敵の見つけ方
とりあえず、外に出たものの、召喚士の事は頭に出てこない。
つまり、この近くには存在しないという事だろうか。
「カミムよ、来い」
死骸地の王が呟いても、カミムは姿を現さない。
「ワシも質問がある。カミムよ、姿を見せてくれんか?」
「どふゃーん!っと、姿を現したは、新生カミム!」
どこが新生なのかは分からないが、とりあえず、カミムは姿を見せた。
もしかしたら、こいつは召喚士の呼び掛けにしか応じないのではないだろうか。
「何々何で何があれば何故なんで何だろね?」
「カミムよ、我らはどのようにして敵を探せば良い?或いは、周辺の人間を全て皆殺しにして回って、見つかるまで殺し続ければ良いのか?」
「直截粗野考え無し無策雑魚上等」
やたらと馬鹿にした挙句、具体的な解決策はまるで提示しようとしない。
「カミムよ、図に乗るな。貴様とて、我が全力でやれば、即座に跡形もなく葬ってやれるのだぞ」
「馬鹿につける処方箋はですねぇ、…新機能追加って事でピコーンと解決でどうじゃろか?」
こういう事態を想定していなかったのか、あるいは死骸地の王みたいな直接的なやり方よりも緻密な戦法を誰もが選ぶだろうと予想していたのか、それはあまりにも唐突な決定のように思えた。
「じゃ、新機能の説明いっくよー!あぁ、あぁ~あ、皆様方お聞こえになられあそばされますかぁ?」
それは、頭の中に響いてくる。
恐らく、全ての召喚士が同時にこの声を聞かされているのだろうと思えば、少し同情したくなってしまう。
「あはぁその心配は御無用無しってやんでぇ!寝ちゃってる人には自明の理って感じで刷り込み教育しやがってるんで、無闇矢鱈に起こされるってこたぁ無ぇんで御安心召されよ殿方風情が」
こちらの心を読んだ上でのツッコミなのだろうが、他の起きている召喚士は榊の心を読んでいないので、意味が分からないだろうから、やはり同情を覚える。
「はぁい質問いいかなぁ?」
「ワシに…?」
「今一番近くにいる召喚士、ど~こだ?」
「は?」
意味が分からず、そんな風に応じた時、唐突に天啓のような感じで、最も近くにいる召喚士の方角が分かった。
半信半疑ながらも指差すと、カミムが柏手を打った。
「正解、正っ解~、大っ正解~!新星神機能召喚士方角だけ教えちゃうよマジックなのだぁ!」
「カミムよ、去れ。貴様の役目は終わりだ」
カミムは一瞬、死骸地の王を興味深げに見やった。
だが、何も言わずに去った。
不満を覚えたようには見えなかった。
ただ、何を感じたのかは分からない。
それが、榊には少し嫌な予感を覚えたりもした…。