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le calme avant la tempete ~嵐の前の静けさ~ ー5ー

羽矢のお兄さん矢的さんの名前の読み方がわかりにくいという感想があったので、前置きしておきます。「矢的」=ヤマトです。

「悠さん」

これは久遠の声

かなり驚いている


「し 師匠!」

こっちは羽矢のもの

久遠と同じく驚いている


なんで、師匠が今ここにいるの?

師匠ってたしか海外にいなかったっけ…

そしてはたと思い至る


羽矢と久遠の武術の師匠であるこの女性


久遠の母親である零無さんの唯一無二の親友


「いいか 小僧

物事には順序があるだろうっ」


あの師匠

目が座っていたかなり怖いです


「は、はるかさん?」


久遠の声に反応した師匠は、羽矢の時とは打って変わってにこやかな笑顔

わぁ、すごいかわりよう

いつみても唖然とする



「くおーーーんちゃん」

そういい久遠を抱きしめる


師匠はすごく身長のある女性

男からも女から見てもナイスバディってやつだ

性格はさばさばしていて付き合いやすい

まぁ、零無さんとその娘である久遠のこととなるとデレデレというか溺愛というか…

キャラが変わる




「よかった

心配で、心配で部下に仕事全部押しつけて飛行機で言葉通り、飛んできたよ」


嬉しさのあまりさらにきつく久遠を抱きしめる

久遠の身長はほどほどのはずだけど、師匠の身長が高い

久遠は師匠の胸に押し付けられるような形で窒息死しかけていた




「ご… ごしんぱいを オカ…マシ…す・・・・・ん

く ぐるじいです はるかさん

い、 息がっ」


「悠!!いい加減にしなさい

久遠の傷口が開いてしまうわ」


あいているドアから姿を現したのは零無さんだった

この場で唯一、師匠の行動をいさめることのできる女神さまのような存在

ふぅっ

思わず安堵の息をつく

よかった。これで師匠に殺される危機からは羽矢自身も久遠からも遠ざかった


「レイム 

って、いま“傷口”っていったぁあ!

久遠ちゃん、そう言うことは、先にちゃんと言いなさい」


「言おうとしたけど・・」


言う前に抱きしめるから言えなかったんです

そう久遠が続けたいのがありあり伝わる


はぁはぁ

まだ肩で息をしている久遠

羽矢が代弁する

「師匠がノックなしに乱入して久遠に抱き着くのが悪いんですよ」


その言葉は、師匠に見事にスル―された

師匠

無視しないで下さいよぉ…


「怪我してたのか平気か?

いたいか?」


「痛さは、だいぶへいき。」


腕にある絞められた後

それをみてヘラヘラしていた師匠の雰囲気が張りつめる

怖いくらい真剣な問い



「誰にやられたか解るか」


久遠は、ふりふりと首を横にふる


うそはついていない

あれが何なのか久遠は、詳しく知らない

だから、羽矢にオニといったのだろう


嘘はすぐに見破られる

師匠はその道のエキスパートだ


「なにがあった」


ぐっと唇を血のにじむほどかむ

服のすそをぎゅつと掴む


「久遠」


沈黙

顔をうつむかせて絞り出すように一言



「屈辱を味あわされた」


ただそれだけいう

女として出はなく人としての屈辱


だけどそれは、羽矢にもママにも悠さんにも久遠は告げずにおく


勘違いしてくれていたほうが都合がよかったのだ


「詳しいことを聞かれても答えられないわっ」


「そう

ごめんねつらいこと聞いて」


師匠の謝罪に小さく頷く

沈黙

またしても沈黙

時計の針の音や廊下の喧騒が耳に入るほどに


TATAT

廊下を、走り出さないのを懸命にこらえている足音


「羽矢っ。久遠ちゃんが、発見されたって書かれた おき手紙みたぞ

どうしておこさないっ」


「だって にいさん 昨日遅くまで仕事してたから。

起こさないほうがいいと思った」


まぁいいわけなんだけど、本当は、起こす時間すらもったいなかったんだ

とにかく急いでいたから仕方がないじゃないかっ


「ああん

そんなことどうだっていい

未来の義妹になるかもしれない女の子だぞ。

心配して当たり前だ」


前半戦は大声で、後半生は羽矢の耳元でささやく

何言うんだよ にいさん



「にいさん

僕たちはまだ、そう言う関係じゃないよ」


ささやき返す


しかしその兄弟のやり取りを久遠は聞いていたらしい


「えっ、さっきそう言う関係になったでしょ

羽矢告白してわたしokしたもの」


わぁ、久遠もう少し黙っていてもいいんじゃない?

無邪気笑顔で、久遠は告げる。

その声は、とてもうれしそうにはずんでいる。

師匠にだけは言うな

そういっとけばよかったと、後悔をしかけたけど、この笑顔を見てしまった後じゃ何も言えない。

反則だよ…


その久遠の言葉にこの場にいる全員が、様々な反応をする


「なんだって 久遠ちゃんは こんな軟弱ののどこが、いいって言うのかっ

起きてる、久遠ちゃん」


これは、もちろん師匠

軟弱モノってなんですか!!


「起きてますよぉ

はーやちゃんに、告白されて夢みたいに幸せです」


完全にのろけモードの久遠

お願いだから、空気よんで久遠

師匠のこめかみにぴきっと青筋がたっているように見えるんだよね…コワッ

久遠は、うっかり昔の愛称で羽矢を呼ぶ


僕らが中学にはいるまで互いに愛称で呼ぶのは、はずかしいからやめようと決めた


だから学校では羽矢、久遠って読んでいたし、お互い学校には別の友達とつるんでいた

羽矢は男だし、久遠は女

まあ お互い ただ家が近所の幼なじみを装っていた



それというのも小学生の時 羽矢のことが好きな女の子がいて、 

羽矢が別にそのこのこと好きでも何でもなかったため、やんわりと当たり障りのない

――――――――――当時の羽矢がそう信じていた言葉で丁重にお断りした


“ほかに好きな人がいるから君を好きになれない”


羽矢のそばにはいつも久遠がそばにいたから、羽矢の好きな人を久遠だと勘違いし、 その女の子は久遠にひどいことを嫉妬のあまりしたとか・・・


小4のとき恋心というか初恋だったのはちなみに零無さん

恥ずかしい思い出だけど


まぁ あのときの久遠の目下好きな人は、テレビに出てくるヒーローのお兄さんだったりする


今もその人がテレビにでると“きゃああ~”とかいって喜んでいる


久遠を好きになったのは中学にあがってお互いに少し距離ができてから、だったとおもう




気がついたらいつも、目で追っていた

何気ない仕草にぼぉっと見とれたりする


具体的なエピソードはないと想う


「ほぉ

ついに、クーちゃんに告白できたんだ」


これはにいさんこと―――――――――如月 矢的 の反応


「うっ

兄さんお願いだからそれ以上よけいなこといわないでください」


そこに怒ったような師匠こと――八雲 悠さんの声


「おい レイム いいのか こんなへなちょこキングに、大事なお姫様渡して?」


「羽矢君ってへなちょこ王国の王様なの?」


「わあああ 僕は、そんなんじゃないです。

師匠の指導のおかげで生半可の中学生よりは強いですから」



「ええ……小僧まだ一度も、あたしに勝てたことないじゃん」


いや

師匠は女性でも強すぎます

魔王ですよ。


「いや おまえがへなちょこなんだ」

したり顔で、兄さんは言うのが、なんかむかつく。

ハァアツ 

「兄さんだって師匠に勝てないくせに!

自分のこと棚に上げて」


羽矢たちと同じように。にいさんも時々師匠に特訓してもらっている


「あら そんなに悠強いの?」


零無さんはゆったりとした声で兄弟喧嘩が今まさにヒートアップするぞって時に間に入る


「ええ 強いです」


「強いな」


「悠さんは強いよ

それに今回の事件いろいろと悠さんの教えが役に立ったし」


子ども組三人の肯定の言葉

子ども組三人はみんな知っている

あの人は強い ということを…

しかし、子ども組よりも長い時を師匠といたはずの零無さんは心底意外そうな声で言う


「そうなんだぁ

 ・・・でもわたし、はるかにまけたことないよ ねぇ」


「うそ」

「マジですか」

「悠さんが手加減してたんじゃないの?」


子ども組三人は信じられないという目で二人を交互に見る

手加減していたからという理由なら納得いく

だって、師匠は零無さんに手あげられそうにないから。


「いいや 真剣勝負だ

零無は、あたしの数倍強い」


師匠は、きっぱり断言する


「信じられない」


「ママって強かったの

知らなかったよぉ」


久遠の尊敬するような目に気をされたのか急いで零無さんは否定の言葉を言う


「強く無いわよ」


可憐な姿からは想像できない


「師匠冗談ですよね」


こそこそと耳打ちする

たぶん久遠が言ったように本気だしていないからだとおもったのだ


「マジで

武器ありだったら絶対負ける」


武器ってあの零無さんが

信じられない


「現役の頃の話よ

今はもう引退」


なんか ほのぼのしてる

久遠が、かえって来て数時間しかたってないのに表面上は、いつもの如月家と黒崎家と師匠との団らん


ころころ表情を変えて、楽しそうな久遠

だが、表面下では皆複雑な思いや感情を抱えていた


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