Propulsepour réveiller ~覚醒する力~ -4ー
「んんんむ・・・・」
手を伸ばしイメージするけどなかなかうまくいかない
「ダメみたいね。」
久遠がその様子を見て判断する
手に持っているメモ書きに何やらメモを書く
羽矢はただいま能力実験中
こないだできたから、できるはずなんだ
「だめそう」
「休憩する?」
久遠は、飲み物とお菓子を持ってきた
「何がいけないんだろう」
「いけないじゃなくってさぁ、どうしたらいけるんだろうって考えようよ」
どうしたらいける。
どうしたら発動できるかということだ
2回もできたんだ
できないわけではないだろう
「結界。守るもの。阻むもの・・・・」
久遠も何か考えているみたいだ
ジュースを口につける
あまくすっきりとした味が口いっぱいに広がる
「ねぇ、羽矢。発動した2回はどんな気持ちだった?」
発動した一度目は、久遠が男に絡まれて危ないと思ったから・・・
あんな男に触れられたら久遠がけがされるくらいの気持ちはあったかも
久遠にはないょだけど。
久遠に、こんなこと言ったら間違いなく激怒される
対等な立場でしょ!!
彼氏彼女なんだから・・・どっちが上とか下とか、きれいとか汚いとかそんなのいやよ
そういわれると思う
発動した2度目は久遠に、突然襲われた時
スタンガンを、当てられ死ぬかもっておもった。
すこし、久遠に対して恐怖感があったのは否定できない事実
「危機感かな?」
「危機感?2度目はわかったけど1度目はそんなに危機感あったかしら?」
不思議そうに首をかしげながら過去を回想する久遠
「あれくらいの男、私 ぶちのめす 自信あるけど…?」
危険でもなんでもないわ
そう言外に行っている
「それでも、やっぱり怪我をとか心配する。」
「ありがとう。優しいね。羽矢」
危機感か・・・
危険に自分を追い込めば発動する?
追い込んで活路作戦??
「そうね、羽矢が危険だと思うことを強く頭に思い浮かべてみたら?」
危険
自分に危険が迫るっていうのは現実感がないせいだろうかイメージがしにくい
だいたい平和なこの国で早々危険なことは起こらないと思う
まぁ、危険なことをする人間っていうのはどこにだっているだろうが・・・
羽矢の隣でクッキーをおいしそうにもそもそと食べている隣の少女に、こないだ危険な目にあわされたからだ。
「ん?」
いま何か思いついた気がする
「何か思いついた?」
「思いついたかもしれない。」
自分が危険な目にあわされるのが想像できないのなら他人が危険な目にあわされるのを想像するのはどうだろう?
特に隣にいる久遠が危険な目にあったとなれば、羽矢は間違いなく助けたいと思うはず
久遠が傷つけられる様を想像すればうまくいくかもしれない
思う着いたら即実行に移そう
「久遠、協力してくれる?」
「いいよ。何をすればいい?羽矢をまた襲う?それとも・・・」
「ちがうちがう。その必要はないから。久遠はただ僕の隣にいてくれればいい」
「隣に?いいわよ。それだけ?」
「うん。あっ、あと、そうだな。久遠の女優並みの演技力で、悪い奴に襲われていてピンチって声出してくれるといいかも」
羽矢の言葉で、羽矢が何をしようとしているのか想像した久遠はにんまりと笑ってまかせてという
ジュースを置いて、すたすたと羽矢の隣に来る
「じゃあ行くね」
羽矢は目を閉じる
目を閉じともいうかべる
「いやぁああああ。やだやだやだっ。こっちに来ないでよぉ。」
久遠が隣で身をよじるように悲鳴を上げる
ただし、声のボリュームは抑えられている
もしこんな声を聞かれてしまったらご近所さんにいらぬ誤解を与えてしまうだろうとの配慮だろう
声のボリュームは、さほど大きくはないが、鬼気迫るものを含ませて久遠は言う
思わず、本当に襲われているように聞こえる
「やぁ、やよ。うっ・・・シニタクナイ。ヤメテ」
羽矢の頭の中で久遠は覆面をした男にじりじりと近寄られている
その男は刃物を持っている
ギラリと光る包丁
そして久遠の肩に手を置く、男
「いややああああああ」
絶妙なタイミングで、久遠のおさえた悲鳴
その時、羽矢の頭の中で何かがはじけた
―――――パンッ
空気をさくようなあの音
目を開けていく
開いた目に映るのは半透明のあの箱
久遠と自分を囲むようにあるハコ
久遠を守るように、あらわれた箱は、見間違えるはずもない
これは、久遠の言う結界だ
「できたわね。すごいわ、羽矢。」
「で…できた」
まじでできるとは思わなかった
今の感じ。
忘れないうちにもう一度
さっき感じたもの、それを思い出せ
すうぅ はあぁ
深呼吸をする
カッと目を見開く
バチン
結界が出現した
結界の上のもう一つ結界
「すごっ。」
「久遠、ありがとう。久遠の協力がなかったらこんなにうまくイメージできなかったよ」
「役に立ててよかった。なんか私だけ はしゃいで いて申し訳なかったのよね。」
瞬きひとつで結界を消す
これは前にも一度やったから慣れている
―――――――――――こうして羽矢は、自分の能力を自分の意志で使えるようになっていった




