金縛りの魔法
「君たち六人の王国騎士全員、俺の指揮の元帝国騎士となってもらう」
レイルの発言の後、沈黙が続く。言っている意味は分かるが理解が出来ないでいた。
その沈黙をフィルが破った
「……お前はひょっとして、バカなのか……? 我ら王国騎士が寝返るはずないだろう……!!」
その声には確かに怒りが込められていた。
「そもそもなんなんだお前ら?返事をしろ!フレイア、ミリア、ユリア!!……何故寝返った?何故裏切った?……問答によってはここで斬る」
フィルの怒号に三人は身を竦めた。フィルは王国騎士副隊長を務め、ヴィクターの補佐として君臨していた女性であるからだ。
「私達はお前ら三人とヴィクター隊長を奪還する為に再度帝都へ侵入してきたのだぞ? それなのに……」
今度は少し悲しみを帯びた表情で、手に持っていた刀が震えていた。
「……すみません、フィル副隊長……私達は帝国に屈しました……で、でも王国を裏切ったわけじゃありません!……早くこの戦争を終わらせたかった……彼の……レイル様の言う通りにしていれば、戦争は終わると思ったのです……」
フィルはフレイアの返答を聞いて、もはや言い返す気にもなれないくらい呆れてしまった。
「……そうか、ならいい。帝国騎士として死んでくれ……行くぞみんな、辛いとは思うが奴らはもう敵だ……殲滅する」
フィルは体勢を整え、刀を構える。続いて後ろの五人も同じ体勢で刀を構えた。
「……王国騎士という生き物は話を聞かない連中だ……大人しくしろ」
レイルのその言葉はかつてのフレイアを皮肉った発言にもなっていた。それを察したフレイアは少し頬を赤らめる
一方、今にも斬り掛かりそうだった王国騎士の六人はその場で微動だにしなかった。というより動く事が出来なくなっていた。
「……な、なぜ……体が動かない……」
「……ふ、副隊長……どうしましょう……このままでは」
フィルの後ろで泣きそうになりながら現状を理解した白髪ロングヘアの女騎士フレデリカがフィルに助けを求めた。
「……安心しなさい。話を聞かない君たちを止めるための魔法……金縛りの魔法だよ……別に危害は加えない」
レイルの放った金縛りの魔法を見てフレイア、ユリア、ミリアが驚いた。なぜなら、魔法という概念は使える者と使えない者によって完全に別れる存在だったからだ。使えない者は一生魔法とは無縁の人生を送る。王国でも魔法を使える数少ない人達は、王都を護る部隊に配置される程であった。
「……レイル様が、魔法を使える側の人間だったなんて……知りませんでした」
「……お前達には言ってなかったからな。俺は元魔導尋問部隊の隊長を務めていたんだぜ?」
「……っく……何が魔法……そんなもので我らが屈するとでも思ったか!?」
「……思ってない。これはあくまで君たちの動きを止める為だ。さて、話を進めるとしようか」




