表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
刹那の絆  作者: シャーパー
31/150

アデロッサと西村

漆黒の翼を生やし、空を飛ぶ。


見下ろした町並みは、西村の命令に従った結果としての部分は荒れ果てていたが、それ以外の部分はとても発展しているように見えた。


「この世界は優れているな」


西村が何かを言おうとしているが、今は黙らせておく。


話し相手に飢えているわけではないからだ。


「さて、まずはどっちに進むか…」


西村が逃げた奴を追い掛けて殺せと、そんな意思を示していたが、あまり興味は湧かない。


あの風使いの少女も、恐らくはどこかの世界で最強だったのかもしれないが、そんなに強そうではなかった。


あれくらいの実力ならば、次に偶然、遭遇した時にでも、ついでのように殺せば良いだろう。


それならば、今は出会わないようにしよう。


逆方向に進む、西村が抗議しているのは滑稽だから正解だったらしい。


「召喚士がいたぞ!…って、えっ、あれ、俺は喋れるのか?」


「許可してやったからな」


それにしても、ほぼ同化しているにも関わらず、こちらに召喚士の顔を確認できないようにしているとは、流石にカミムの曲者振りは侮れない。


「どんな奴だ、語れ」


「嫌だ。これは、俺が自由に出来るらしいな。ザマァ見ろ!」


「では、黙っておけ。ただし、これから、俺が殺す体験は全て、俺だけで味わう。貴様は文字通り、見ているだけだ。覚悟しろよ、渇望する地獄を」


「分かった、言う、言うから、俺にも殺しを楽しませてくれ、俺は殺しを感じたいんだ、頼むよ!」


交渉の価値すらもない。


陥落するのがあまりにも早過ぎる。


「まあ、言うとは言ってもな、別に普通の男だぜ。俺よりも多少は若いか…、50代後半くらいだな。普通の普通、平均の平均だ」


「役に立たない情報だが、嘘を言っていない事は理解した」


「じゃ、じゃあ…!」


「まずは、その召喚士を発見するという功績を上げろ。その報いとして、そいつとそいつに召喚された奴を殺す瞬間を楽しませてやる」


「わ、分かった…」


素直だが、本心ではない。


抑え付けているのを撥ね退けようとして、西村の憎悪が荒れ狂っている。


こいつの殺意にも驚かされるが、負の感情自体があまりにも凄まじすぎる。


よくも、まあ、今までの人生を、狂わずに居られたものだと感心する。


まあ、基本的に愚かな事が幸いしたのだろうか。


「馬鹿の一つ覚え、という事だな」


反論しているが、声には出させない。


それにしても、召喚士が分からなければ、探すのは苦労しそうだった。


住民を皆殺しにしていけば、その内、炙り出されてくるのかもしれないが、そこまで焦る必要もない。


じっくりと楽しもう、時間はたっぷりとあるのだから…。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ