第十四話「ヘブンスターズ」5
屋台料理を食べて回り、散々道草を食ったエリーとプリシラはようやく本来の目的地に到着した。
野菜を販売する店舗の入口付近にある階段、それを上っていった先にある二階の一室、そこでひっそりと営業をしているのが二人の目的地、同人ショップである。
「仕事が忙しくて、ここに来るのも久しぶりですわね」
「お姉様、先月も来ています。忙しいフリをして異常性癖を持った自分を隠している場合ではないです」
「もう! 人の心を読んで揚げ足取りをするなんて! 性格が悪いですよ、エリー」
興奮を抑えられず、余計な会話を交わしながら、店内へと乗り込んでいく二人。店の店内には一番スペースを多く取ってある同人誌に限らず、レコードや人形、避妊具から、使用用途不明の代物まで置かれている。
それも全てが合法な商品というわけではなく、海外から許可なく勝手に仕入れてきたレア物まで並んでいる。
そうした中から掘り出し物を見つけて手に入れることが出来るのがこうした同人ショップの魅力と言えるが、人に知られたくない特殊な趣味であることから、この店に入店した人々は誰が店にやって来たかなどは告げ口をしないのが暗黙のルールになっている。
「おおっ! 関羽先生の新刊が出ているのではないですか……!」
「成程、エリー。素晴らしい胸板に上腕二頭筋でありますね」
「はい、この逞しい筋肉の曲線は実に心躍ります。見逃せませんね」
ボディビルダーのような体格の裸体が表紙に描かれた同人誌を手に取り、納得するように互いに頷き、ページを開いて行く二人。
王立警護隊での演習以上に目の前の本に熱中する姿は普段の二人を見ている者には信じられない光景だが、これが本来の二人の姿である。
「はぁ! まるで子どもの頃の王子のように可愛い少年が何という姿に……」
「発見してしまいましたか……。同じものを愛するものがここにもいて下さるなんて、何と嬉しいことでしょう」
今度はお姉さんに誘惑され、好き放題にされてしまうショタコン同人誌に手を伸ばし、興奮を抑えられない二人。
とても悲しいことだが、これも二人の隠れた趣味の一つである。




