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騎士ミリア

 


 フレイアの初任務、それは親友ミリアへの説得だった。 ルミエル王国を裏切った彼女にとって、それは想像し難い程過酷な任務である。


 銀髪の短い髪、赤く光る瞳、両手には枷を付けられ、椅子に縛り付けられている少女の姿があった。 彼女はミリアという名前でルミエル王国騎士団のメンバーであり、現在、帝国捕虜として収監されている。 フレイアがミリアの収監されている独房に入ると、ミリアは表情を一気に引き攣らせ驚愕した顔で言った



「……っ!!……フレイア……お前……なんで牢の外にいる!?……それに、その服……まさか……っ……!!」



 ミリアは考えうる中で最悪の結果を頭の中で想像した。その想像は奇しくも当たっており、フレイアは何も言い返せず黙りをきめる。



「……嘘……だよな……? お前がルミエル王国を裏切るわけがない……」



「……わ、私は……」



 フレイアが何か言い返そうとした瞬間、ミリアは大きな声で黙れと叫んだ。 その感情はもう何も聞きたくないと言っているような悲痛な叫びだった。



「聞いてミリア!!……お願い……貴方には死んでほしくないの……私の親友だから……」



 フレイアのその言葉にミリアは大きく目を見開いた。そして爆発した感情が怒りとなってフレイアに浴びせられた



「……親友……だと……? 笑わせないでよフレイア……ルミエル王国を裏切ったお前などと私が親友? もうお前とは親友でもない……味方でもない……敵だ」



「……っ……!」



「……出ていってくれ……そしてもう私の前に姿を見せないでくれ……」



 ミリアは絶望と、深い喪失感で心が満たされた。彼女の瞳にはもう光はなかった。




 ーーー執務室




 フレイアは一度、レイルの待つ執務室に帰った。 ミリアに嫌われ、二度と顔を見せるなと言われた事を伝えた




「……ふむ、それは辛い思いをさせてしまった……すまない、フレイア……では、少し強引だが、俺が説得してみよう……できれば彼女にも我々の仲間になってほしい」



 その言葉にフレイアは涙する。 王国を裏切ったとはいえ親友のミリアと敵にはなりたくない。 彼女の心の中はその葛藤で揺らいでいたからだった。




 ーーー再びミリアの独房の前




 今度はレイルが赴いた。 その後ろには不安げな表情をしたフレイアも一緒に着いていた




「……ミリア君、少し……話をしよう」




 独房に入ってきた男を見上げると、ミリアの顔はより一層険しく鋭くなった




「……き、貴様が……フレイアを誑かしたクズか……何の用だ……私はフレイアのようには喋らんぞ」



 強気の姿勢で反抗するミリア。その目は確かな忠誠心を持っており、一筋縄では落ちないとレイルは考えた。



「……そうだな。君の忠誠心は俺も評価するよ……カツ丼に負けた誰かと違ってな」




「……は?……カツ丼……?」




 ミリアの目が点になる。 困惑した表情でレイルを見つめた。



「……や、やめてください……レイル……様」



 一方フレイアは恥ずかしそうに頬を赤らめ、目を床に逸らす。




 その仕草を見て、ミリアは全てを察したように笑った



「……ふふふっ……なるほど、フレイアお前……カツ丼に負けたのか?……ふふっ……なんともまぁお前らしい、な」



 ミリアの表情は少し和らいだように緩みをみせた。フレイアは更に恥ずかしさが増して蒸発しそうな程火照っていた。



「……ミリア君、話を戻そう。 君に一つ提案がある。 君もフレイアと同じように、私の直属の部下にならないか?」




 レイルのその提案を聞いて、先程少し緩んだ表情が元に戻った



「……は?……ふざけないで、私はルミエル王国に忠誠を誓った騎士よ?……そんな提案に乗るわけがないだろ!」




 当たり前の反論であった。 本来騎士とはそういう生き物である。国を裏切るなら死を選ぶような生き物。 例外はいるようだが……



「……まぁ、そうだよな。では仕方ない……あまりこういう卑怯な手は俺の趣味ではないのだが……」




 レイルの不敵な笑みを見て、ミリアは身を震わせた。 敵国の尋問官が、今度は自分に何かしてくるのではと身構える。




「……単刀直入に言う。 現在、我が帝国に捕虜として捕まっている君たちの仲間が他にもいる……一人は君たちの隊長……ヴィクター。そして……君の実妹……ユリアだ」



「……っ……!!……」




 レイルは冷徹な表情で話を続ける。




「妹を助けたければ……俺の部下になれ」

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