弊害があるか分からないからね」


 シルルンは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべている。


「分かったデス!!」


 プルは嬉しそうに微笑んだ。


 シルルンは思念で『飛行』をプニに譲渡するように指示を出し、プニは『飛行』をプルに譲渡した。


「プニ、ありがとデス!!」


 プルは楽しそうに周辺を飛び回っている。


 すると、魔物の群れがシルルンたちに向かってゆっくりと接近していた。


「シルルン!! 魔物と特殊な魔物が交ざってるわ」


 リザは表情を強張らせる。


「てことは……」


 シルルンは視線を上空に転ずると、五十メートルほどの場所に魔物の姿があった。


 だが、玉の黄ではなく、玉の青だった。


 シルルンは『魔物解析』で玉の青を視ると、玉の青は『瞬間移動』を所持していなかった。


「プル!! 玉の青が出たからプニ以外のペットを指揮して魔物の群れを殲滅してよ。できるかい?」


 シルルンは探るような眼差しをプルに向ける。


「……できるデス!!」


 プルは一瞬戸惑うような顔をしたがすぐに快諾した。


「……」


 シルルンの仲間たちはシルルンの判断に呆けたような表情を晒している。


「ぶちのめしてやるデス!!」


 プルは玉の青に対抗して五十メートルほどの高さまで浮かび上がり、距離はかなり離れているがプルと玉の青は空中で対峙する。


 玉の青は『号令』を発動して木偶の赤を筆頭に、木偶の黄四匹とタートス五匹を前衛として配置してプルたちに向かって突撃させた。


「迎撃するデス!!」


 プルは即座に思念でマルたちとミドルたちに迎え撃つように命令し、マルたちと魔物の群れが激突して乱戦になる。


 玉の青はサモンの魔法を唱えて、木偶の黄を一匹ずつ召喚しながら前衛を補強し、攻撃部隊であるスコーピオン五匹とスネーク五匹、そして空中に浮遊している棘の黄四匹に攻撃命令を出した。


「生意気デス!!」


 プルは天井近くまで上昇してゆっくりと玉の青に近づきながら、思念でブラックとマーニャに敵の攻撃部隊を殲滅するように命令した。


「フハハ!! 空は任せるぞ」


 ブラックは思念でマーニャに言った。


「まー!!」


 マーニャは元気いっぱいに鳴いて応える。


 ブラックは凄まじい速さで敵の攻撃部隊に接近してヘイトの魔法を唱えて、黒い風がスコーピオンたちとスネークたちの体を突き抜ける。


 スコーピオンたちとスネークたちはブラックに対する敵意が上昇し、方向転換してブラックに突進した。


「フハハ!!」


 ブラックは嘲笑いながら後退して味方から攻撃部隊を引き離すことに成功する。


 敵の攻撃部隊は必死にブラックを追いかけるが追いつくことは不可能で、ブラックに『溶解液』で一匹ずつ溶かされて全滅したのだった。


 一方、空を任されたマーニャは一歩も動くことなく『風刃』を放ち、風の刃が棘の黄たちを追いかけて貫いた。


 棘の黄たちは何もできずに瞬殺されたのだった。


 前衛同士の戦いは、互いにシールドの魔法を張り合って膠着状態に陥っていた。


 透明の盾を破壊しても互いに物理では効果的なダメージを与えることができないからだ。


 痺れを切らしたタートスたちは一斉にアンチマジックの魔法を唱えたが、ミドルたちには効かず、ミドルたちは『眠りのブレス』を放ち、タートスたちは眠りに落ちた。


 木偶の赤がファイヤの魔法を唱えて、マルは炎に包まれたが魔装玉を装備し『魔法耐性』を所持するマルには効かなかった。


 マルは『毒霧』を吐き、直撃した木偶の赤は毒に侵されるが、木偶の赤は平然とマルに体当たりを繰り出している。


 しかし、マルは構わずに木偶の黄の群れと眠りに落ちたタートスたちに『毒霧』を撒き散らし、毒に侵された魔物たちは次第に弱って力尽きた。


「あはは、やっぱり、『毒霧』は強いね。無理にでもマルにつけて良かったよ」


 シルルンは満足げな笑みを浮かべる。


 玉の青は攻撃部隊も前衛も全滅して逃走し始める。


「逃がさないデス!! 『ビリビリ』スクリューパンチデス!!」


 プルは気づかれないように天井近くまで上昇して玉の青の真上まで近づいており、そこから一気に急降下しながらスクリューパンチに『ビリビリ』を合わせた『ビリビリ』スクリューパンチを玉の青に叩き込んだ。


 最大出力まで上げた『ビリビリ』の威力は凄まじく、直撃した玉の青は一撃で消滅したのだった。


「ばいばいデチュ!!」


 プルの口の中から見ていたプルルが得意げな顔で言い放ち、プルはシルルンの肩に帰還した。


「うん、堂々たる戦い方で良かったと思うよ」


 シルルンは戦いに参加したペットたちの頭を撫でていく。


 ペットたちはとても嬉しそうだ。


「今の戦いはボスが指揮してなかったんですよね?」


 リジルの言葉に、皆の視線がシルルンに集中する。


「うん、プルが指揮してたんだよ」


「へぇ、プルちゃんすごいじゃない!!」


 リジルは感嘆の声を上げる。


「あはは、敵に指揮者がいるケースは少ないから任せてみたんだよ。いずれプルとプニにはペットたちの指揮を任せることもあると思うからね」


「……確かにそうね。誰もペットに指示できないからいい考えだと思うわ」


 リザは納得したような表情を浮かべている。


 再び進み始めたシルルンたちは難なく魔物を倒して進んでいく。


 二十九階での宝箱の中身は宝石類が多く、売ると高く売れるとアニータが騒いでいるが、大金を所持するシルルンには最早どうでもよく、無造作に魔法の袋の中に入れられていた。


 ちなみに、地下二十一階から地下二十九階までの宝箱やドロップ品から魔導具は多数出ているが、氷撃の剣やハイ ヘドロの剣を超えるような武器は出ていない。


「あっ!? 卵が割れたよ」


 シルルンがビックリして思わず声を上げると、皆の視線がシルルンに集中する。


「プリュウ!?」


「メェ~!?」


「ペぺぺ!?」


 シルルンのシャツの襟首から三つの首が飛び出して鳴き声を上げた。


 その首はトカゲのような顔と馬のような顔、そして、ヌイグルミのような顔をしており、シルルンの顔をじーっと見つめている。


 シルルンはトカゲを両手で掴んでシャツの中から引っ張りだした。


 すると、三十センチメートルほどの真っ黒なトカゲだった。


「……ね、ねぇボス、そ、それって小さいけど、ド、ドラゴンじゃないの?」


「ルークが連れてた大きいほうのドラゴンに似てるわよね」


 リザはトカゲを凝視しながら言った。


 シルルンは『魔物解析』で真っ黒なトカゲを視ると、ミニ ドラゴンとでていた。


ミニ ドラゴン レベル1 全長約30センチ


HP 1000

MP 300

攻撃力 500

守備力 400

素早さ 300

魔法 ファイヤ ファイヤボール

能力 炎のブレス 威圧 強力 堅守 伸縮自在 闇吸収



「うん!! ドラゴンだよ!! ミニ ドラゴンってでてるよ!!」


 シルルンは満面の笑みを浮かべながら、ミニ ドラゴンをブラックの頭にのせて、シャツの中から馬を引っ張り出した。


 すると、三十センチメートルほどの真っ黒な馬だった。


「その子はホース種ぽく見えますね」


 シルルンは『魔物解析』で真っ黒な馬を視た。


 すると、ミニ ナイトメアとでていた。


ミニ ナイトメア レベル1 全長約30センチ


HP 600

MP 300

攻撃力 300

守備力 200

素早さ 250

魔法 ブリザー ウォーター

能力 炎のブレス 氷のブレス 威圧 強力 堅守 伸縮自在



「ホース種じゃないね。ミニ ナイトメアって魔物みたいだよ」


「ほう、強さはユニコーンと匹敵すると言われているあのナイトメアか……」


 ロシェールは興味深げな顔をした。


 聖騎士の彼女は純潔の象徴でもあるユニコーンに興味があり、ナイトメアのことも知っていたのだ。


 ユニコーンは強い上に魔法や能力を多数所持しており、その中でも『治療』や『解毒』を所持していることが有名だが、処女の女にしか近づかないという。


 ナイトメアは、ユニコーンが守りだとすると攻めの魔法や能力を多数所持している強い魔物なのだ。


 シルルンはミニ ナイトメアをブラックの頭の上にのせてから、残ったヌイグルミをシャツの中から引っ張りだす。


 すると、三十センチメートルほどの真っ黒な馬だったが、背中に翼が生えており、マーニャのようにヌイグルミのような姿をしていた。


「ボ、ボス!! その子はペガサスじゃないの!?」


「……ヌイグルミにしか見えん」


 シルルンは『魔物解析』で真っ黒なヌイグルミを視た。


 すると、ミニ ペガサスとでていた。


ミニ ペガサス レベル1 全長約30センチ


HP 300

MP 600

攻撃力 250

守備力 200

素早さ 350

魔法 ウインド エクスプロージョン

能力 風のブレス 回避 威圧 強力 堅守 伸縮自在 風壁 風閃 能力必中 能力特効 魔法軽減 能力耐性



「うん、ミニ ペガサスってでてるからペガサスみたいだね」


 シルルンはミニ ペガサスから手を離すと、ミニ ペガサスは嬉しそうにシルルンの周りをふわふわと飛んでいる。


 だが、リザたちの視線はミニ ドラゴンとミニ ナイトメアに集中していた。


 彼らの姿は精巧に作られた彫像のようで、思わず溜息が出るほど美しかった。


「――痛っ!?」


 リザはミニ ドラゴンの頭を撫でようとしたが、ミニ ドラゴンに指を噛まれた。


 それでもリザはされるがままにしていた。


「えっ!? 噛むんだ……」


 リジルは表情を曇らせる。


「まぁ、噛んでるけど甘噛みだよ。ミニ ドラゴンの攻撃力は五百だから本気で噛んでたら指が無くなってるからね」


「ご、五百!?」


 リジルたちのは驚きのあまり血相を変える。


「ナイトメアちゃんは大丈夫だよね?」 


 リジルはミニ ナイトメアに近づいて恐る恐る頭を撫でようとした。


「メェーッ!!」


 ミニ ナイトメアは羊のような鳴き声を上げた。


 リジルたちは落胆して視線をミニ ペガサスに向ける。


「いくデチ!!」


 プニニはシルルンの周りをふわふわと周回するミニ ペガサスにタイミングを合わせて跳躍し、ミニ ペガサスの背に飛び乗った。


「プニニナイトデチ!!」


 プニニは嬉しそうに宣言した。


 ミニ ペガサスは嫌がらずにプニニを背に乗せたまたシルルンの周りをふわふわと周回している。


「こ、これは可愛いわね……」


「……か、可愛い過ぎる!!」


 リジルたちはうっとりした表情を浮かべている。


「プルルものるデチュ!!」


 プルルはミニ ナイトメアに目掛けて跳躍した。


 だが、ミニ ナイトメアはブラックの頭から飛び降りて、プルルはブラックの頭に着地した。


「ずるいデチュ!! ずるいデチュ!! のせるデチュ!!」


 ミニ ナイトメアの前まで移動したプルルは瞳をうるうるさせる。


 不可解そうな表情を浮かべるミニ ナイトメアは右の前脚でプルルを踏みつけようとした。


 だが、プルルは前脚の攻撃を避けて体当たりを繰り出して、体当たりがミニ ナイトメアの顔面に直撃した。


「メェ!?」


 ミニ ナイトメアは面食らってぽかんとする。


「のせるデチュ!! のせるデチュ!!」


 プルルはその場でピョンピョン跳ねて訴える。


 ミニ ナイトメアは我に返って怒りの形相を浮かべて前脚の連撃を繰り出したが、プルルは全ての攻撃を躱しきる。


 ミニ ナイトメアは大きく目を見張っている。


 見兼ねたシルルンは『魔物契約』で「その小さい魔物は君の背に乗りたいんだよ」とミニ ナイトメアにコンタクトを取った。


 ミニ ナイトメアはただならぬ表情を浮かべて辺りを見回し、シルルンをじーっと見つめている。


 彼は直感でシルルンが声の主だと理解した。


 ミニ ナイトメアは逡巡していたが、くるりと背を向けた。


「ありがとデチュ!! プルルナイトデチュ!!」


 プルルが大喜びしてミニ ナイトメアの背に飛び乗ると、ミニ ナイトメアはミニ ペガサスの後ろを追いかけだした。


 ミニ ペガサスとミニ ナイトメアはシルルンの周りをゆっくりと周回している。


「……可愛いわね」


 リジルたちはミニ ペガサスを見つめて切なげな吐息を吐く。


「ペガサスちゃんはおっとりしてるから触らせてくれるかも……」


 リジルは意を決してふわふわと飛行しているミニ ペガサスの前に出て掌を差し出した。


「ぺぺ?」


 ミニ ペガサスは一瞬驚いて固まったが、リジルの掌の上に着地した。


「と、止まったわ!? やっぱりペガサスちゃんは優しいのよ」


 リジルは満面の笑みを浮かべてミニ ペガサスの頭を優しく撫でる。


 そして、ミニ ペガサスはリジルたちにもみくちゃにされたのだった。


「う~ん……」


(問題は名前なんだよね……)


 シルルンは考え込むような表情を浮かべていたが、透明の球体を作り出して透明な結界で三匹を包み込み、一瞬で三匹のティムに成功した。


 三匹はシルルンの前まで歩いてきてシルルンを見上げている。


 シルルンは三匹の頭を撫でる。


 三匹はとても嬉しそうだ。


「ミニ ドラゴンの名前はドラゴンだからドラ……う~ん、やっぱり、ドーラかな」


「プリュウ!!」


 ドーラは嬉しそうに鳴いた。


「ふぅ……」


 シルルンは額の汗を腕で拭った。


「ミニ ナイトメアの名前はナイトメアだから、メア? それともメアメア、メーア?」


 シルルンは探るような眼差しをミニ ナイトメアに向けた。


 すると、ミニ ナイトメアは思念で「メーアがよい」とシルルンに返した。


「じゃあ、君の名前はメーアだね」


「メェ~!!」 


 メーアは瞳を輝かせた。


「ミニ ペガサスはペって鳴くから名前はペでいいよね?」


 シルルンはにっこりと微笑んだ。


 だが、リジルたちの鋭い視線がシルルンに突き刺さる。


「ひぃいいぃ!? だ、だったら、ペペ? ペガ? ペペペ? ペーガかな?」


 恐怖に顔を歪めたシルルンは戸惑いながらミニ ペガサスに尋ねる。


「ペペペッ!!」


 ミニ ペガサスは最後のペーガで鳴いた。


「じゃあ、君の名前はペーガだよ」


「ぺぺ!!」


 ペーガは嬉しそうに翼を羽ばたかせている。


「ふぅ、なんとか名前が決まって良かったよ」


 シルルンは安堵の溜息をついた。


 だが、彼は不審げな眼差しをペーガとマーニャに向けていた。


 ペーガがミニシリーズなら、マーニャもミニシリーズだとしか思えなかったからである。


「じゃあ、そろそろ進もうか」


 シルルンたちは通路を進み始めた。


 だが、しばらく進んでも魔物と遭遇せずにシルルンたちは開けた場所に出た。


 すると、魔物の群れが待ち構えていた。


「ていうか、また交じってるわよ」


「今度こそ玉の黄かな?」


 シルルンは視線を上空に転じると、魔物の群れを率いているのは玉の青だった。


「プニ!! プルとドーラたち以外のペットを指揮して魔物の群れを殲滅してよ。できるかい?」


「余裕デシ!!」


 プニは不敵な笑みを浮かべて玉の青がいる高さまで一気に上昇し、プニと玉の青は遠く離れてはいるが対峙した。


 魔物の数はプルが指揮したときよりも十匹ほど多く、玉の青は『号令』を発動して五匹の木偶の赤、十匹の木偶の黄、五匹のスコーピオンを前衛として配置した。


「それは見たデシ!!」


 プニは思念で「玉の青を攻撃するデシ」とマーニャに指示を出した。


 マーニャは即座に『風刃』を放ち、風の刃に玉の青は切り裂かれて消滅した。


 玉の青が消滅したことにより、魔物の群れは我に返り、魔物たちと特殊な魔物たちが互いを攻撃し始めた。


「今デシ!! 攻撃するデシ!!」


 プニは思念でペットたちに指示を出し、遠距離攻撃が可能なペットたちが一斉に魔物の群れに魔法や能力を放った。


 これにより、魔物の群れは何もできずに全滅し、プニはシルルンの肩に帰還した。


「……う、うん、敵の頭を狙うのは良い作戦だと思うよ」


(初めての指揮なのに末恐ろしい)


 シルルンは複雑そうな表情を浮かべながら戦いに参加したペットたちの頭を撫でていく。


 ペットたちはとても嬉しそうだ。


 シルルンたちは魔物の群れが落としたアイテムを回収して、地下三十階を目指して進むのだった。

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