隠し部屋
「……ユリア……どうだった?」
ミリアが優しく問う。 ユリアは首を傾げながら分からないと答えた。
まだ魔装眼の扱いに慣れていないのだろう。焦りつつも困った表情でレイルを見つめる。
「……そう焦らなくていい……出入口は封鎖している。その新しい眼に慣れる意味でも頑張ってくれ」
レイルは焦るユリアを宥めつつ、自身も辺りを捜索する。
その間も宿の女将が何度も、そのような間者はおりませんと言うが、レイルは聞く耳を持たなかった。
そして数分が経ち、ユリアが歓喜に満ちた声でレイルに報告する。
「……み、見つけました!!キッチンの床下収納……その更にしたに魔力結界のようなものが貼られています」
ユリアはレイルに報告をした後、まるで子犬の様に褒めて褒めてとレイルの元へ近寄って行った。
「よくやったユリア。では女将、調べさせてもらいますよ?これは軍の作戦です。拒否権はありません」
女将は遂に観念したかのように諦めた。
レイルがキッチンの床下収納扉を開ける。中には保存の効く食べ物がほんの少しだけ置かれていた。その下に続く新しい扉を見つける。
「……なるほど……これは普通なら気づかないだろうな……更に気付いたとしても魔法結界で簡単には開かないようになっている」
しかし、レイルが手を翳すとその結界は簡単に音を立てて砕けた。
隠し扉を開けると、下に続くハシゴを見つける。一行は、そのハシゴを降りて地下へと向かった。
地下へ降りると、薄暗い一本道が続いている。壁に立て掛けられたランタンが唯一の灯火となっていた。
その先へ向かうと、木製のドアが一つだけあった。
その奥で何やら話し声が聞こえてくる。
レイルはドアノブに手をかけ、ゆっくりとドアを開いた。
その部屋は十畳程の広さで、中にはテーブルや簡易的なベッドが置かれており、最低限の生活ができる程度の部屋になっていた。
「……!?な、何者だ! 」
その部屋の中にいた一人の女性が、開いたドアに気付き、剣を抜いた。
薄紫色の長い髪をポニーテールにし、王国騎士の青と銀で彩られた鎧を身に付けていた。
「フィル!!……よかった、無事だったのね……」
フレイアの口からフィルと呼ばれたその女性は、帝国騎士の鎧を纏うフレイア達に目を見開いた。
「……き、貴様ら……なぜ……」
フィルは一瞬でその意味を理解し、何故と問う。
三人の騎士は黙り込み、何一つ反論する事が出来ないでいた。
「……懐かしむのは後にしてくれ……。本題に入らせてもらうよ」
レイルのその言葉にフィルは刀を握る手に力を込めた。
フィルの後ろにあるテーブルを囲うように座っていた残り五人の騎士達も一斉に立ち上がり、剣を抜く。
地下の隠し部屋は一瞬にしてカオス極まりない場所へとなった。




