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雨 恭子

居酒屋をやめて本屋に集中する。

だらしない店なのでやることが多すぎる。

俺は恭子に救いを求めたんだと思う、もっと純粋な世界に。


もう俺病気だったね、

恭子が少しでも見やすいようにって棚を整理する。

平気で本の上の隙間に横に押し込んだりしてんのとかって、

古本屋じゃないんだから。バカでしょ。

そういう経営者なの

たぶん在庫とかごまかすためにわざとって感じ。


高橋とレジ交代するのが待ち遠しい。

ちょっとお洒落なシオリを恭子のために用意した。


来なかった。


どんどんどんどん苦しくなる。

2日ぐらい来ないと一生会えないような気がした。


突然雨降った日

来た!!!!


入り口でハンカチ出して。

髪、結構びっしょりで。

服とかバッグ拭いて。

凄く丁寧に拭くの。

本とか濡らしちゃったら悪いみたいな感じで。


平気でペットボトルを商品の上に置くバカな客見てるから、

ホントに神々しく見えた彼女が。


しばらく入り口で外見てたんだけど止みそうに無いんで

両手を胸の前に合わせて、本棚を回ってる。


彼女の後ろ姿。

ブラウス 腕のところ濡れてて透けてる。

ストッキングも濡れてる。足元とか。

ハンカチ持ってて手拭いて、本ちょっと触って戻して。

スーと帰っちゃったの。


ヤバイ!

ダッシュで裏の事務所に走って傘取る。

高橋にレジ代わってくれ!って。

今ムリだからちょっと待てよって。

殺意湧く。

売り場に走る。


ちょっとお兄ちゃん!って、客が・・・。

一瞬迷うが、ちょっとちょっと!って。


速攻レジ打って店を飛び出す。

雨まだ凄くて、本気で走る。

いない!


どこにもいない・・・・。


そんなに早く歩けるわけ無いのに。

どうして?

めちゃくちゃに探したんだけど。

どっかの店に入ったのか。

愕然


恭子!!叫びたくなる。


店戻って。レジに客のオヤジとか。

俺濡れてるし、袋いいから早くやれよって。

投げるように千円。


俺呆然。

ダメなやつ。


しばらくして高橋来る。

俺見て、XXか?って。万引きの隠語。

俺、完全に無視して倉庫に戻る。


その日、帰りも雨止まなかった。

びしょ濡れになりながら傘ささないでゆっくり歩いて帰る。

恭子と同じように。


部屋帰って俺決めた。

このままじゃ恭子いなくなる。一言も話さないうちに。


絶対声かけるって決めた。



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