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少年は転生を果たした

遠くから赤ん坊の鳴き声が聞こえてきたと思ったら急に意識が戻り、気付けば木の天井とぶら下がったランプが見えた。

ここは何処なんだろうと重たい首を傾けると俺が眠るベットの側で男の人が眠っているのが見えた。どうしようかと考えていると目を覚ましたようでゆっくりと頭を上げた男の人はダンディな白髪混じりの茶髪に碧眼の外国人風の人だった。

「起きたようだね」

『あい……ぅ?』

はい、と言ったつもりなのに上手く話せなかった。思わず噛んでしまったのかと恥ずかしくなったがすぐにそれが違うことが分かった。

「落ち着いている……さすがあの方の御子ですね」

男の人は優しく抱き締めるように持ち上げ、驚き固まった俺に微笑んでいた。

も、もも、持ち上げられてる!?

内心興奮していた俺だったが、何となく男の人が辛そうに俺を見ているのを見て、病死する前の母の目と同じに思えて、嘘のように興奮が静まった。

「ジークス様、追っ手は来ません。今の内に…」

「分かった。私がアルベルト様をギルは敵がいないか見張りなさい」

「はい」

黒髪の少年が部屋に来てから急に慌ただしくなった様子に心配になった俺を見てジークスさん(?)は黒い布に俺を包んだ。息苦しくない程度に包まれたが身動きは取れなかったため、とにかく動かないようにしようと決めた。

揺れと暖かさに眠気を誘われ、このまま寝ていた方がいいかもしれないと思い、そのまま意識を飛ばした。


――――――

――――

――


目を覚ますと黒い布は無くなり、その代わり綺麗などこかの美術館にありそうな美しい絵が描かれた天井が見えた。

起き上がろうとしたが動いたのは手足だけで自分の小さな手を見て、今の俺が赤ん坊になっているのを思い出した。そして左目だけに布を巻かれているのに不思議に思ったがそれよりも今の状況が気になった。

転生ってやっぱり赤ちゃんからやり直すんだな。てか、壁際にあるやたら豪華な壺とか、アンティークみたいな家具とか、ジークスさんを見たところ、俺は日本人じゃなく外国人に産まれたのかな?

、と色々考えていると扉の方から誰かが言い争うような声が聞こえ、扉がバンと音をたてて開いた。豪華な服を着た小太りの男がツカツカとこちらにやって来て俺を見下ろした。ジロジロと俺を見る男の視線に俺は気持ち悪くなった。

「ジョセル」

「…父上、こいつがそうですか?」

「あぁ、アルトと言うんだ。お前のところで養ってくれないか?キースやナタリアのように」「それでこれの親はどうしたんです?地位は勿論貴族ですよね?」

「いや……親は亡くなっている。地位は……庶民だ」

「庶民?クズの子を我がハウバーティス家の子にしろと?」

「な、何て事を言うんだ!」

「お断りします。庶民の子など捨ててきたらよいのです。用はこれだけのようですので失礼しますよ」

「待ちなさいジョセル!」

最後は俺をゴミを見るような目で部屋を出たそいつに驚きと困惑と一番に腹がたった。どうやらジークスさんの家族のようだが姿や態度は真逆で何よりあの目が父親を思い出たせた。

「……すまなかったね、驚かせたようだ」

何も悪くないのに悲しげに言いながら抱き上げててくるジークスさんに俺の方が悲しくなってなんとか励まそうと手をジークスさんの顔に寄せた。ジークスさんは驚き、優しげに目を細め、俺の小さな手をやさしく握ってくれた。ジークスさんのこの優しげな顔が好きだと思った。

「まだ幼い子がいる息子のもとに預けた方がいいかと思ったが決めたよ。やはり私がこの方を育てることにしよう」

『あー!』

こうして分からないことはまだまだ多いが俺の新しい人生が始まった。

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