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Donnepour grandir~伸ばす手~


ガガガッ 私の一存で地球に住む者たちの運命が狂った。


お願い                  ザザッ

ザァザッ あんな悲しい未来を現実にしないで…!



ノイズの嵐の中だれかの切実な思いを感じた気がした

まだ、目がさめきっていない

ぼんやりとした頭で思う


何度かこの思いを感じたことがある

悲しい女性の声

胸がきゅっとなるような感じ

僕は精神感応力なんて持っていない

それでも、繰り返されると何か重要なものである気がしてしまうのはなぜなのかな

やらなければならないことを、思い出していく

あたまの中できょう一日のスケジュールを急いで組み立てながら起き上る


洗面台で顔を洗い歯を磨く

髪をとかして、ひげをそる


洗濯機に寝巻を放り、ほかの洗濯物と一緒に回す

クローゼットの中から適当に服を見繕いきる


一人暮らしを始めてもう3年目だ。


朝ご飯はいつもマンションの近くの喫茶店でとる


いつもの朝


そういつもと変わらない朝のはずだった


マンションから出てしばらく歩いたところでそれを目撃した



「やめてください。紅葉 が何をしたというのですか!!紅葉をどこに連れて行くつもりですか!

紅葉は、渡しません!」


若い女性の声が、朝の町中に響き渡る

それは、僕の耳に届くほどだったからかなりの大声だったのだろう


何があったのだろうか?

興味本位で声のする方へ行く


「そいつが例の事件にかかわっていることは調べがついている」


男の声がした

よく見ると警察の恰好をしている

さっき声を張り上げた女性とそっくりな女性がもう一人

もう一人は、怯えきっている

どうやら二人は、この警察官から逃げているみたい


それより、例の事件っていったい何のことなのかな?

僕の疑問はほかの野次馬が答えてくれた


「例の能力事件だろ?」

「あぁ、昨日の夜のやつだな」

「そうそう、なんか酔っぱらいの男を宙に飛ばしたらしい」

「殴ったってこと?」

「ちがうちがう。手も足も使わずに酔っ払いをポ~ンって中に放り投げたらしい」

「こわっ。人間かよ。化け物じゃねぇか」


何人かが面白そうに携帯を取り出し写真を撮ったり、動画をとったりしていた

完全に見世物扱いだ


ムカッ

腹が立った

あの女性たちは必至だなのに。

金切り声で女性は否定する


「化け物なんかじゃないわっ」


能力者事件

僕も能力者だ

僕は、この能力をはじめきらぅていたけどあの方はそんな僕の力も僕自身も必要としてくれた


どうやら今日はいつも通りで終わらないみたいだね。

鬼的日常はまぁこんなものといえばそうかもしれない


平和で平凡な日常よりも刺激的な日常のほうは正直俺好みだ

好みだが、誰かが傷つくのばかり見ていて何もしない人間は、嫌な奴だな


あの方の言葉を思い出す

あの方は、僕の憧れだ

僕は、あの方のためになら命を捨てることだって惜しまない

あの方は僕を救ってくださった

僕を受け入れてくださった




ヒーロー気取りかもしれない

だけど、見て見ぬふりをして、通り過ぎたことをあの方が知れば僕に失望するかもしれない。

そのことのほうが嫌だった



こんな風に大勢に囲まれて、それでもその強い意志に満ちている目

きっと、あの方はこの女性を機にいると思う


いまあの女性は自分そっくりな女性を何が何でも守るという意志の強さを僕でも感じる



誰かのため、自分のため…何のためでも強い意志を持っている奴は輝いていると思う


あの方の言葉が再生される

僕がやるべきことは決まっている

きっとあの方がここにいたらこういう風に行動するだろう




ポケットの中から、仮面を取り出す

いつも持ち歩いているものだ

あの方が、この仮面はいつも持っていろ

そうおっしゃられたから持ち歩いている

仮面をつけるとたちまち、容姿が変わる。


オレンジ色に黒いコートを着た仮面の男は、突如現れたように周りにいる人間には見るよね

今までここにいた人間を思い出すことはもう周りにいる者には無理だよ

だって、防犯カメラの映像も仮面をつける前の姿が消されている

目元を覆う仮面

これは、特殊な仮面なんだ

認識を操作するだけでなく電子的なものにまで影響を与える優れもの

亀姫が作った優れもの

亀姫のつくるものは、どれも凄すぎる性能を発揮する

でも、僕亀姫にまだあったことない。

あの方曰く無駄美人らしい。

でも、僕は本気で亀姫一人でこの世界の化学水準を半世紀ぶんは、あげられると思うよ。

あとで、感謝のしるしに差し入れを持っていってあげよう

亀姫あまいものが好きらしいから、甘いお菓子がいいよね


仮面が、日常から逸脱した証のように周りから浮き出す


仮面の男に築いたものが身を引いていく

だけど僕は気にしない

大したことじゃないもん



「貴様誰だ。」


警察のような恰好をしているけど、何かが違う

あぁ、そうか偽物なんだ この人

こういう話を聞きつけ能力者の売買に手を貸す者ってやつかな


見分け方、あの方に教えてもらっているから僕にはわかる


「僕?僕は、通りすがりの者です。えっと、邪魔ですからどいていてもらえません?」


僕は朝飯抜き状態だから機嫌あんまりよくないよ。


若い女性は、紅葉という名のもう一人の女性をかばっているみたい

二人の女性はとてもよく似ているなぁ

双子か姉妹?

めずらしいよね

今のご時世兄弟や親子姉妹でも似ている容姿は少ないトリックスターのせいでいろいろと人体改変されているから。


女性はどちらも、紫色の髪をしている


「選択肢をあげる。だから選んでよ。」


怪しいやつを見る目で思いっきり見られるが気にしない 気にしない

もう一人は怯えた目つきでそっと見てくる


わぁ、すごく美人さんでかわいいひとだな


「このまま、あの人に連れ去られて無実な罪を着せられるか。っていうかそいつ本物の警察じゃないから人身売買される道を選ぶかのほうが正しいのかな。やっぱりあの方みたいに決まらないな…」


偽物の警察が一瞬たじろぎのを僕は見逃さない

そして、意志の強い女性もまた見逃さなかった

さっきよりもいっそう鋭い目で、偽警察をにらむ 


こわっ

あの睨みだけでこの女性人殺せちゃいそうだよぉ


「その能力を失いたいなら、あの方がきっと奪ってくれるよ。あるいは、えっと、そう…『オレの下につき、その能力をだれかを助けたりさばいたりするために使うか。その能力を使いこの場から逃げるか。選べ。』って言われるよ。どうする?」


「アナタ何?」

「僕?僕は君と同じようなものかな。能力者だよ。コードネームは、天狗」


おびえている紅葉という名の女の方に語りかけるように言う


「ヒャッキヤコウ?」


紅葉という女がその組織の名を小さくつぶやく

うなずく


「楓。このヒトなら大丈夫。このひとたちなら・・・」

「紅葉。何言ってるのこいつめっちゃくちゃ怪しいっ」


それ、僕自身も思うよ

まぁ、実際十分怪しいとおもう


でも、あんまり時間がないんだ

早く選んで


「わ・・・わたし、わたしを化け物扱いしない?」

「あぁ。僕も、あなたと同じような力を持っている。同類だよ。」

「そのひとの下につけば、わたし助かる?」

「できる限りのことをしてくれるはずだよ。とりあえず、あなたたちはここから逃げたい。間違いないよね。」

「うん。」

「もう一人はどうする」


迷ったのは一瞬


「紅葉が、行くのなら私も行くわ。連れて行って。」

「わかった。つかまってね」


二人の女性が僕の手を取ったのを確認したと同時に発動させる


突風が朝の町を襲う

突如命じた風は、外側には荒々しく

そして内側には優しく包み込むかのように吹く


シュン


僕たちの姿は朝の町から暴風とともに姿を消した




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