Moment historique~歴史的な瞬間~
「宇宙人からきている和平のことそれから、能力者がいるという事実。ついでに核爆弾やほかの大量殺戮兵器が、トリックスターが生まれた日に消滅していたという事実ことも世界中に公表します。」
脅しのように言う。最後のは、黙っていてもそのうちばれてしまうものだと思うのけどね。
ざわつく室内を気にも留めずに続ける
「この場で私の口を封じ、このことを国民に知らせないようにしようとか考えている人もいるようですがはっきり言って無駄ね」
テレビや端末を乗っ取ればいい
そして、そういう機会での情報が伝わらないところにはアリサからもらったこの投影機を使えばいい
「なぜ、私たち二人がここにきているのか考えてみてください」
「私たちはあなたたちよりもはるかに強い
銃で撃たれても死にませんよ
化け物を見るような目で見ないでください
そりゃあ、当たり所が悪ければ死にますよ
不老不死ではありませんから、安心してください
私たち人類が持つ技術とは別の技術によってあなた方の力を無効化できるといっているのです
世界は広いですよ」
一息でそこまでしゃべり息を整え続ける
「それでは、まずこのことからお話ししましょう
私にとってこの出来事が始まりだったものですから、ここからはなした方がやりやすいんです」
スクリーンに映し出されるのは、地球の映像
そして、【1万人世界同時行方不明事件】と書かれた文字
その文字の羅列には覚えがあった
「それは、あの青い光が出現する前の出来事ですかな?」
どの国の代表なのかわからない
久遠は、一つ一つの国の国旗を覚えていないのだ
髪や肌の色で判断することはかなわない
言語も共通言語だから、会話するのに困らないのだが国を特定するのは難しい
そして、特別興味もなかった
「肯定よ。そう、この事件がすべての始まりよ。トリックスター、あの青い星のことをそう呼ぶものがいることはご存じよね。ここでは便宜上そうよばせていただくわ」
「トリックスターとその事件が関係していると?」
「ええ、この事件が始まりだといったでしょう。初めに言っておきましょう、この事件で生き残った人間はいないわ。」
「それはどういうことなのかね」
「証拠は……」
「一万人だぞ、決して多くもない数だ。」
「どうして死んだんだ」
「っ、メアリー」
どうやら、この発言者の娘があの事件に巻き込まれていたようだ
一万人それは消して大きくも少なくもない数
トリックスターという大事件の背後に隠れ人々の記憶から風化されかけていたが、無視することもできない案件
「生き残ったのは、元人間の私と幽閉されていた魔獣という生命体のみ」
今の私は人間とは呼べる代物じゃない。この体はすでに人間の範疇を超えている。
「なぜ、君は生き延びたんだ」
「元人間ということは、今はなんだというのかね?」
私は、なんなんだろう
羽矢たちには、人間だといいながら私は自分自身を人間とは思っていない
人に言っておきながら自分は守れていないわね
でも、羽矢たちはまぎれもなく人間だ
でも私は人間とは到底呼べない
時の流れが違う別の種族だ
そんな内心とは裏腹にはっきりとして迷いのない答えを返す
弱みを見せたら負けだ
「魔獣の眷属とでもいっておきましょうか。まぁ、そんなことはどうでもいいんですよね。エル、頼むわね」
一言もしゃべらずに少女の隣に立っていた青年に少女は声をかけた
少女の頼みごとを理解し、白い紙束を配っていく
恐る恐るその紙束を手に取る
「なんんだと」
「これは」
驚愕の声が上がることは予想済みだった
そこに記述されているのは、正気を疑うものだった
久遠ガエルに配らせた紙束
その内容は、行方不明事件の真相
そう、この宇宙に存在する惑星にすむ生命体による人体実験
嘘偽りではない
それは、久遠自身が見てきて味わったもの
そして、詳しい内容を国王から聞きだし、資料にまとめ提出させたものだった
「この内容は本当か?」
「はい。信じるか信じないかはそちらしだいです」
「宇宙人」
だれかのその呟きは人々に興味と恐怖を与える
「これは、その実験による謝罪と、和平を結びたいと申し出るというものです」
そういって、久遠はエルの取り出した書状を掲げる
「これらを、各国分用意しました。骨が折れましたよ」
言葉が同じでも文字は違う
久遠は、ひらがなカタカナ、漢字しか無理だ
英語やフランス語ドイツ度など、外国の文字をかけるわけがなかった
それでも、間に合わせなければならない
仕方がないから、地球に戻ってきてから数日 本屋で買いこんだ外国語の本を、呪術を使って無理やり頭に叩き込んだのだ。
そのあとは、この文章の翻訳作業
殺気の分厚い紙束もそれだ
まったくもって多忙だった
魔獣の眷属で睡眠時間が短くても体が持ってなかったらこなせなかっただろう
「まずは、皆さんにその惑星について知っていただきたい」
コン コン コン
一人一人の前に置く楕円形の置物
それは、久遠の言葉を合図として起動する
向こうの国の技術
「そこに映し出される映像を見ながら聞いてください」
次々に変わる映像
見たことも聞いたこともないものの数々
空を飛ぶ生き物
地に暮らす生き物
空中都市
「CGなのか?」
そう思うのも無理はないと思う
でもこれはまぎれもなく、ファーガリアの姿
「いいえ、真実です。これを見て分かるように8つの惑星がありそのうちの一つ、この星の者たちが和平を申し込ませました」
「我々は、1万人を虐殺したものと和平などむすべはしない」
その気持ちわからなくはないけれど、結んでもらわないと今までの私の苦労が無駄になる
この紙束を生産するのがどんだけ大変だと思っているんだ
「結んでいただかなければ困ります。」
怒りがにじんでいたのは否定できない
「なぜだ。」
「未来のことを考えてください。この星のことは知られています。そして技術水準は明らかに向こうの方が上。こちらなど片手でひねりつぶされます」
赤子の手をひねるより簡単だろう。まざ、実際問題、赤子の手をひねる方がためらうだろうなぁ……心理的に。
そして、スクリーン上にファーガリアの戦力の一部が表示される
地球に存在する似たような武器をそ集めた。あまりにも違いすぎると全然想像できないと思ったのだ。
そして、その威力が表示される
「無理だ、対抗なんてできない。そもそも向こうは宇宙船を持っている。宇宙を自由に飛び回れるのに、こちらは宇宙に数人運ぶのでやっと。防衛線になる。」
その通りだ
こちらは、宇宙に対してそれほど技術力が進んでいない
宇宙旅行が、当たり前の星とこの地球ではあまりにも技術力が違いすぎる
海を渡る船がなければ攻撃はできない
そして、高い方を撮ったほうに勝機がある
「あまりにも不利」
その事実に気が付いたとき、新たな疑問が浮かび上がってくる
どうして、侵略しないのだろうか?
和平を結びに来たのだろうか
こんなに圧倒的な戦力差がありながらどうしてだ
答えを欲し、少女を見る
「私が、交渉という名の脅しをかけたからよ」
魔獣という存在を知っているがゆえにできた交渉
古き生き物である彼をおそれたからだ。
この交渉をする前にアリサにきいた
この国、この惑星の中に魔獣に匹敵するかそれ以上の戦力が存在するかどうか
それは、全く存在しないわけではないが、突然の場合対処は間違いなく無理であること
そして、多大な犠牲が出てようやく殺せる問ことだった
魔獣の脅威に絶えずさらされていたのならばそれに対応した技術が発達しただろう
封印し、隔離したためにそのものに対する今日の対抗策を生み出すのを怠っていた
それは、久遠からっしてみれば幸運なことであり同時に、ファーガリア国側では不覚だっただろう
幸運
そう、あの時あったあの少女の手助けの一つなのだろう
黒目黒髪の少女 《神創りの魔女》
自分に興味があるといった、エルですら恐れる少女の形をした何か
「脅しが簡単に聞く相手なのでしょうか?私にはこれほどの戦力を持っている者たちを脅すということが……」
「人質か?」
「物騒ですね、違いますよ。今あなたの目の前にいるこの青年を彼らは恐れたのです」
その言葉とともに黒目黒髪の青年に視線が集中する
「我は人ではない。人の形をとるように頼まれたからそうしているのみ。本来の姿は、強大な獣だ」
「北欧神話のフェンリルや、ヘアリージャックみたいなのよ」
「魔獣という存在とその立場について、それからとリックスターについてのファーガリアの意見は、この中に入れといたわ。地球とファーガリア国に仲介者ってみたいなものよ。真ん中に立てるだけの力を少なくとも向こう側は認めている。実験に使い、死なせたことは向こうの罪。だけど、私たち人間も逆の立場だったら同じことをしていたわ。向こう側にはすでにこちら側の生体情報並びにその人間の持っていた記憶から地球という惑星についての情報を手に入れている。」
情報戦にしても不利
全てにおいて負けている
「向こう側は、ボタン一つでこの地球を滅ぼせるというくらい考えてもおかしくないわね。」
ざわめくことを気にせずにまたもや続ける。まぎれもない事実だ。
静かに話を聞けないのかしら?
「向こう側は、死刑囚をそちらに送り実験し、解剖しても構わないといっている。それから技術に対しても教えるし、友好関係を築きたいとその国の王子は思っているわ。王子の興味はもっぱらこの地球の文化だけどね」
わたされるデータや書類の山
それらを前にして、口々に国の代表は言う
「考えさせてほしい。国民の声を聴かなければ、決められない」
「今ここで決めてその責任を負いなさい」
逃げられない
逃げさせはしない
「民には、私が伝えてあげる。」
ここにいる者たちで決めるにはあまりにも重い出来事
本来こんな思い出来事を話すためのものではなかったはずだった
「すでに和平を結びながらも、それを隠し演出しながら存在をなじませる。」
「それは……」
「今この場で決めろとその少女は言う、どちらが得かは考えればわかる。敵に回ったら、この星は滅ぶだろう。しかし、敵に回らず和平を結びたいといってくる。その技術力、その国の物品どれも興味深くそして、多大な利益を生む」
「そうですよ、宇宙船の有無だけで勝敗は決まっています。」
そして、2時間後結論を少女に告げる
少女は楽しそうに笑った
年相応で可愛らしい笑みだった
その数時間後、その内容は首脳とともに各国の上に伝わる
どの国も、わたされた情報の解析に急いだ
「如月?」
テレビ画面上に表示される内容に如月はあきらかに動揺していた
俺も動揺はしている
宇宙人が、やってくる
その事実に動揺するなというほうが無理がある
これと同様の内容が、各国で流されている
どの番組もこの話ばかりしている
如月は別のことに動揺している気がしたのだ
「はははは」
乾いた笑いが如月の口から零れ落ちる
「そうか。このためにファンタジアを作ったんだ」
自分の所属している名を出されて驚く
「どういうことだ」
「久遠は知っていたんだ。知っていただけじゃない、このために布石を打った。ファンタジアも百鬼夜行もこのための布石。そのための駒。こうなることをわかっていたから、はたから見ると無意味かもしれない。それでも意味があった。」
知っていた
布石
こうなることがわかっていた
符合すること
「黒崎は、予知能力を持っていたのか?」
「さぁ?」
曖昧な返事
「はっ」
「久遠は、宇宙人に連れ去られたんだ。世界中で行方不明事件が起こった生き残りだ。」
今テレビ画面に映し出されている内容
「うそだろう」
同時期に起きたただの誘拐事件じゃなくてこの事件に関係していたというのだ
「みなさん、はじめまして、そしてお久しぶりかな。」
そこに映るのは、自分が恋した少女
ライムグリーンの髪に琥珀色の瞳を持つ少女
黒崎久遠
生きていた
あの高さから落下して、生きい伸びた
それは奇跡のように思えた
待ち人が現れた
心が歓喜に震えた
「さぁ、今この瞬間を記憶しなさい。記録しなさい。世界が変わる瞬間よ。その時代時生まれ生きたことを誇りに思いなさい。そしてその誇りを抱きより素敵な世界を未来のためにそして今のために作りましょう。この地に降り立つは、遠き国の王女と王子。今られらが降り立つ、そして新たな幕が開けるわ」
そして、頭上に手を掲げる
頭上に影が命じそしてその強大な姿を人前にさらす
巨大な空を飛ぶ船だった




