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胸突


どういうことだろう…


わからない…


ここにはいられない。

家に帰ろう。


走った。

とにかく走った。


金をかき集める。


事故とかか?


携帯を握り閉めて着信を待つ。

かかってこなかった。


親なのか、病院とか、警察?

思考能力が全くない。


自分がやってることが。


着信音最大にしてシャワーを浴びる。

呼吸が苦しい。涙が流れた。


結局朝まで連絡はなかった。


8時まで待とう。8時まで‥

ものすごい長い時間が過ぎてゆく

携帯に電話した。


電源切れてた。


苦しい、ほんとに苦しかった。


何度も電話する。

何度も何度も。

お客様の・・・・って。


昼かな。

・・・・・。

電話が繋がった。

男の人が出た。


俺、泣いていたと思う。

自分の名前言って。恭子さんは?

お願いします。お願いしますって

状況を。


今、病院で。

転院すると思うんで。


恭子・・・・。


切らないで下さい!お願いします!

病院の名前を言って切れた。


近いじゃないかよ?何があったんだよ。

駅に走る。


二駅。





病室に・・・・。


カーテンが廻してあって、恭子見えない。

奥にお母さん?


手前に男の人が立っていて、ちょっとって、

戸口まで戻されて、外に出た。

父です。


俺、名前を。


ちょっと妻も動揺していて、

おとといの夜救急搬送されてって。


愕然とした。あの日に・・・

私がその日、会っていました。


そうか・・・って。


娘はいろいろ持病とかあってなって

簡単に説明できないんだが、

とりあえず、点滴で眠ってる感じなんで。

悪いんだが、女房もあれなんで

今日のところは遠慮してくれって。


でもお願いした、一目でいいから顔をって

お父さんがため息付いて

部屋に入った。

お母さんは目を合わさないで小さく会釈した。


俺は深々と頭を下げて名前を名乗った。

恭子に近づく。

眠っている。

顔が白い。


点滴2本ぶら下がっていて。

ほんとに小さく胸元が動いていた。

だらだらと涙が出た。

ベッドのふちを触った。

恭子・・・・。


深々と頭を下げて病室を出る。

1階のロビーの端に座る。

ただ、座っていたずっと。


本屋に電話した。

申し訳ないけど当分休ませてくれって。

文句言われたけど

彼女が入院してって。


暗くなって警備員が来た。

施錠するから外出できなくなるって。


人がいなくなって楽になった。


自由に泣けた。


俺のせいだ。


俺のせい。

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