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ESTALUCIA  作者: 蜂矢澪音
1章 十七番目の番人
7/33

6.師匠……

バルトのところで過ごすこと、半月。僕の護りもだんだんと通用するようになった。今では、バルトの力の七割方を引き出すことに成功している。ただ、負けるけどね。でも最初の方は五割の力であっけなく負けていたから、大きな進歩だと思う。


アカハの方も順調だ。僕と一緒の頃はまだ魔術を扱うレベルに至ってはいなかったけど、もう全属性の魔術を初等級まで使えるようになっているらしい。アカハの言ってたチートが何なのかはよくわからないけど、やっぱり彼女は規格外だった。


何はともあれ、バルトのところに来てよかったな。



***



「んぁ……」


あー、体のあちこちが痛い。てか、いつの間にか自分の部屋にいた。なにが起きたんだ?

いや、考えるまでもない。

今日はテストの日。で、ボクはバルトに負けた。ただそれだけだ。


「あーあ。ボク、魔術もいいんだけど、弓や剣を習いたいなぁ。でもそれには筋力が必要だし……」

「おうアカハ、起きたのか。にしても、弓と剣か。何故習いたいのだ?」


誰もいないと思っていた部屋に、ボクとは違う声が響く。

え、誰?ってか、


「バルト!?」


いたんだ。


「ああ。しかしさっきのあれは良かったぞ。どうやったんだ?」


さっきの……?何だろ。

あっ、あれかー。


「もしかして、混合魔術のこと?あれはねぇ、先ず…水をだして、それから、そこに風をだすじゃん。そしたら火で温めて竜巻をイメージすればいいんだよ」

「……すごいな。あと、あの火の鳥」

「え?誰でもできるでしょあれくらい」

「いや無理だ」

「そうなの?火の鳥はあれだよ、火系魔術の火弾(ヒート・ブラット)を大きくして鳥の形にすればいいの。ね、簡単でしょ?」


まぁ、さっき言った混合魔術も、初等級魔術を大きくするのも、魔力量食う割には攻撃力はたぶん上位魔法の方が上なんだよね。


「……はぁ。何事も、イメージが大切、ということか」

「バルト、見て見てー」

「ん?なんだ?」


バルトの目がこちらに向いたことを確認し、ボクは右手の上に火の鳥を、左手の上に水の龍をそれぞれ形作る。

そしたらバルトが目を丸くしていた。


「アカハ、お前すごいな……。両手で違う魔術を操るとは……。よし、明日から中等魔術を教えるぞ。それから……剣士は此処にはいないのだが、弓士ならユーカがいる。習いたいなら奴に聞いてみるが、どうだ?」

「え!教えてもらえるの⁉︎お願い、バルト!」

「ああ、分かった。ユーカに伝えておく」


やったね、弓だ。明日から中等魔術が習えるし、なんか嬉しいな。

あ、そうそう、この世界の魔術についてなんだけど、

初等魔術が火弾(ヒート・ブラット)水弾(アクア・ブラット)風弾(ウィンド・ブラット)土弾(ロック・ブラット)空弾(スカイ・ブラット)光弾(ライト・ブラット)、そして、闇弾(ダーク・ブラット)で、大体弾系なんだ。

中等、高等になるごとにだんだん威力や形が変化していき、一番上だと天候を操作できるらしい。


因みにバルトが使えるのは聖級魔術までらしい。一番上は帝王級なんだって。


で、回復系。

これは中等魔術師以上じゃないと使えないらしい。なぜなら、回復魔術は中等魔術からしか階級がないからだそうだ。


自動回復とかやりたいなー。

まあ、ボクはまだ初等魔術までしか使えないけどね。


魔術師は階級に合わせて初等魔術師、中等魔術師、高等魔術師などと呼ばれている。バルトは風聖級魔術師なんだって。

聖級は一番上の一つ下で難しいから、普通は得意系統の魔術しか使えないそうで、バルトは大波乱(サイクロン)大嵐(タイフーン)の風聖級魔術を使えるからそう呼ばれているんだ。

聖級はまだまだ先だな。


「ねぇバルト、いつか聖級魔術、教えてね」

「ああ、もちろんだ。約束する。……アカハ、お前の成長速度はおかしいのだ。初等魔術を半月で使いこなすなどほとんどの人はできないのだが、なにが方法でもあるのか?」

「え、そうなの?ボクはただ魔力量が多いだけだよ」

「ああ。俺だって一月はかかった。で、魔力量はどのくらいなのだ?」


あれ、行ってなかったっけかな?


「ボクが此処についたときは10万だったよ」

「10万……。俺の3倍以上だ……」

「今は……どうだろ」

「増えるのか?」


え?

もしかして増えないの?


「アカハ、増えるのか?」

「ああ、うん、増えるよ?」

「…………」

「どうしたの?」

「普通は殆ど増えない」

「そうなの!?」

「もちろんだ」


びっくりだ、やっぱチートだね!


「俺は50年に100増えるくらいだ。これでも羨ましがられる」

「そ、そうなんだ……。ボクこの一月で少なくとも10は増えたと思うよ?」

「…………」


なんかすごい目で見られた。そんなにすごいものなのかなぁ?ボクには聖級魔術の方がすごいと思うんだけどな。

そうだ、久しぶりにステータス見て見よっかな。

(ステータス!)


――――――――――――――――――

アカハ・コウヅキ 人族 女 Lv1

年齢:14 髪色:赤 瞳:赤

獲得能力(アクィゼィション・アヴィリィティ):なし

特殊能力(スペシフィック・アヴィリィティ):第三の目[鑑定][索敵]

魔眼[腐敗][麻痺][吸収]

--王--因--

加護:覇王の護り

守護精霊:なし


体力 49/52

魔力 51112/100086

駿足 80

器用 175

筋力 20

跳躍力 8

視力 5.0(上限10)

聴力 38(上限100)

回復力 20


称号・生まれたばかりの勇者

--王----マ--

残りポイント・20 =移ろい人のみ表示=

――――――――――――――――――


……ウン、10どころじゃなかった。80も増えてた。しかもなんか体力も上がってないかな……?。


「その……バルト、驚かないでよ?」

「ああ」

「只今確認したところ、魔力量が86増えてましたっ!」

「…………」


コピペじゃないです。

バルトが目を見開いて固まってるよ。

……声かけてみよっかぁ。


「えと、バルト……さん?」

「っ!はあ⁉︎86⁉︎」

「う、うん、86」

「……いやぁ、こんなに驚いたのいつぶりだろうか。130年ぶりくらい?ユーカが100歳超えてたって知ったときかな……」

「そのぅ、バルトって何年生きてるの?」

「……忘れた。だがもうすぐ1000年くらいになるなんじゃないか?」

「…………」


ほんとにコピペじゃないよ?

1000年って!姿は青年なのに1000年って!

びっくりだよ。


「……バルトは20代にしか見えないけど」

「俺は長命なんだ。種族はよく知らんがな」

「そ、そう……」


1000年……。1000年かあ、って1000年!?どれくらい長いのか想像つかない!


「ああ、そうだ。アカハ、少し待ってろ」

「ん?何?」

「いいから待ってろ」

「うん……」


なんだろ。何かあるのかなー……なんて思ってたらバルトが戻ってきた。


「ええと、誰?」

「ユーカだ」


ブロンドの髪に碧い切れ長の瞳の少女を連れて。


「汝の太陽が永遠(とわ)に光り輝かんことを。よろしくお願いします、ユーカさん」

「汝の歩む道が光と共にあらんことを。よろしく。ユーカ・アイデンメーヴュよ。こう見えて200歳は超えているわ」

「…………」


コピペじゃない!

これはほんとにコピペじゃない!

200歳とかいきなり言わなくても!

びっくりだよ!

こんな少女の姿で200歳とか!


「……え、ええと、アカハ・コウヅキです」

「バルトから聞いてるわ。アカハは弓を引きたいの?」

「はい。弓に憧れていたんです、ボクは。剣と弓に憧れて、習いたかったんです」

「へえ、剣と弓。両立は難しいわ。……生憎私は弓しか使えないから剣は無理だけれど、将来にできるの?」

「やって見せます」


ぎゅっと拳を握りしめ、鋭く見つめてくる碧い瞳をきっと見返す。

すると、ユーカはふっと笑って言った。


「いいじゃない、その心意気よ。明日から私の弟子よ。ついて来なさい。分かった?」

「はいっ!何卒よろしくお願いします!師匠!」

「……師匠と呼ばれるのはいい気分ね。じゃあ明日」

「はい!」



その日ーー海王暦928年、騷嵐月(ノイジィ・ヴェートラ)・15日ーーボクに二人目の師匠ができた。

2015/11/29 修正

ユーカの姓を変えました。


2015/12/12 修正


2016/04/29 修正

修正点

読みにくい部分を修正

回復魔術を高等から中等魔術に

その他、諸々

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