恐怖
そいつ「マレ」って言ってたけど。
ここからは違うって、ここからがほんとうのインドネシアだって。
いろんな意味で。
どうしたら俺が一日でも長く行けるかって聞いて。
ビビルなって。日本人は直ぐ分かるって腰が引けてるって。
ビビったらやられるから。先にやれって。
笑って礼を言って別れた。
それから先はお決まりのネタで。
誰かが撃たれて死んだとか、刺されたとか
ゲリラの銃撃があるとか。
マジで腹抱えて笑った。毎回あまりにも同じなんで。
俺さ恭子が死んで、辛いとか、死にたいとか、
俺のせいだとか泣くわけよ。
笑っちゃったんだけど。メシ食うわけよ。
死にたいなら食わなきゃ死ねるって。
バカだろ。死にたいとか言ってメシ食ってるの。
死ねるヤツはほんとに勇気があるんだよ。
死のうと思ったヤツは絶対に分かる。
ようやくデカイ町についてホテルに入る。
とにかく風呂と思ったが着替えが無いので町に出る。
Tシャツ・パンツ・ソックス買う。
コインランドリーまあねえか。洗剤を買う。ついでにビール。
ようやく帰還。
最高に贅沢してバスタブ付きのお湯が出る部屋。
あまりにもカラダが汚いので予洗い必要。
浴槽に浸かった記憶が無い。いつ以来か。
天国・・・・・。
ハー!風呂だ~
タオルで擦る やばい 耳の中とか真っ黒。
風呂の残り湯に洗剤をぶち込んで、服を漬ける。
危うく恭子の携帯を水没させるとこ。
ビニール袋から出して撫でる。
少し湿ってるかな? 乾燥剤入れとこうか。
ビールがうまい。多少ぬるいが最高。
タバコを吸って外を見た。夕日が美しい。
恭子携帯を開いた。
バッテリーヤバイな。そんなに見たっけ。
メールはちょっとやばいんで、写真。
何回開いても勝手に人の携帯見るって罪悪感あるな。
写真のホルダー
ユーザーホルダーは設定してなくて、全部ゼロ。
下にプライベートってのがあってなんとなく押す。
ロックNo? え・・・。
恭子全部ロックはかかってなかったし。まあ外したのかも。
まあ最初からこういう設定か。
何かドキドキする。
携帯を置いてタバコをもう1本吸う。
どうしようかな?
まあ何にもなくても。
ロックとか詮索する時点で最低だよな。
恭子はそういう女ではない。
ベッドに横になる。
なんか夢を見たような気がしてうとうとする。
外はすっかり日が沈んでいた。
やべえ…
洗濯をして部屋の中に干す。
やべえ!恭子の携帯の電源入れたままだ。
もったいねえ。
電源を切ろうとしたが試しにユーザーホルダーに0000押す。
ロックNOが違います。
え?
ロック設定されてるって事?
何だよ。何でだよ?
恐る恐る恭子の誕生日入れる。
ロックNOが違います。
ピ^ピ^ピ^-って。
やばい、バッテリーを充電してください。
恭子の夢を見た。
最近見なかったが、いつもだいたい同じ。
恭子の部屋。恭子の後姿で。
ヤバイな、凄い汗かいてる。
ナイフとか銃とかの脅しは平気だったけど、
マラリアとか伝染病で死んだ話しはビビった。
そういうのは勘弁だな。
まじ予防接種したいな。
また眠ってしまった。




