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Pluie~雨~ -3-

「つまり私は、人の心を読む能力者ということですよね」

「うん、自分御力でコントロールできるようにしておいた方がいいと思うよ。じゃないと絶えず他人の考えが君にまとわりつく。応急処置を程後すことしかぼくにはできないけどね。牧島さんさえよかったら、ファンタジアのメンバー総出でコントロールできるまで付き合うよ」


ファンタジアってなんだろう。

この店が変わっていることと関係しているのかな。

私なんか変な方向に進んでいる?


でも、私が帆との心を覗けてしまう

その一端は自分が体験したからわかっている


コントロールする必要性があるよね。

それに、コントロールできるまで…一緒にいられるかもしれない

学校じゃあ話もろくにできないけどここではできる

学校で、如月先輩がモテていることもかなりの人気であることも知っている

クラスの中にファンがいることも。。。


私は、この力のおかげで如月先輩の学校では見られない一面や秘密それにもしかしたらあの憂いに満ちた横顔の意味も分かるかもしれない


私はどんな些細なことでもいいから如月先輩のことを知りたい


「お願いできますか?ファンタジアってなんですか?」

「僕らが創設した能力者と人の懸け橋となる組織みたいなものだよ。能力者を道具や兵器にさせるつもりはない。能力者自身がおごりたかっぶることを良しとしない。組織かな?」


お茶を、テーブルに置き終わった栞子さんが口をはさむ


「羽矢君。大事なところが抜けていますよ。お嬢ちゃん、能力者もまた人間だということをわかっているかい?そのことを知ってもらいたいんだよ。私らはね。」


自分が人間でないかもしれない。

それを考えていなかったといえばうそになる

いい方にいい方に考えていたけどやっぱり不安は残っていた

自分は化け物なのかなっていう不安


人間という枠から外されてしまった

たとえるのなら、クラスの中で一人疎外され続けているような感覚に似ている

それよりももっと痛い


でもこのおばあちゃんに優しく言われたおかげで人間なんだって実感が持てた

私のおばあちゃんは小学生の頃に亡くなった

かなりおばあちゃん子だった私はショックで悲しくて大泣きしたのを覚えている


「私も入れますか?ファンタジアという如月先輩の作った組織に。」


「入ってくれるの。ありがとう、嬉しいよ。」


先輩は驚いたように、まじまじと私を見る

信じられないようなものを見るような、隠しきれない嬉しさ。

一瞬だけ瞳にそれらがよぎっていた


にっこりと王子様スマイル

きゅん

輝いている。如月先輩の周りだけキラキラとしている。

私は、もっとこの人のそばにいたい

もっと私を見てほしい

私を知ってほしい


その日私は、能力について詳しいレクチャーを受けた。

それからわたしののうりょくがONOFFのコントロールができるまで如月先輩が結界を張ってくれることになった。

精神に張る結界は、難しい

そういっていた

暖かく包み込むような結界

如月先輩にいつも守られているような感じがして、嬉しい


私は毎日のように学校が終わった後この店に足を運んだ

この店の従業員さんは、能力の有無にかかわらずファンタジアのメンバーだということですっかり仲良くなった。

時々買い物帰りにお店による大川瑠璃さんは、能力者じゃないけれどファンタジアの一因だといっていた

彼女の夫が能力者で水を操ることができるそうだ


私の専属コーチは栞子さん

能力が似ているというのが理由

私は自分の心の中にドアをイメージしてそれを占めることでOFF明けることでONというトレーニングをした

如月先輩も、教えに来てくれた

如月先輩の張った結界があるときとない時を見分けること

自分の心にその結界意に似たものを張れるようになること

それができるようになったら、私の思っていることを他の人に言葉じゃなく伝えられるかどうかやってみることになった


受信でなく送信をやってみる

それは、なかなか難しいものだった

それでも、上達すると喜んでもらえるから頑張って練習した


一緒にいる時間が長くなると嬉しい

もっとそばにいたい





「かなちゃん最近毎日早く帰っちゃうよねぇ。彼氏でもできたのぉ。」

学校で昼休み、友人の那奈が急にいう

いつか言われるんじゃないかって思っていたけど…那奈は、妙なところで鋭い

普段はぼんやりとしていて、どこを見ているんだかわからない子なんだけど。


「出来てない。彼氏ほしいよね。」

「かなちゃんは欲しいんだ。あたしは、まだいいいや。」

「まだいいやって、恋愛に興味ないの?」

しばらく目を宙に泳がせ何かを考えるそぶりをする

「興味がないっていえばうそになるけど…あたし、男の子怖いもん。」


恋愛には興味ある。でも、那奈は男のひとが苦手らしい

そうなったのに何かわけがあるのかもしれないし、ただたんに強そうだから怖いみたいな単純なものかもしれない

すぐ考えていることが顔に出るというよりも那奈の場合わざとそうしているようにも見える

本当の部分を悟らせたくない

そんな感じがする

私が能力を使えば分るのかもしれない

でも、悪用だと思う

那奈にも悪いしそれにそんなことしたら如月線お会いが作ったファンタジアにきずがつくかもしれないからできない


「そうだったね。今日は、一緒に帰れそうだよ。おいしいコーヒが飲めるお店屋さん見つけたんだけど行く?」

「うん。行く、行く。でさ、かなちゃん如月羽矢先輩に恋しているよね。」


・・・・・


「えっ、」

「してるよね。あたし、かなちゃんとそう短くない付き合いだもん。わかるよ。たまぁに、廊下ですれ違うときとか、ぼぉっとして見つめているよね。話してるときとか、恋する乙女の表情だもん。それに、ほかの女の子が、如月先輩のこと好きって言っているのきいて複雑そうな顔してる」


「私ってそんなに顔に出るタイプかな?」

「うん。見ていて楽しい。飽きないよ。かなちゃんは、好きなの。」

「好きだと思う。でもね、なんかこう違うの。」


そう、ちがう

うまく言えないけど違うのだ

前に付き合っていた男の子のことも確かに好きだった

その時の好きと何かが違うのだ


元彼と付き合っていた時感じたのは、楽しかったし同じ歩幅だったと思う

でも、一つ上だからなのかな

遠い存在に感じる

一緒にいると、時々何顔をもいだすような遠いい目をしたり、憂いに満ちた目をする

心臓をわしづかみにされるというかなんて言うんだろう。


「…。かなちゃん、もし降られたら私の胸かしてあげるから思いっきり泣いてね。」


「降られるって不吉なこと言わないでよ、まだ告白もしてないのに降られるって!!」


「あはは、もしものはなしだよ。ふぁいと。恋する乙女かなちゃん。当たって砕けちゃえ」

「いやだから、砕けたら困るし」






放課後、約束どうりかなちゃんと一緒においしいコーヒーを飲みに行くことになった

かなちゃんと寄り道するのは久しぶり。

かなちゃんが2日れんぞっくで休んだあたりから帰るのが早くなったのだ

連れて行ってもらったお店は、洋風のお店だった

凄くおしゃれだけど、おしゃれすぎてはいるのにためらっちゃう

かなちゃんが一緒にいなかったら、お店に入ることはなかったと思う


カランコロン

かなちゃんの後について行きながら店内に入る

アンティークというものなのかな?

よくわからないけど、洋館にありそうなものが並んでいる

洋館にも入ったことないから、間違ったイメージかもしれないけど・・・


店内には、おばあちゃんと、背の高いかっこいい男のひと、それからウェイトレス姿の美人の女のひと

お客さんに、スーツを着た男のひとと私服姿のかなちゃんの想い人がいた


「あら、かなでちゃん。いらっしゃい。今日はお客さんかい?」

「はい、そうです」


おばあちゃんと、かなちゃんの話を聞くとどうやらかなちゃんはここに何度も足を運んでいるみたい

今日は、お客さんかい

おばあちゃんの話から考えると、かなちゃんはお客としてではなく個々に足を運んでいるってことになるのかな


「かなちゃん、ここでアルバイトでもしてるの?うちの学校アルバイトOKだしね。」

「えっ・・・・あ、うん。そうなの。」


妙にあわてているかなちゃん

困ったような、焦ったような。どう説明したらいいかわからなおいから妥協したみたいな感じがする


アルバイトじゃなかったらなんなのかな?

話したくないんならいいや。話してくれたらきけばいいもんね。

隠し事されるのはあんまり好きじゃないけど、隠し事や嘘偽りという仮面なしではこの時代やっていけないもの。


「で、あれがかなちゃんの好きな人?」


金髪碧眼、スタイルも悪くない。

見た目は、物語の王子様のようだと思う

性格はどうなのだろう?


…あたしは、かなちゃんに言えないことがある

かなちゃんがあんまりのもこの先輩を思っているみたいだから言えない

あたし、知ってるよ。

如月先輩の彼女が岬から海に飛び降りたって話

そして、いまもなお彼女の生存を信じて待っているってこと


だから、かなちゃんの思いも届かないかもしれない

如月先輩に、告白した少女たちは皆振られている


軽いきもちで告白した子も思いつめて告白した子もみんな振られている

かなちゃんも例外ではないかもしれない


「うん。あ、マスターコーヒー2つ。いいよね、那奈。」

「うん」


かなちゃんは、如月先輩を目で追っている

妬けちゃうな

かなちゃんにこんなに思われていてずるい

かなちゃんのこともどうせ降っちゃうんでしょ


「どうぞ」

目の前におかれたコーヒーカップを手に取る

ぶあっ

珈琲の匂い

マスターの淹れたコーヒーを口にする

「おいしい」

私が、いままで飲んだコーヒーの中で一番おいしい

「いいかおり。酸味が、嫌な感じしない。」

ぽっりとつぶやいた言葉

それなのに、マスターには聞こえていたみたい

「気に入っていただけましたか?よかったです。それは、エチオピアのコーヒーなのですよ」

「おいしいでしょ。ここ、コーヒーも紅茶もおいしいの。」


いつか、かなちゃんも知ることになる

黒崎久遠先輩と如月先輩の関係、そしてその終焉を…





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