第十五話「太陽のような彼女が愛する人」3
「はぁ……。やっぱり先生の本は尊いなぁ……」
様々な男性達の交流を描いた、刺激に溢れた新鮮な読書体験を終えたエリーは充足感に満たされて本を閉じた。
女民国家で生まれ育ち、殆どの時間を王宮の中で過ごしてきたエリーに異性との恋愛経験はない。だが、唯一の例外としてあるのが、幼い頃から密接に交流があった、エリサ・ベレスティーだ。
その証拠に勉強机の前にある壁には沢山のエリサの写真が飾られている。
「……エリサちゃん、君は男性のまま生きて、本当の王子様になるのかな?」
これまで共に生きてきた証である、写真達を眺めながら好意に満ちた目で見つめるエリー。
思い出を重ねながら、成長過程を見てきたエリーにとって中性的な見た目をしたエリサは美男子であり、エリサが男性という存在であることを知ってから、女性として見たことはない。
それだけ、エリーはエリサに対して、冗談のような求愛行動を繰り返しながら、特別な感情を抱いてきた。
天真爛漫な彼女は純真であり、相手の気持ちを一番に考えて行動をする。
その性格のせいで、本気で好きだと伝えたことはない。
好きという気持ちは本心であっても、エリサを困らせたくない。
そのせいで、今も恋愛感情を伝えることなく、近くて遠い関係が続いているのだった。
「全部、懐かしいね。最初に出会った頃は、男の子が何なのかも知らなかったのにね。でもね、初めて会った日から、この子は特別なんだって、エリサのことは自然と分かっていたんだよ」
記録として残している中で、最も小さな頃の写真。
エリーはエリサを抱きかかえた写真を握り、哀愁に浸るように呟いた。
女性のように綺麗な肌に女王とは違う緑色の瞳。
そして、最も印象的な白い髪。
赤色のセミロングヘアーで私服も可愛いものを好むエリーにとって、それは汚してはならない神聖な子どもに思えた。
だからこそ、七歳年下のエリサを大切に抱きかかえていたあの日の出来事をエリーは強く覚えているのだった。
「これはあたしが17歳の頃の写真かな。エリサ王子と一緒に踊るからって両親に写真を撮ってもらったんだっけ……」
次にエリーが手に取った写真。それは、エリサがまだ10歳だった頃に撮った舞踏会の写真だ。
一生懸命に踊ろうとしているエリサの手を握り、エスコートしている自分。それをエリーは懐かしい気持ちで眺め、その日の出来事に想いを馳せた。




