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尾行

次の日

来ない。


その次も。


土曜日バイトが早番だったので、夕方駅前で恭子を待つ。

今日は休みかも。でもどうしても待ちたかった。


駅と、店が見える位置で今日の恭子の服とか

想像しながら時間をつぶす。

二時間半待った。


恭子はあっけないほど、普通に6時33分に電車で帰ってきた。

いろんなやつらに抜かされて、ゆっくりとした感じで改札を抜けた。


こんばんは こんばんは

何度もかける言葉を練習する。


声が上手く出ない。

深呼吸の吐く息が不自然。


店に入るかと思ったが、店の前の雑誌をチラ見して通り過ぎる。

どうしよう? バコバコする。


このままじゃ恭子と会えなくなる。

今日が最後のチャンスと自分に何度も言い聞かせる。


後ろから付いていく。

恭子の歩くペースが周りと合っていない。

前から来るババアのチャリにぶつかりそうになる。

恭子、ゴメンナサイって。


道結構混んでる時間。

道細いし。

オヤジのチャリが恭子の後ろでリンリン鳴らす。


駆け寄りたいが勇気が出ない。

俺、尾行してる変態?

早く声かけなくちゃ。


後ろからやめて、前に回ってから声かけようかとか、

時間稼ぎな卑怯な事考えてたら。恭子見失う。


え?スーパーに入った?カゴ取ってた。

尾行って結構難しいんだな。

あんなにゆっくり歩いてるのに。


俺もかごを取って店内に。完全な不審者。

恭子、奥の肉かなんかの売り場にスタスタ。

俺適当なものをカゴに入れる。

何買ってんだ俺。


そうだカップ麺でも買っておこうと。裏から回ったら、

いきなり目の前に恭子が。


死ぬかと思った。

反射的にああ、どうも・・・・。って

恭子ああ!って

「本屋です。こんばんは」

「か、買い物ですか?」って。


見リャわかるが。

いつもここ来るんですか?とか

何言ってるかわからない。


恭子が、今日はおやすみ?って。

早番だったんでって。


じゃあ・・・・。て恭子レジに。

俺も、ほかの列のレジに並ぶ。


前のババアが大量に買ってるんで、また見失ったらヤバイ。

金を握り締めてイライラする。

ヤバイ、恭子 出ていっちゃった。

ダッシュで後追いかける。


すいません!

もう全ていいと思った。


あのう、少し話ししませんか?

お茶でも・・・・。


恭子、え?でも。


俺、どうしても話ししたいんです。

絶対しつこくしたりしないんで。(もう充分しつこいが)

でも、お肉 買っちゃったしって。


俺、絶対待ってて下さいって。スーパーに戻る。

保冷用の氷、袋に入れて速攻 戻る。


恭子の袋に強制的に入れる。恭子少し笑ってくれる。


近くにセコイ喫茶店みたいなのが。

駅戻るよりはいいか。

恭子、んー?て。入り口にメニューがあって、

それ見て、いいよって。


奥の席を勧める。小さなテーブル。

彼女、買い物袋横に置く。


後ろ向きなんで、恭子のケツが。

振り向いて顔近い。座ったときスカートの太ももとか、

発狂しそうになる。


恭子に、勇気出してホントに誘って良かったとか言って。

恭子困った顔してたら、店のオヤジが、

注文こちらで!ってカウンターから。


恭子を制して俺が行く。コーヒーと…

恭子?オレンジジュース。


水もセルフ?

二つグラスに入れてテーブルに置く。

ありがとうって。

恭子、髪を耳にかける。


まず俺が自己紹介。


恭子の本名かわいい。

学生じゃないって、働いてるって。

公務員系の事務職みたいな感じの。


この前ごめんね?って

何だろ・・・

あたし左の耳が殆ど聞こえないの。

俺、謝る。本当にあの時ごめんって。


いいの。慣れてるから。

右もね、調子が悪いときあって。

自分で気付かないとああなっちゃうの。


そうなんだ・・・・・。

返す言葉が無い。こういう時なんて言えばいいんだろ。


店長出した。高橋

あいつ 滑舌悪くて何言ってんだかわかんないとか。

JKエロ本いつも見てるとか。


彼女笑ってくれて、そんなこと言われたら。

今度会ったとき顔見られないって。

見なくていいからって。


俺、調子こいて彼氏いるの?って聞いたら、

またテンション 下がっちゃって。


あたし、そんな資格ないよって。

資格?


あたし面倒な女なの。

面倒って?

彼女黙る。


俺、ゴメンな。言いたくないことだったよなって。

そしたら、あたし耳もそうなんだけど、免疫とか弱くて、

いろいろ生きていくうえで制約があるの。

・・・・・・。


沈黙。


俺見て、コーヒーって美味しい?

え?

あたし一度も飲んだことが無いの。

そういうことなの。

コーヒーも紅茶も、ミルクもダメだし、炭酸とかね。

もちろんお酒だって飲めないの。


彼女はストローでオレンジジュースの氷をいじった。


みんな簡単に考えてるのよ、私の病気のこと・・・・。

(もう店長のエロネタはだめだよな)


それが資格ないってこと?

彼女が何か言いかけたんで言葉を遮った。


そういやさあ!資格必要なくなったんだぜ!

男と付き合う資格!


何よそれ。

この前決まったんだって。


彼女初めてクスクス笑った。

そうなの?


うん。無資格になったよ。


無資格・・・・。


しばらくして、彼女が疲れてきたみたいなので店を出ることにした。

彼女のオレンジジースが2センチぐらい減った。


俺、勝手にグラス取った。

ストローに薄く口紅。

ダメだって。移るよ!

一気に全部 飲む。

いいよ、平気だって。


彼女の袋も持って歩く。

あと100メートルぐらいでお別れ。

ゆっくりと歩く。


彼女の 顔見る。

夢 叶った。すげえ幸せ感。


彼女に袋渡してここでって。

楽しかった。

また会ってくれる?


「本屋さんで?」


違うって。手を振って別れる。

走り出したい気持ち。

ヤター!!!!って。


ちょっと歩いて気付く。

ヤバイ!連絡先聞かなかった。振り返って走る。

止めてあったチャリに袋ぶつける。


人を掻き分ける。

恭子!!叫ぶ。

気付かない。


恭子左に曲がる。

追いついた。

恭子のアパート?ゴメン。そうでなくて、


連絡先教えて!

ええ?でもって。


ホントにお願い、次に会うまでなんて絶対耐えられない。

頼むから、しつこくかけたりしないって!

あたし電話だと、って。


じゃメールで!

彼女携帯出す。俺も。


えっとって。

彼女自分の携帯しまって、俺のにアドレス入れる。

物凄く打つの早いの。

俺、彼女の眼をじっと見てた。


(恭子のほうが全然書きやすい。ちょっと省略しちゃったとこ、後で書くことにします。)


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