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Il est attiré fortement par un coeur noble~強く気高い心に惹かれる~

「わたくしは、あなたに協力したいと思います、わたくしだったらその選択は耐えられない。」


心の底から出た言葉だった。

わたくしには、彼女のような覚悟を持つことはできない

だから、覚悟を決め いまわたくしの前にこうしてあらわれた彼女を素直に尊敬できた

わたくしには、権力という力も呪術師としての力もある。

だけど、わたくしは力を持っているからといって特別何かを起こそうと考えたこともしたこともなかった。

王位を継ぐのはわたくしではない。兄様が、次期王となるのは明白なる事実。

だから、いつか他国や他惑星の力あるもののもとへ嫁ぐことだけしか考えていませんでしたわ

それが、王の娘と生まれた王女としての責務

それだけではいけないのかもしれませんわ。

わたくしにはほかにもできることがるみたいです

彼女がどういう教育を受けどういう暮らしをしてきたのかは見せていただきましたわ

この国で言う一般の民の教育と同じくらいの教育しか受けておらず、またこの惑星の民ではない、彼女には圧倒的に足りないものがあります。

そして、わたくしは彼女の足りない部分を補う力を幸いなことに持っていますわ

だから、わたくしは彼女の手を取ることを決意します。

誰でもない自分自身に宣言する




わたくしを利用することへの申し訳ない気持ちで心が痛むそういう表情を彼女はした

それは、うそ偽りに道化仮面なのかそれとも心の底から現れた表情なのか区別はつかない


彼女の過去が流れ込んだ時、彼女の心も流れ込んできた。まぁ、わずかにですが。

過去を他人に見せる呪術は最高難易度ですから、それくらいの失敗はつきもの。

もし、心まで流れ込んでいると知ったら彼女は協力を破棄はしないでしょうけど、距離を置くでしょうね

変に同情されるのは嫌がるタイプでしょう。

協力を破棄しないのは損得で動いているからでしょうね。





わたくしも馬鹿ではありませんもの

わたくしを利用としていることに気が付いていますわ

利用利用されることなどこの魔窟の宮殿の住人の一人たるわたくしが気が付かぬわけがありません

それでも、選択したのはわたくしです。

わたくしが彼女に協力することを私自身の意志で決めましたもの

誰にも邪魔をさせるつもりはありませんわ



「いいの。もう終わったことよ。でもね、あなたたち他の惑星の住人の存在や呪術式の存在を明らかにすることで、もしかしたらもう一度会えるかもしれない。」


あっけからんと、告げられた最後の言葉には少ししんみりとしたものが混ざっていたことに彼女は気が付いていないのでしょうね。


わたくしに流れ込んできた心の中に、もう一度会いたいというものがあった

とても大切な人への思い

会いたいけど、会えない

会うわけにはいかない。


願うのは、幸せと平穏


切なく、胸が締め付けられるような思い

押し込めて押し込めて……心の奥へと仕舞い込もうとしてもできない未練に似た何かが流れてきたのだ。



「戦争は嫌。戦争によって新しい技術が生み出されるかもしれない。でもね、ひとの命という犠牲を出してまで技術を生み出す必要はない。人は強欲だから、満足せずにさらなる上を求める。いいことなのかもしれないし悪いことなのかもしれないわね。だから、矛先を変えようと思うの。」


変えられないかもしれない

さらなる悲劇を生み出すかもしれない


それでも、そうしたいからする。

彼女の意志が伝わってくるようだ


「いいわ。協力する。責任は、わたくしが追いますわ。それくらいさせていただきたいものです。」

「無理よ。その人にはその人に見合った責任があるわ。私のは誰にも背負えないわよ。」


どうやらこの辺の部分はものすごく頑固みたいですね


「はぁ、兄様に話はつけますか?」

「いいよ別にしなくって。乗り込むから。」


乗り込むって、王の間に乗り込むということですか?

無茶苦茶な

しかし、彼女ならあり得る

出来てしまう。

彼女の相棒にとって、この宮殿の警備など意味をなさないでしょうしね


「わたくしは、計画の先のほうを進めさせていただきますわ。ふふふ、あなたの生まれ育った国。案内していただけます?」


緊張している感じは見受けられないけれど、王の間に乗り込むことに多少は緊張しているでしょう。

ここは、楽しいことを考えるのが一番ですわ

そうすれば心が自然と楽になりますわ

……そうなるのはわたくしだけでしょうか?


「もちろんよ。今のアリサが地球に行っても平気よ。みんな、こんなんだからね。この惑星の住人の容姿がこういう風なのはきっと魔力や魔気の影響ね。トリックスターは結局のところ魔力の塊だわ。その影響を同じように受けたということね。」


ふふふ

そう笑う彼女の様子を見ると、どうやらそれ以外にもいろいろと何かしたらしい


「それに、お父様にもそろそろ隠居していただきたいと思っていましたのよ。」

「王様が、私にたてついても殺さないで上げる。勿論、アリサのためよ。」


わたくしのため。そうですわね。彼女なら、王を殺すことなどたやすいでしょう。

兵など役に立たないことは、わかりきっている。

彼女は、魔獣の眷属とも呼べる存在

眷属では、ありませんわね。

いうのならば右腕のような存在


「わたくしのためですか。感謝しますわ。」

「うん。アリサは好きよ。物わかりがいいしね。一応死者は出さないつもり。あと後の話を進めるとき面倒だもん。」


それはよかったわ

私も私の国の民が死ぬことは悲しいですもの

その一端に私自身が関与しているとなると胸が痛みます

きっとそのことを見越しているのでしょうね。


「無理をしないでくださいね。いってらっしゃい」

「うん、いってきます。アリサ。あなたに出会えてよかったわ」


にっこりとほほ笑む


転移呪(テレポート)


本来なら長い詠唱が必要なものを彼女はたった一言で済ましてしまう

あっという間に彼女の姿は消える

呪術師としては羨ましい限りの力

わたくしの器にはあれほどの魔力を受け入れることはできそうにありませんわね

彼女は、魔力を受け入れるために体を対応させた

初めから魔力となじみのあるわたくしたちとは違う

魔力などない惑星にいた彼女は、ある意味では進化したともいえる


途方もない苦痛を伴って一代して成し遂げた進化


「わたくしは、あなたのような強さがほしいですわ。精神(こころ)の強さ。」


わたくしにはきっと耐えられない

彼女のような選択は、できない

道なき道をたった一人で歩むことを決めるなんて、わたくしにはできない

けれど、そんな彼女の手助けくらいなら可能のはず


「わたくしも頑張らなくてはいけませんわ」


計画を進めるために、わたくしも動き始めることにしますわ。


友の助けとなるのならば、多少の無茶はするつもりですわ

しってしまったら知らなかったころには戻れそうにない


守られてばかりの王女は、守るために動く

王女の顔色ばかり見るものたちと違う初めてできた心の底からいとおしいと思える親友のために。


もしかしたら、そのことすらも彼女の計算のうちなのかもしれない


「それでもかまいませんわ」




結局、選択したのはわたくしなのですから……









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