赤い箱
M氏は、犯罪者だった。それも、相当な犯罪。
現行犯で捕まり、裁判が始められた。
裁判長と博士らしい人が何やら話し込んでいたが、やがて判決が下った。
M氏には、赤い箱が渡された。
それで裁判は終わった。
当然、被害者は納得がいかず、訴えたが、話を聞くと、帰っていった。
M氏は、大喜び。のんきな人生を過ごした。
M氏はしばらく大人しくしていたが、犯罪者というものはなかなか反省しないもので、再犯を起こした。
M氏は今度こそ覚悟したが、赤い箱を渡すように言われ、やがてそれが帰ってきた。
M氏は悪事の限りを尽くした。何も罰がくだらなかったからだ。そして、捕まっても、同じことが繰り返された。
やがて、M氏は歳をとった。
M氏は、赤い箱を開けてみたくなった。
その箱には、魅力的な、開けてみたくなる何かがあるのだ。
M氏は、開けてみた。年寄りだから、何かあっても、すぐに死ぬという気持ちもあった。
箱が開く。M氏は、そこに吸い込まれる。
「助けてくれ・・・・」
しかし、時すでに遅し。箱の蓋が閉まり、そのまま・・・
その様子を見守っていた博士は、その様子を記録していた。
「これで一件落着というわけだ。しかし、あいつもかわいそうに。なんたって、あの箱に入ったやつは、狭い空間に閉じ込められ、永遠にそこで過ごさなければならないのだから・・・・」