年齢の不安
サイコロを投げる、左手は4、右手は3だった。
目覚めた後、サイコロを投げるまで、特に悩む事なんてなかった。
どちらかと言えば、ちょっと面白そうだなと思ったくらいだ。
そして、投げた後、出てきた老人を見て、自分は彼と上手くやっていけるだろうかと、そこは流石に気になった。
何と言うか、想像していたのと比べて、年齢が違いすぎる。
「君が俺の主か…。俺はバレン、よろしくな」
「僕は、湯島涼介です。よろしくお願いします」
「ユシマ、リョウスケ。リョウって呼んでもいいか?」
「はい、じゃあ、それで。僕は、そうだなぁ、おじいちゃんって呼びますね」
「まあ、君から見たら、俺はおじいちゃんか。よし、分かった」
「おじいちゃん、質問しても良いですか?」
「ああ、何でも答えよう」
「僕は11歳なんですけど、おじいちゃんは何歳ですか?」
これは、重要な事だった。
バレンとはこれから一緒に戦っていくのだから、彼がどれくらいの年齢かを知っておきたかったし、最も強さに自信があった頃から、どれくらい老いてしまったのかを知らなければならない。
「88だ」
老いているのは見た目で分かっていたが、それにしても酷い答えだった。
20代の時が最強ではないのかもしれない、30代でもないのかもしれない、40代だって違うかもしれない、それにしたって、88は流石にない。
「済まない、驚かせてしまったようだな」
「いや、そんな事は…無いんですけど」
「恐らく、リョウは俺の衰えを心配しているといったところだろう。違うか?」
ここで、違うと言ってしまったとしても、それ以上、追求されないだろう。
でも、嘘をつくのは良くないと、考えようと思った。
「はい。戦って勝っていかないと駄目だって、だったら、強い人と、いえ、おじいちゃんが強かったら良かったのにって、思います」
「それなら、安心しろ。俺の強さは年齢に左右されない。いや、それどころか、歳を重ねて知識が増えた分、若い時よりも強くなっているはずだ。そして、他の奴はどうか知らないが、俺は確実にこの世界に来た事によって、強さを格段に上げる事になる」
バレンの瞳には、確かに自信が見えた。
それで、ホッとする。
「良かった。おじいちゃんが強くて、本当に良かったです」
「俺が虚勢を張っているとは、思わないか?」
「虚勢って何ですか?」
初めて聞く言葉だった。
「強がり、だな。俺が強がっているとは思わなかったか?」
「おじいちゃんを信頼してますから、そんな風には思わないです」
「そうか。なら、大いに信頼してくれ。俺がリョウを召喚王にしてやる」
正直、召喚王とやらになりたいかと聞かれたら微妙だったが、バレンの気持ちは嬉しかった。
「頑張ってね、おじいちゃん!」
バレンに元気な笑顔を向けて…。




