死
機械的に次々と段取りが進められていく。
悲しんでいる暇はない。葬儀社の手配。
看護師が、からだきれいにして霊安室に運びますから…。
まあ、家族とか親戚とか来てて。
次々と進めなければいけない。
通夜とか葬儀とか火葬場の手配、
お寺とか。
逃げられない現実の段取りが。
弟がいいヤツで。
友達の車頼んで一緒に恭子の実家に行った。
俺を、家に連れて行くって親にはっきり言って。
俺なんかが行っていいのか。
そんな資格あるのか。
誰も喋ることなく実家に着く。
親戚が来ていて。
ここに祭壇作るから、ここにとりあえず布団敷いてって。
部屋を片付ける。邪魔なもの2階にって。
恭子の部屋?に。
ごめん恭子勝手に入るよ。
見ると泣きそうなんで何も見ないようにする。
通夜とか葬儀とか、メシ食って酒飲むんだぜ。
耐えられなかった。
恭子が死んだのに。
でも逃げるわけには行かなかった。
でも現実なわけよ、日取り決めて、棺桶決めて、
写真決めてってやるしかいけない。
悲しいとか言ってられない。
俺も、思った。着て行く服がない。黒いヤツ。
そういうことなんだわ。泣いてちゃ解決しない。
帰ろうと思ったんだその日。
弟がさ、姉ちゃんも今日は、いて欲しいと思うからって。
結構遅くなって、友達に弁当買ってきてくれって言って。
恭子が布団に寝かされて、白い布掛けられて。
布団・・・・
それ見たらドロドロ涙が出てきて。もう止まらないんだわ。
弟の友達も泣いてくれて。
そのまま朝まで恭子の横にいた。
恭子が死んでしまった。
骨拾うのだけは出来なかった。
体がガクガク痙攣して外に出た。
ほんとうに、ほんとうに出来なかった。




