第十三話「ディオーナの帰る場所」2
「さぁ、貴方。服を着替えて食事にしましょう」
「そうだな、食欲をそそるいい匂いが漂ってくるよ」
優しく指を絡め、口付けを交わした二人はリビングへと入っていき、夕食の時間を迎えた。
テーブルランプで照らされたリビングで夕食を共にするディオーナとユーリ。夕食はパンと温かいホワイトシチューだった。
「もうすぐクリスマスも近いわね……。
本当に一年ってあっという間に過ぎていくのね」
「あぁ、残念なことに去年は一緒にクリスマスを過ごせなかったからな。
今年は休みを貰えるといいんだが……」
「無理をしないでいいのよ、貴方。
一緒にいられたらとっても幸せだけど。
ファイブスターナイツのお仕事が大変なことは分かっているから」
振り返る間もなく通り過ぎていく日々。
一年前、クリスマスケーキを作ってずっと待っていたユーリ。
しかし、作戦が長引いたディオーナは深夜になって戻って来た。
そのことを思い出し、少し寂し気な表情を見せながら、言葉を紡ぐユーリ。
仕事も大切であることを強調するのはディオーナの心情を想ってのこと。
その姿を目の前にすると、二人の時間をもっと大切にしたいと思い、ディオーナは胸が苦しくなってしまうのだった。
「身体が温まるな……」
「そうでしょう? 冬になると無性に恋しくなってくるのよね」
テーブルに肘をつき、両手で顎を囲うようにしてニッコリと微笑み、見つけてくる視線を気にしながらシチューを食べる。
それは、もっと沢山構って欲しいというユーリの仕草だった。
「ここよりも栄えている東国の方では電気やガスが普及していて、夜も家の中は明るくて、過ごしやすいんですって」
「らしいな。今夜は月灯りが明るくてそこまで暗いと感じないが、雨の日は特に暗くて困るほどだ」
「貴方はいつも歩いている道で迷子になることはないでしょうけど、私はもう一人じゃなかなか家に帰れなくって」
「ふふふふっ……。懐かしいな、家に帰れなくて泣いているユーリを何度家まで送ったことか」
「そのおかげで貴方と一緒になれたんじゃない。悪いことばっかりじゃないわ」
「前向きだな。そういうところが可愛くていいんだが」
「もう、貴方ったらすぐ可愛い可愛いって、ズルいんだから」
「本当のことだからな。女らしくない私よりもずっとユーリは魅力的な女性だ」
「貴方ほど女性を虜にする人はいないのに、そんなことを言うなんて」
ユーリが恥ずかしさを堪え、抵抗するように手を伸ばし、人差し指で鼻を突く。ディオーナはその手を掴み、自分の頬に押し当てて、優しく微笑んだ。
「距離を近づければユーリの顔が良く見える」
「まぁ……。私の顔を見ても面白くないわよ」
「疲れた身体に丁度いい薬になるよ」
「よく分からないことばっかり言って……もう」




