第十五話「太陽のような彼女が愛する人」1
「プリン……。本当に退屈だね」
午後の昼下がり、束の間の昼寝から目を覚ましたエリーは小さく朧げな声で呟いた。
エリーの声を聴き、貝殻の中から窮屈そうに姿を現すペットのプリン。
餅のように弾力性のある肌をしたプリンは瞳をトロンとさせて、未だ夢の中をたゆたっているかのようだった。
「プリプリ~」
「そうだねぇ……。折角の休日を寝ているだけで消費してしまうのは何だか勿体ない気分だよね……」
謎の鳴き声を上げるプリンに対して、まるで気持ちを察したかのように返事を返すエリー。長年連れ添ってきた不思議な生き物のプリンは出会った頃よりも大きくなってしまい、貝殻から全身を抜け出せば、貝殻よりも大きいという残念な体格の持ち主になってしまった。
それでも、エリーの手のひらに収まるサイズでぬいぐるみと変わらない重さのため、エリー自身はまるで大きくなってしまったことに無頓着で気にしていなかった。
「もう! 退屈だよプリン!」
「プリ、プリプリ~」
エリーの白い人差し指でギュッと押されたプリンの身体は貝殻の中へと押し戻されていく。やめてやめてとプリンは鳴き声でエリーに伝えるが、抵抗することもできず、狭い貝殻の中へと押し戻されるが、指を離すと同時、再びプルッと飛び出してきた。
これは暇つぶしの際、頻繁にエリーが繰り返している遊びで、悪戯を受けているプリンは抵抗したり、甘噛みをしたりしてじゃれ合っている。
「プリンはあたしと一緒にいて幸せ?」
「プリプリ~!」
「そっかー! 幸せかぁ…。すっかり長い付き合いだね。プリンは小さいからすぐに死んじゃうんじゃないかと心配したけど、長生きしてくれて嬉しいよ」
責任をもって動物を飼う上で、いつか寿命を迎えて死に別れることは、どうしても覚悟しなければならないことだが、プリンの寿命は不思議なほど長く、亀のように長寿であった。
人間のような声帯はなく、同じ鳴き声しか発しないが、プリンの細かい反応の違いから気持ちを理解するまでになったエリー。
西地区の海岸で子どもの頃に巡り合い、不思議なその姿に一目惚れして連れ帰って以来、ずっとペットとして部屋の中でプリンは飼育されている。
それは当然、ファイブスターナイツの一人になる前からのことで、未だ長生きを続けるプリンにエリーは深い愛着を覚えているのだった。




