第十七話「リンカの戦い」4
報告を済ませ、動物達の下へと向かうリンカ。
小さな飼育小屋の中に入ると、早速餌の準備をして、リンカは動物達の下へ向かった。
「只今、みんな。ご飯の時間だよ。いっぱい持ってきたから、近こう寄れなのじゃ」
リンカは家族の下に会いに出向くのと同じように、優しく声を掛けた。
待ちに待った様子で出迎えてくれる、様々な動物達。
それらは怪我をしていたり、群れを逸れてしまったり、様々な事情があってリンカが直接保護をしている動物達。
動物達と接する機会を大切にしているリンカはこうした保護活動も率先して行っているのだ。
「みんな元気そうで良かったのだ。今日はリンカも少しゆっくりできるよ」
その場で腰を下ろし、目の前に差し出された餌を食べ始める動物達の容体を確認して、身体を撫でるリンカ。
保護した動物達と戯れるひと時はリンカにとって最もリラックスして過ごせる時間。
リンカは束の間の休息を動物と語らいながら、昼下がりの時間を過ごすのだった。
「こんな日々がずっと続いていけるように頑張るよ。リンカはみんなことが大好きだからさ」
穏やかな平和な時が流れる。足を怪我した小鹿が、その場で寝転がったリンカの頑張りを労うように舌で頬を舐める。
すっかり懐いた動物達は家族も同然。リンカはこうした穏やかな時間が続くことを願って、紛争解決に向けて決意を新たにした。
シカリア王国西地区に広がる森林地帯がこうして豊かな自然の姿を維持しているのは長い歴史の中で、人々が積極的に自然保護に取り組んできた功績だ。
元々、文明回帰を迎える以前はこの一帯は乾いた大地で、草一つ生えない荒れ地であったことがシカリア王国の歴史書には記されている。
かつて失われた自然を取り戻すことは容易なことではない。
人間同士の愚かな争いから脱却した人類はかつてあった自然を取り戻すために各地で気候変動に対抗できる自然の形成を始めた。
シカリア王国においては地中海沿岸部のマングローブ林の再生から始まり、その生態系が安定期を迎えたことで、さらに自然生息圏を強化するために植林を進めてきた。
そうして長い再生の歴史の中でこの森林地帯は生まれ、多くの動植物達が共存する森が形成されている。
それは容易に持続可能なものではなく、自然と共に共存をするという森林保護の思想が根付いているからこそ、守られているもの。
リンカは諸外国で展開されている産業革命の流れに便乗することなく、自然の風景を守ることを優先して政策を進める女王の方針に賛同している。
国のために力を尽くしたいと王立警護隊に参加しているのもその一環だ。
こうした強い使命感を持つリンカの戦いは革命が迫る今こそ、大きな転換期を迎えつつあると言えるだろう。




