召喚王
「それではね、皆様方が気になって仕方がない例の件について、どど~んと発表しちゃいたいと思ってますよ!」
気になって仕方がない事、それは何だろうか。
召喚のやり方だろうか。
「勝者!支配者になる資格、その獲得方法について、やはり一番気になるのはここでしょうが!」
ああ、なるほど、その通りかもしれない。
だが、この時点で、明確に支配者になりたいと考えている人間がそんなにいるだろうか。
相坂自身にはまだ、その意志がない。
「1人持ち点100で、相手を殺したらその持ち点を奪って200点!ねぇ、シンプルでしょ?でも、それだけじゃあない、それだけじゃ面白くない、そうでしょ?ポイントの奪い合い、強い者が勝つ、弱い者が負ける、そんなんだけじゃ最初の召喚でほとんど決まっちゃう、そう思わない?思うよね、ねぇ、ねえ?」
明らかに相坂の方を見ているので、渋々といった感じを見せつつも頷く。
「そこで決めました、私は決めました、素晴らしい案です、最高の案なのです、ええ、最高の!」
基本的に自画自賛する事に、最大限の注意を払っている奴だ。
こういう奴は、案外、自分に自信が無かったりするものだが、こいつはその類ではない気がする。
「ここでオプションを投入しちゃいますよ、キラリっと光るオプションですよ!何と、勝者は敗者を仲間にしたり、従えたりする事が出来るのです、凄いでしょ!ま、その場合、ペナルティとして獲得ポイントは9割減の10点ですけど、戦略の幅が広がりますねぇ?」
また、相坂への問い掛けだ。
少し考えてから、頷くだけではなく質問してみる。
「その場合、勝者が死んだら全滅という事になるのか?」
「は?」
誰かが発した失望の声に、ショックを受けた。
結構、良い質問をしたつもりだったのに、その反応では報われない。
「うんふんふんふんふむ、質問ナイス!ですねぇ~、勝者は全ての主となるからして、そいつの死は全ての終わりとなってしまいますよ。勿論、敗者が死んだらそいつの召喚も死んだ上に10点も剥奪なんで、勝者は敗者を単純な捨て駒にしちゃうにはリスクがある、ハイリスクハイリターン?」
ピンと人差し指を立て、それを頭上高くまで掲げ、阿鼻叫喚の如くに笑い出した。
何事が起こったのかも理解できず、誰もが呆然としている。
「では始めましょう、召喚士の宴を!召喚士を皆殺しにした召喚王になるか、召喚士を総べた召喚王になるか、それは皆様方それぞれのご自由ご随意に!パーティー・ザ・パレード!」
ハッと目覚めた、固く握りしめていた両手には10面体のサイコロ、そして現在に戻る…。