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プレリュード 世界の関節を外そうと思うまで -1-  

この物語が読者の皆様のほんのひと時の憩いの場となりますように

 帰りたいよぉ。

 私を うちに帰してよぉ。

 ママ ママのとこに 帰らしてよ!

 イヤだよぉ


 涙が床に一つ二つと小さな水たまりをつくる。

 こわくて、不安でどうしようもない気持ちが私の心を覆い尽くす。


「ねぇ おねがい お願いだから、私をうちに帰して!」


 もういや いやだよ。

 コワいよ。

 助けて誰か。


 ひっく ひっく


「ママァ、ごめんね…」



 優しくて、あったかいから好き。

 悪いことして叱るときは、すごく怖い。

 でもね、私を叱るのは、私のためを思ってのことだって知っていたからちょっぴり嬉しかった。

 私のために怒ってくれる。

 悪いことをただし、いい方へと導いてくれる。

 人世という長い道で迷子にならないように導いてくれる。

 だから、私はママが好き。

 大好き。



 私が幸せになれるように。

 願い、行動してくれる人。


 多くの謎めいたママの言葉とともに私きっと愛して、大事に育ててくれた。


 私の憧れで目標。


 ママは、私にとってそんな人。


 そして、強くてもろい―――ガラス細工のような人。


 でもね、それは当たり前のことなんだって最近思った。

 ママも人間。

 私と同じ人間。

 悲しみも怒りも喜びも感じる人間。


 そんな当たり前のことを理解せずにママのことを傷つけたこともあった。


「ごめんなさい」


 謝罪の言葉は、するりと唇からこぼれ出た。



 久遠は、ママの元に返れずに、屍となり、久遠の死体をあなたが目にすることもかないでしょう。

 久遠はこの暗き牢獄の中、短き生涯を終えることとなりましょう。

 ですが、久遠は、幸せでした。

 この十数年の時日、ママからいただいたすべてが久遠の宝です。

 久遠を生んでくれてありがとう。 ママ。

 久遠は、ママに私のぶんまで生きてほしい。

 久遠は、ママの幸せを祈っています。

 叶うことならば久遠の死後、この魂は、せめてママの元へ。


 ツゥ―――――

 頬に涙が新たに伝う。


 この言葉は、遺言。

 決して、届けたい者のところへ届かないだろう遺言。

 芝居がかった口調だが、その言葉は久遠の心から出た本音だった。


 これは、久遠にとってけじめみたいなものだった。

 この先なにが、待ち受けているかわからない。

 謝罪も感謝もできなくなってしまうかもしれない。

 できなくなる前に言っておこうとおもったのだ。


 久遠は、ここがどこか知らない。

 薄暗き牢獄になぜいるのか、知らない。

 けれど、まだ取りあえず生かされている。


「私は生きている」


 ―――― いい久遠、簡単に活きることを諦めちゃダメよ。活きることは苦しいね。でもね、うれしいこと 楽しいこともある。 死んじゃったら、苦しくないし、悲しくもない。

 その代わり、うれしさも楽しさもなにもないの。なにも感じられないのよ。人間死のうと想えば、死ぬことはたやすいわ。首を絞めても死ぬし、 呼吸はできなくても、出血多量でも死ぬ。人間は、簡単に死んでしまう。昨日生きていた人が、死ぬかもしれない。死は究極の逃げ。ママはそう思うわ。


 ―――― 一度しかない人生久遠悔いが残らないように戦いなさい。生きることは、戦うことよ―――


 ママは、いつも、こう締めくくり言うのだった


 この言葉を聞かされたときには、よくわかってなかった。

 ただ、なんとなく聞いていた。

 でもね、今なら少しママが何を言いたかったのかわかる気がする。


 私は、私の弱い心と戦う。

 醜い心と戦う。

 私の誇りを、抱いて戦う。


「こんな風に泣いているだけじゃダメだよね!!」


 ママ 久遠はまだにげません。

 久遠はまだ戦います。

 ママに生きてもう一度再会して仲直りするまで死んでも死に切れません。


 そういって、立ち直る。 あるいは、開き直る。

 服の袖で、涙を拭く。

 めそめそと泣き言タイムは終了。


 大きく、深呼吸する。

 すぅーはぁ


 新しい空気が、体の中に染みわたる。

 頭を切り替えてい。


 さぁ、これからのことを考えよう。


つ、ついに投稿してしまいました!!

ドキドキです

あま~い評価から、から~い評価や感想、苦ーいアドバイスも待っています。

これからも、少しずつ更新していきたいと思っています

よろしくお願いします

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