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Quand on veut on peut.~「人が望むときには、人はできる」。~


「いいか

これは戦争のようなものだ」


それでもついてくる気があるのか 最終確認を奈落はした

周りを見渡す


集ったやつらの表情を見て声高らかに命じる

 

「俺についてこい」


そのひとことで、百鬼夜行は動く




能力者を人体実験していた研究施設は次々と襲われる

非合法なものから合法的なものまでそこに能力者がいて助けを求めているのならば助けだした


圧倒的な力を前に、武力をもっているものも そうでないものもただ彼らに道を譲らずにはいられない


最悪の場合、首謀者や関係者すべてが皆殺しされる。研究所や軍事施設は跡形もなく破壊する

外部に隠した研究データーも見つけだされ、闇に葬られる

あるいはしかるべき場所へとかえしてゆく



時に、その記憶と研究結果すべてを奪われ、施設は、破壊される。

時にその施設から、能力者だけをさらい助け出す。



能力によって殺されるのではなく自分たち人類が生み出した武器によって殺される

人質を取られていたとか、どうしようもない事情があったもの のみ生き延びた

生きてはいるけれど五体満足ではない

あるものは片腕をまたあるものは片足を報いとして失った

彼らは能力で人を殺さなかった

それはある種のプライドでありポリーシーだったのだろう


この力は、人を殺すための兵器ではない


理由が何であれ彼らは人殺しだ

犯してはいけない罪を犯したもの


あるべき世界の可能性を、壊していくのだ

これからそのものあるべき未来が次々と潰えていく


二度とこんな実験に手を出さないように恐怖をその体にその記憶に刻み込む

これから手を出すものすでに手を出しているものに対して見せつけるように……



戦争を開始するための兵器工場も同じく彼らによって破壊された

争うための新兵器を、二度とつくる気を起こさないように徹底的に破壊する



人の命を奪うことに躊躇したら仲間が死ぬ


そのことを鬼たちは知っている

鬼たちにとっては死神である彼だけが絶対

おにたちはいちまいいわだった


鬼たちを阻むことは誰にもできない

阻むものは消された



そして、今日もまた世界のどこかで彼らは出現する



のちに混沌期と呼ばれるこの時代、彼らの行動は必要悪だったのではないかと議論されることもある。

しかし、彼らは彼ら自身が犯した罪の重さを理解していた。ゆえに彼らがこの議論をもし聞くことがあったとするのならば、『必要悪でもなんでもない。ただの悪であり、背負わなければいけない罪であり、償わなければならないものである。理由が何であれ罪深いことには変わりがない。奈落の底へ落ちる者の集団でしかない。』と口にしていただろう。






国会議事堂にて


来訪者は、突然現れた。

ライムグリーンの長い髪を持つ十代の少女が目前に出現した。

さっきまでその空間には何も存在していなかったはずなのに気がついたらそこにその少女がいたのだ。


「えっと、ここにいるのは日本の大臣たち並びに首相で間違いないかしら?」


凛として澄んだ声が、議論に夢中となっていた議員たちの注意をひきつけた

少女の存在に気が付いた人たちが声を上げて、ざわめく室内。


少女は窓からも扉からも入ってきていない

何もなかった場所に出現したのだ。

茫然としばらくしているものや、夢かと思って瞬きを繰り返すもの、冷静に判断し警備員を呼ぼうとするもの。反応はさまざまであった。


「君は一体どこから?」


そう尋ねたのは、若手の議員であった。

ざわめきの中、その議員の声は、侵入者である少女に届かないと思われた

しかし、少女の耳には確かに届いていた。少女が求めていた問でもあったため、その問いにのみ返答する


「すぐにわかるわ。日本のお偉いさん方にも飛んでもらうもの転移呪(テレポート)


にこにこと返答し、最後に腕をさっと一振りする


次に彼らが目を開けたときには幾人かの議員は見知らぬ部屋にいた

そこには各国の代表者が同じように戸惑った表情でその場にいた


さっきまでの部屋とは違う

そして、部屋の意匠や、この空間のにおいが、ここは日本ではないということを知らせる






突然出現した少女に対する各国の社会的にある程度地位と影響力を持ったものたちの反応は様々だった


あるものは、早口で警備のものに少女をとらえろと命じ

あるものは、殺せと命じる

またあるものを驚きのあまり腰を抜かす


そして皆、この場へとあつめられた


彼らはここに集められた理由を未だ知らない

ここに集められた方法ですら彼らにとって未知のものである





驚く彼らに少女――――――――久遠は、言い放つ。

十代半ばあたりの少女にかなりの地位にあるものたちは命令される。


「とりあえず着席しなさい。どの椅子に座ってもいいから、話がきける状態にしなさい」


ざわめき、戸惑い。

そこには、十代半ばの少女である久遠になぜ命令されなければいけないのだろうかという不満が見え隠れしていた。普段自分たちは命令する側であり命令される側ではないのだ。

彼らの様子を気にするような久遠ではなかった


「座ってよね。早くしないと、無理やり座らせるわよ」


上から目線だと自分でもわかってはいるのだが、こうでもしないとこれからやることにしり込みしてしまいそうになるのだ。見下すのは演技のみ。心の底から見下した時点で負けるのはこっちだ。

もう逃げられないし、やり遂げると決めた。覚悟も肝も据わっていた。


彼らは、結局文句を言いながらも、現状を把握するためにも従った方がいいと判断し近くに用意された椅子へ腰かける

幾人か呆然としていたり、反抗的な奴は無理やり座らせた。


その様子を見て、自分の足で椅子に向かい、座ったものたちは座っておいてよかったと思うことになる。

はっきり言って乱暴な扱い方だった。もっと精密な力のコントロールは可能だったけど、でもんづとれーションの意味をかねて、目が回り気絶されない程度に体を持ち上げて座らせたのだ。


ある程度落ち着いてきたのを見計らう


「能力の人権を無視した実験や人間兵器とするのをやめなさい。」


少女は周りの反応に見向きもせず

反論を許さないという口調で続ける


殺すこらされるの戦場を生きたことのあるものはこの少女から発せられる殺気に身をすくませる

嘘でもなんでもなくこれは本気なのだということを言外に告げるその殺気


「戦争をやめろ。そういってもあなたたちには意味がないかしら。何らかの利益を求めているのでしょう?だけど、内輪もめしている場合いではないわよ。いいの、第三勢力がこの地球に現れるわよ。」


第三勢力

そういわれてこの場所に集まっているものたちは何を想像するのだろう?

少女はそんな風に思う


「この世界に知能ある生物がまさか自分たちだけだとは思ってはないでしょうね。宇宙上に存在するほかの惑星からの使者が時期に来るわ。これは予言でもなんでもない確定事項なの。」


あるものはこの少女が頭のおかしいヘンなものだとくだすように見る

また、能力者の存在を知っているものは少女を警戒する

自分たちの場所にに突如現れたということはこの目の前の少女はそういう能力を持っていることになる

自分たちの未知な能力

それの研究所やその職員はヒャッキヤコウという組織につぶされ殺されている


また、能力を持つ者は少女から発せられる言葉に魅入られるように聞く

どうして自分がそうしているのかは理解していないだろう

本能みたいなものなのだ


少女は、能力者の上位種なのだから。


「口でさ、こんな風に何かを言っても信じないよね?ここにいる大半は私をヘンなものを見る目で見ているもの。だから、味わってもらおうと思うの。このまま愚かな選択を続けていたら起るべき未来、可能性未来だけどね。いくつかそれじゃあ観て聴いた味わってもらおう。大丈夫、痛覚は半分にしてあげるからショック死で死なせても上げないからね。可 能(エクスペリエンス) (オフザ) 未 来(ポシビリティ)体 験 呪(フューチャー)


そんな少女の言葉とともに、彼らは苦痛の表情を浮かべることになる


痛みが支配したのだ。

初めは何で痛いのかどこが痛いのかわからなかった、意識が混濁し始めその痛みの正体に気が付く



「これはまだ序の口。これから君たちが見るのは君たちがしようとしていたものによっておこされるであろう悲劇だ。体験してもらおう。あんしんしろ。殺しはしない。」



そして体験させられる

苦しみ痛み

そして後悔

それらは、可能性未来の一つ


自分ではないものの感じたもののはずなのに自分のことのように感じる

苦しさも何も自分たちが今これからしようとしていたことによって未来で起こる出来事

もし、この少女が現れなかったら自分たちが選択していておこってしまったかもしれない未来


「これは…」


茫然としてまだ現実と夢の境にいるものたちも若干名いるようだけど、気にせずに進めることにする



「お帰りなさい。各国の偉い人間たち。これでもまだ理解できないのかな?できれば君たちの意志で選択してほしいわ。洗脳という手でこの世界そのものを支配することは難しくもないわ。それではいけないのよ、自分の世界くらい自分で守りたいでしょう?」



茫然自失としたまま少女の言葉にうなづく

うなづかず人はいられない


アレはもう二度と体験したくない


見せられたものが嘘か本当か判断する気力すらも彼らにはなかったのだ



「宇宙人から和平の申し込みがあるわ。これを受けなさい」






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