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月夜譚 【No.301~】

本当の気持ちは 【月夜譚No.391】

作者: 夏月七葉
掲載日:2026/03/01

 あれは焼き餅だったのだろうか。

 自室の勉強机に頬杖をつき、少年は今日の出来事を振り返る。脳裏に浮かぶ映像は、休み時間の事の成り行きというよりは、クラスメイトの女子生徒が頬を赤く染めた表情がメインだった。

 正直なところ、細かいところはよく覚えていない。彼女がどうしてあんな顔をしたのかも、解らない。

 けれど、そんな彼女の様子に戸惑って、彼女が教室を出ていってしまってから近くにいた友人に尋ねたら、呆れたように「焼き餅だろ」と言われた。

 その時は、よく解らなかった。だが今、彼女の顔を思い起こしてみたら、今更恥ずかしくなって、部屋には一人なのに両手で顔を覆う。

(……本当に、焼き餅だったのかな)

 本人に訊くことはできない。友人の言ったことが真実かどうかも判らない。

 しかし、もし本当にそうであるなら――。

 彼は漏れそうになった声を必死で抑えて、静かに悶えるしかなかった。

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