猛勇の死
ーーーあれから一週間が経った。 ゼファーは皇帝陛下の指示により処刑された。
その結果報告をレイルの執務室でフレイアとミリア、そして帝国騎士になる事を決めたユリアの三人は聞いた。
ユリアは失った右目に帝国の研究者により作られた特殊な義眼を移植されていた。その眼は緑色の瞳をしており、不気味な雰囲気を醸していた。
「……それともうひとつ……君たちにとっては残念なお知らせがある……」
レイルの表情が一変した。暗く思い詰めた表情になり、三人を見据えるように目を向ける
「……捕虜となっていたヴィクター殿が、自害した……牢の中で自身の服を使って首を吊っていた」
「……ッ……!!」
三人はあまりの出来事に声を発する事も出来ず、ただ目から涙を零していた。自分達の裏切り、そして共謀者の処刑により自ら命を絶った元隊長はもうこの世にいない。
「……ヴィクター隊長……申し訳……ございません……今はどうか、安らかに……」
フレイアは震える声でポツリと小さく呟いた。
レイルの執務室はまるで通夜の様に暗く重い空気になっていた。誰も話すことなく。三人の騎士はただひたすらに自分達の行いを悔いて泣いているだけ
「……君たちの仲間だった人だ……今のうちに泣いておけ……明日からは帝国の騎士として新しい仕事を始める……今日はもう自由にしていい、解散だ」
レイルは三人の気持ちを汲み取り、そのまま執務室を後にした。レイルの居なくなった部屋で三人は崩れるように床に座り込み大きな声を発して泣き叫んでいた。その姿は騎士ではなく、ただの少女の様な幼さを持った姿だった。
「……私たちは隊長の死を無駄にしない為にもこれからは帝国の騎士として一刻も早くこの戦争を終わらせよう……もう二度とこんな事が起きないように……」
フレイアの決意を聞いたミリアとユリアは小さく、でも力強く頷いた。
ーーーこうして、三人のもと王国騎士は新たな場所で誓いを立てた。 ヴィクター隊長の死は、ルミエル王国側には伝えられずに、日だけが過ぎていった。
そして、戦争が続く中、帝国の偵察部隊からの報告により、ヴィクターが率いていた部隊の生き残りが、ヴィクターを含めた四人の奪取を目的として、帝国領へ入ったとの情報を得た。
レイルの執務室には、指揮官のレイルと、その部下となった三人の騎士、フレイア、ミリア、ユリアが帝国の軍服を身に着け立っていた。
フレイアには隊長としての赤を基調としたマント、ミリアには副隊長としての青を基調としたマントが支給されていた。
「……これより新たな任務に着く。 我々に与えられた任務は、現在帝国領へと侵入してきた六名のルミエル王国騎士の進行を止める事だ」
レイルから与えられた任務に三人は表情を強張らせた。それは元仲間と敵として邂逅する事を意味する。
ルミエルを裏切った三人を見て仲間たちは何を思うだろうか、不安でしかなかった。
「……上からの命令では最悪の場合全員抹殺せよ……と言われている。が、俺はなんとしてでも、この六人を君たち同様こちら側に引き入れるつもりだ……そのつもりで戦ってくれ」
ーーー抹殺、その言葉を聞いた三人は目を見開き驚きの表情を見せたが、直ぐにレイルの思惑を聞き、希望を感じ覚悟を決めた。




