表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ESTALUCIA  作者: 蜂矢澪音
1章 十七番目の番人
8/33

7.真名

全然更新出来なくてごめんなさいm(_ _)m

「アカハ、おはよう」

「おはよう蒼麟」


朝。謎の鳥がギューギュー鳴いている。

一体何の鳥なんだろうか。此処へ来てもう一月半なのにまだあの鳴き声には慣れない。


「蒼麟。あの鳥、何?」

「ああ、あれはねぇ、フロッグバードだよ。朝になるとあの鳥の鳴き声が聞こえるんだ」

「……へぇ。ギューギューうるさいね」

「そう?アカハのとこではなんて鳴いてたの?」

「雀がチュンチュンって鳴いてたよ」

「チュン……変なの」

「……そうなんだ」


どうやらこの世界の感覚はボクらのそれとかけ離れているらしい。


「ね、ねえ蒼麟、そろそろ行こう?」

「うん、そうだね」


蒼麟と連れ立って食堂へ行く。そこにはもうバルトが待っていた。

おはよう、と声をかけて席に着く。


「アカハ、ユーリからの伝言だ。食事の後裏庭に来い。今日から訓練をする、だと」

「わかった!」

「なるべく動きやすい格好で……っと、その必要はなかったな」

「ああ、うん」


そういえば、初日の朝食の後バルトに服を貰ったんだ。誰かのお下がりらしくところどころ擦り切れてて、しかも実用性を重視してるから飾り気がない。でもまあ、清潔だからいいんだけどね。

普段はその服で過ごしている。ただまあ、制服は一応正装にと、とっておいてもらっているんだ。

もちろん、洗濯は済んでいるさ。

にしても此処の食事は本当に美味しいな。


「バルト、ご飯いつも美味しいよね。誰が作ってるの?」

「そういえば紹介まだだったな。……料理長!」


と、指を鳴らすバルト。少し経ち、足音が響いて来た。


「失礼します」

「入れ。……こいつがうちの料理長だ」

「お初にお目にかかります。ルリア・フェルミアと申します」

「えっと……。アカハ・コウヅキです。初めまして」

「ソウリンです」

「……っ!そ、それは真名でございますか⁉︎」

「まな…………?」


聞きなれない言葉に首を傾げバルトを見やると、少し焦ったような顔をしていた。


「わ、忘れていた。すまないルリア、この者達に説明を」

「わかりました、バルト様。勇者殿、真名とはその名の通り真の名のことです。術に組み込められれば誰だって必ず術者に操られてしまいます。ですから、真名はそのように気軽に教えてはだめなんです」


簡単な説明を聞き、確認する。


「んー。じゃあ本名は名乗っちゃダメなんだね」

「まあ、そういうことです」

「じゃあバルトも本名じゃないの?」

「ああ、まあそういうことだ。ただ、お前らになら教えてやれるとは思うのだが」

「ふーん……。あ、でもルリアさん。何でボクが真名を名乗ったってわかったの?」

「ぅ……、それは、秘密です」


少し気になるけど、ルリアさんは目を伏せてしまった。


「えっと……。ならいいよ、言わなくて」

「……ありがとうございます」


言いたくないことは言わなくてもいい、これがボクのスタンス。詮索は嫌いだから。


「ルリアさん」

「なんでしょうか」

「名前ってさ、すぐに変えられるものなの?」

「ええ。私もルリアという(ネーム)は此処に来てから名乗り始めたものですし」

「じゃあ……、ボクはアーチャって(ネーム)にするよ」

「そうか、アーチャか。だがアカハよ、姓も考えた方がいいのではないか?」

「あ、そうだね。でも苗字なんて…」


…………。全く考えつかない。


「俺が考える。……ケイルフォードはどうだ?」


暫く悩んでいると、バルトが助け船をだしてくれた。


「それ、いい!そうするね!ボクは今日からアーチャ・ケイルフォードって名乗る!」

「それなら大丈夫でしょう。では、よろしくお願いします、アーチャ殿」

「よろしく、ルリアさん」


握手をかわしていると、服がクイッと引っ張られた。


「ん?蒼麟?」

「ねえ朱葉、僕にも仮名(ネーム)、頂戴?」

「えっ……」


考えてみると、蒼麟がボクに何かねだるということは今まであまり無かった。


「う、うん……。でも、蒼麟じゃ嫌なの?」

「そ、そうじゃ無くて、その……」

「何?」

「……アカハと同じがいいんだ」


とクリクリした目でねだってくる。流石に断れないなぁ……。


「蒼麟……。わ、わかったよ……。じゃあちょっと待ってね」


んー。今咄嗟に思いついたのはレオンなんだけど……。ただ蒼麟とレオンに共通点なんかないんだよな。


「バルト、(ネーム)ってさ、真名との関わりが無くてもいいの?」

「構わない。所詮は仮名(ネーム)。それにソウリンは真名という程魂に染み込んではいない訳で、術に操られることは今は殆ど無いだろう」

「今は?どういうこと?」

「いつかソウリンの名が魂に定着するということだ。まぁ、名付けの三月後ぐらいだろうな」


魂に定着……。うん、よくわからないから流しておこう。いつか自然になるらしいしね。


「……へぇ。じゃあ、蒼麟、(ネーム)、きまったよ。蒼麟は……レオンって名乗ってね!レオン・ケイルフォードって」

「ありがとう、アカハ!アカハと同じ姓が貰えて嬉しいよ」

「あ、うん……」


まあ苗字の方はただ単に思いつかなかっただけなんだけどね。でも喜んでくれて嬉しいな。


「では改めて。勇者アーチャ殿、これから先もよろしくお願いしますね。それからレオン殿、守るべきものは手放してはなりませんよ」

「うん。よろしくね、ルリアさん」

「……!もちろんですルリア殿、決して手放しません!」

「ええ、その心意気です」


若干、仮名(ネーム)を言う時アクセントが強かったような……。ルリアさん、何かありそうな気がするんだよなぁ。

それに、蒼麟に掛けた言葉。“守るべきもの”って、一体なんなんだろう。

なんて思いながら握手する……時に、目を覗き込まれた。


「なに?」

「絶対、真名を教えないでくださいね?奪われたものは……取り戻せませんから」

「は、はい……」


そう、強くいうルリアさん。どんな事があったのかは知らないけど、有無を言わさないその口調に気圧されてしまう。

見るものに覚悟を問うような、暗く強い、眼。


それは、深い哀しみが表れているかのようだった。

5月って、忙しいですね。

体育会に中間テストに…。


まあ、暑いですが更新はがんばって行きたいと思います!


2016/04/30 修正

修正点

・真名の部分を少しばかり変更(魂の定着についての記述)

・…が奇数の箇所を偶数に

・その他、諸々

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ