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le calme avant la tempete ~嵐の前の静けさ~ -3-

「羽矢 今から私が言うこと絶対に誰にも言っちゃダメだよ。約束してくれる?」


「約束する」


久遠はおおきくいきをすう

息を吐きながら、体中の余分な力を抜いていく

背中をしゃきっと伸ばす

まっすぐに 羽矢の目を見る


大きな黒い瞳


ドキッ


羽矢は、不自然に高まる鼓動を感じた


久遠のこう言う姿におもわずときめいてしまう


「私がこの10日間いたのは宇宙

そう言ったら羽矢、信じてくれる?」


久遠の口から出た言葉

それは、羽矢がしりたかった内容

そして聞くのを大人たちもはばかっていたこと



「えっ…」


話たくないのかと思っていた

病室についた時の怯えようは 尋常ではなかった

だから誰もふれずにいた

落ち着いて頃合いをみようとしていた。

正直かなり驚いた


「やっぱ無理?」


不安そうな声

幼いときから知っているからこういう微妙な声のトーンの区別がつく


「信じる」


久遠が言うことなら信じよう

久遠の言葉を信じることに、このときもなぜか何のためらいもなかった

はっきりと言いきることで久遠はわずかに安心してくれた

久遠がなぜ大人たちを部屋から退室させたのかわかった気がする

頭が変な子扱いされたくなかった

腫れ物を扱うように接してほしくなかったからだろう


「私はそこで人体実験をされたの

だから医療器具が今すごく怖い

生き残れたのは奇跡的だった

みんな死んでしまったの

あの日、この地球上で、消えた人間は もう戻らない。永遠に眠っているの。苦しんで絶望のなか死んでいったよ」



「その体の傷はそのときの・・・」


こくりとうなづく


「屈辱的だったわ

自分の無力を呪った」


暗く沈んだ声

そのときのことを思い出したのか手をぎゅっときつく握りしめる


「自分の力不足が悲しかった

だから、私強くなろうと思った」


「強く?」


「羽矢私はね。とっても醜い人間なの。

今私が生きているのは、奇跡なんてきれいなものじゃない。

誰かの犠牲の上で生きている

私は自分の命惜しさに、他の人の命を犠牲にしたんだ。」



それは罪の告白

久遠が強くなりたいわけは、これかっ・・・

きっと誰かを犠牲にしなくても自分が生き残れるように強くなりたいと思ったのだ


「それを罪だと想うのならば、久遠は罪を償わなきゃいけないよね」


自分が死にそうで誰かを犠牲にすれば生きられる

そんなとき人間はどうするのだろう?

自分が犠牲になってその人を救うなんてきれいごとをいえる人間はどれくらいいるのだろう

僕は無理だ

でも その誰かが自分の命よりも大切な人ーーーー愛する人なら別かもしれない


「うん……。

私は償う。でもね、なにをすればいい?

法律は、私の罪を裁いてくれない。」


皆 仕方がないって許してしまうだろうね。状況が状況だったしね…



それではダメ

私は私を許せないの」


怒鳴るように久遠は、言う


久遠 僕は、君が許されることをおそれていることを知っている

罪が許されてしまったら君の中のブレーキが壊れてしまう気がして恐ろしいんだろう?

罪を犯した自分をだれよりも、怖がっている


「久遠君は、君が犠牲にしてしまった人のぶんまで生きないといけないよ

もう、その人は生きられない

生きていること

幸せや絶望をいっぱい味あう

味あうことのできない人のぶんもね。」


「うん……それでいいの・・・?」


「いいのかどうか 、君が本当に罪を犯したのか、どうかも僕には確かめられないから。取りあえずできることを一つずつしようよ」



でも本当のところ僕は君が罪を犯したようにに聞こえないよ

生存本能に従っただけだろう?

君に非はないよ



「うん」





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