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ジェンダーフリースクリプト~始まりの物語~  作者: shiori@


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第十二話「道化師の笑顔」2

「エリーはどう考える? そう堅苦しく考える必要はない。思い付くことを話してくれればいい」


 プリシラの意見を簡単に纏めて咀嚼すると、ディオーナはプリシラの隣に座るエリーに次の回答権を譲った。

 こういった政治的な話題については消極的なエリーだが、話を振られた以上、何か答えようと思考を巡らせ、口を開いた。


「こういう話は向いてないんだけど。あたしはきっと、男の人が街を歩いていても、みんなが言うように怖いって思うことはないかなって思ってるの。

 だから、国が変わってもただそれを前向きに受け入れて生きていくんだと思う。その方が楽しいだろうし、誰を好きになるかは自由なんだから」


 プリシラの意見よりもさらに踏み込んで、変わって行くことを肯定的に捉えた意見を繰り出したエリー。彼女らしいと言えるため、この場で否定的な意見が出ることはないが、城下町でこのような話をすれば、レジスタンス組織の人間と疑われかねないような発言であった。


「変わっていくことを受け入れるか……。

 確かにそれも大切なことだ。

 女王様が総合的に判断した結果、変革が訪れるなら、それもまた私達が進む未来のカタチなのだろう。エリーらしい意見だな」


 新鮮な面持ちでエリーの意見を受け止める。


 それに対して、対抗的な観点から、次に話を続けたのはずっと静かに聞いていた、オリビアであった。


「二人の意見を否定するわけではありませんが、理想と現実は分けて考えなければなりません。

 現に改革派のテロリストによって各地に大きな被害が出ています。

 彼らを増長させるような条件を呑む必要は決してありません。

 そういう意味においては、自分は規制を緩和することには反対です。

 それなら、観光客に頼るのをやめ、近代化を目指した方が、国策を考えるなら建設的でしょう」


 厄介な改革派のテロリストに対する対応に追われる日々を送る、オリビアはブレることなくはっきりとした口調で自分の考えを述べた。

 現在の女王の意見に近いと言える、オリビアの意見は正論である。

 誰もこれに対して口出しするものはいない。

 それだけ現実主義的で理想を追い求めるよりも近道であった。

 

 しかし、これを聞いたリンカは暗い表情を浮かべた。

 近代化をする進めるという言葉。

 それは自分を守り、自然に対して慈悲深くあり続けるという、リンカの想いを裏切るものだったからだ。


「テロリストが各地に被害を出すのは困るけど、近代化を目指すのも困るよ。

 これ以上、森が無くなったら動物達が暮らす場所がなくなる。

 リンカ達の食べるものだっていずれ無くなっちゃうよ」


 オリビアは近代化を目指すことは必ずしも自然を破壊することに繋がるとは限らないと細かくその理屈を話そうとするが、リンカには難解でそれは理解できないだろうと判断して、煩わしい説明をするのを止めた。

 

 一時の沈黙が流れ、それぞれの言葉を重く受け止めるエリサ。

 しかし、クオンは別の思考を頭の中で巡らせていた。

 それは、とてもこの場にいる戦乙女達に聞かせられるものではない。

 

(流石、ファイブスターナイツ。

 一般市民のそれとは違い、自分の意見をしっかりと持っている)


 そう、一筋縄ではいかない強敵であると静かに沈黙を守ったまま、クオンは彼女達の持つ強さを認めるのだった。


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