表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/32

最終章 フローレス

島が見えたらサ、

全くなんともないの天気いいし。

拍子抜けした。全く普通。


綺麗だわ、何て言えばいいんだろ。


着いて金払うの忘れてたって払って。

これからどうする?って言われて。

どうしよう?って感じに。


じゃあ手伝えって。荷物降ろすの。

ポーターとか来ない。

サレが台車の化け物みたいなの引いてきて。乗せろって。

結構な量。マジかよ。

建物のほうに引いてってようやく牽引車みたいので人が来た。

何か大声で怒鳴っていって。


ちょっと待ってろって。

俺、タバコ吸った。うまかった。まあ生きてる。

サレが行くぜ!って車に乗せられる。


どっかに電話してて、空港出て結構走った。



お前よ、死ぬなよ!海汚すなよって。


・・・・・・。


とにかく手付かずの島だ。

まあ災害もあったんだろうが、自然のままだ。

舗装路から降りたら結構なダートでガンガン飛ばす。

ようやく海沿いに下りて。


何て言えばいいのかな。分からない。

恭子の親父が来たかった理由。

こういうのを見せたかったんだろうな。

ほんとに言葉を失った。


サレは黙って運転した。

しばらくして、着いたぜって。


海の前のホテル?

レストランなのかな。

砂浜に車突っ込んで。降りる。


木の階段。

砂浜から直接店に入る。

中の男に大きな声を掛ける。

腹減ったよなって。

客はいなかった。


俺、汚すぎるかな。

ちょっと待ってくれって、車に戻って着替えた。

あのシャツに。

サレが笑って、男前になったって。


店員、インドネシアぽくない顔立ち。ちゃんと蝶ネクタイしてて。

まあ、下は短パンなんだけど。

ちゃんとテーブルに布のナプキンセットして。

知りあいみたい。笑いながら話ししてた。


そしたらサレが、No!って 

3スリーだって。


両手を広げてナプキンを俺の隣にもう一つセットした。

無言になって・・・・・・。

サレが空を指差してなんか言って。

店員が俺にソーリーって。


ビア? オフコース!

彼女は?って。


オレンジジュース・・・・・。


食いもん頼んで。

彼女のはいいのか?って。

彼女、ものが食えない病気でって。


直ぐ出てこなかったんだよ。

サレが早く酒もってこいみたいな感じで。


でも…


やばかったよ。ほんとにやばかった。




花が…




オレンジジュースの中に、



いっぱい

白い花が入れてあって。



ヤツが、ナプキン椅子の座席に掛けて、



フローレスにようこそ!って


恭子の席にオレンジジュース置いた。


涙が、

涙が、


サレが見せてやれって俺に。

泣いてて中々携帯開けない。

恭子の満面の笑みのヤツ。


美人だなって。

良かったね恭子、また褒められたよ。


写真を撮った。

恭子と一緒に俺の携帯で。


サレ、ありがとう、君がいなかったら来れなかった。

ビザがもう切れるんだ。ほんとうにありがとう。

サレ、一緒に泣いてくれた。


ほんとうに美しいところだ、

恭子そのものだ。




風が吹いてストローが回わる。

氷がカランと鳴った。




死ねなかった、こんなところで死ねない



こんな美しいところで。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ