第十五話「太陽のような彼女が愛する人」2
瞼を擦り、ようやくベッドから身体を起こしたネグリジェ姿のエリー。
天蓋の付いたベッドから降りて、自室と繋がっているテラスから空を見上げると、変わらない青空と入道雲が広がっていた。
「お天気は良いのに、すっかり寒くなって、上着を着ないと日向ぼっこもしづらくなったね」
快晴となったとはいえ、冬の風は冷たく身体に響く。
テラスが付いたエリーの自室は王宮の三階に位置しているため、冷たい風を感じやすい。同じく隣の部屋で暮らすプリシラも同様で、ファイブスターナイツの二人は従者達とは異なり、王族と同じような待遇の豪華な部屋で暮らしている。
部屋へと戻って窓を閉め、、薄ピンク色のカーテンも閉める。
エリーの部屋はプリンセスが暮らしているかのように豪華でファンシーな雰囲気いっぱいの可愛らしい部屋をしている。
壁や天井までピンク色を基調にした部屋はカーペットも薄ピンク色に合わせていて、家具やインテリアは白系や赤系が多い。
ぬいぐるみや趣味で集めた本達も豊富で部屋が広い分、狭苦しいと感じるほどに物は多くないように見えるが、クローゼットや衣装ダンスにはドレスから普段着まで、数多くの服が収められている。
「プリシラはデートに出掛けて帰ってこないし、先生の本でも読んで暇を潰そうかな……。まだちゃんと読んでないやつもあったよね」
おもむろに本棚を漁り、四つん這いになってまだ読んでない本を取り出すエリー。その本棚に収められているのは、その多くが薄い本で短期間のみ販売されていたレアものだ。一度、失くしてしまったら簡単には手に入らない。
エリーは遊び相手がいない退屈さを紛らわすために現実逃避してまだ読んでいない本を漁った。
同じファイブスターナイツかつ親友であるプリシラは朝から浮かれた表情を浮かべて”用事があるから行ってくるわねと”言って鼻歌を歌いながら出掛けてしまい、未だに帰って来ていない。
男性との婚姻が禁忌とされている都合上、周りには男性の恋人がいることを秘密にしているが、それを知っているエリーはデートに繰り出して今頃は甘い時間を過ごしているのだろうと想像していた。
「仕方ないよね。プリシラはあたしよりも恋人の方が大事なんだから」
「プリ、プリプリ~」
ヤドカリのように普段は動くのが遅いプリンだが、力強くジャンプをして器用に移動をすることもできる。
悪態を付くエリーがイケメン二人が映った表紙イラストの本を数冊見つけて勉強机の椅子に座ると、プリンもいつの間にか机の上でプルプルしていた。
なお、プリンは寝ぼけたプリシラに桜餅と間違えて食べられかけたことがあるため、プリシラには懐いていない。
化粧台の横にある勉強机。そこでお目当ての薄い本を読み始めるエリー。
読むことに集中し始めると、遊んでもらえないプリンは殻の中へと籠り、再び静かに眠りについた。




