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卑劣な尋問官

 


 カツ丼の誘惑に負け、全てを話し終えたフレイアに、レイルは更に質問を返す。



「……ふむ、協力者……まさか我々帝国の中に裏切り者がいるとは……これは厄介だな……しかしとてもいい情報だった。 では、その協力者が誰なのか教えてもらおう、もうここまで吐いたんだ、何も失うものはないだろう?」



 レイルの言葉にフレイアは一瞬凍り付いた。 確かに彼女に残された希望はもうない。 協力者の存在を明かした今、この作戦は失敗したも同然。 しかし協力者の名前を話してしまえば、その人物は確実に処刑されてしまうだろう。 仲間の位置も作戦も漏らしてしまった彼女だが、この情報だけは何としてでも守りたいという気持ちが残っていた。



「……わ、私は……何も知らない……直接会ったこともない……ただ場内に協力者がいるとしか聞かされていない……」



 フレイアの視線が泳ぐ。 明らかに嘘をついている様子だった。



「……嘘だな。目が泳いでいる……。 だがまぁいい……その協力者とやらの名前は別の人に聞こう」



 フレイアの表情が固まった。別の人という言葉に、彼女の碧眼の瞳が不安そうに揺れ動く。



「……べ、別の人……だと?……お前は一体何をするつもりだ……!」



「……そのままの意味だ 君が喋らなくとも、君の他の仲間もその協力者の名前を知ってるやつが居るはずだ」



「……あ……ああああ……っ……!!」



 フレイアの表情が一瞬で青ざめた。 尋問官の言っている言葉の意味を理解した瞬間、彼女の目が大きく開かれる。 自分が協力者の名前を知らないと嘘を付いても、他の仲間が知っている。 そして、その仲間の居場所は先程、カツ丼の誘惑に負け全て話してしまっている。 その結果仲間が捕まり、同じ目に合う。 フレイアの脳内でそんな思考が駆け巡り、フレイアの呼吸が荒くなっていく




「……わ、私が全部話してしまったが故、仲間達が捕まってしまう……くっ……くそ……くそぉぉぉぉ!! 私は……私は一体……なんて事をしてしまったんだ……っ!!」



 フレイアは椅子の上で身を(よじ)り、枷をガチャガチャと鳴らした。 しかしもう遅い。 情報は全て漏れている。 フレイアは虚ろな目でレイルを見上げ、小さな声で呟いた



「……お前は……お前は本当に恐ろしい尋問官だよ……暴力も振るわず、ただカツ丼一つで私から全てを奪った……」



 その声には怒りよりも、むしろ脱力感が滲んでいた。



「……カツ丼、食べないのか?」



「……今はもう……そんな気分じゃない……」



 しかし、フレイアのお腹は正直者だった。 グゥゥゥと音を鳴らし、目の前のカツ丼を寄越せとばかりに鳴り響かせる。

 」


「……本当にうるさい腹だ……自分が嫌いになりそうだ……」



 尋問官としてのレイルの腕は凄まじかった。 このやり方は他の尋問官には真似出来ないと、帝国内でも有名な程、卑劣で残酷なものだった。 レイルはフレイアの独房を後にし、急ぎユダ村に兵を派遣するよう指示を出した。










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