第五話「レジスタンス組織の頭領」3
資源の枯渇や環境変化により、財政が悪化したシカリア王国では別の産業への依存度が高まり、観光産業に力を入れていく方向性を強めるに至った。
そうして、各国からの観光客を積極的かつ好意的に受け入れるようになった。
時代と共に大きくなっていく城下町。開発され栄え始めた繁華街。外国からの移民は受け入れないが観光客は受け入れるという矛盾。
それは国の中で次第に歪みを産み始め、多くの諸問題を露呈させていく。
その一つが風俗業だった。
国民は十六歳の成人を迎えて初めて観光客で賑わう夜間で働くこと、風俗で働くことが許される。
諸外国から見ると、女民国家であるシカリア王国の女性達の美貌は魅力的で、観光客の多くが女性達との親交を求めて幾度も通うようになった。
シカリア王国にやってくる観光客が女性達に対して羽振りが良く、需要があると知られるようになれば金銭を求めて働くものも自然と増えていく。そうして多くの国民が夜の歓楽街で働きに出るようになったのだ。
更に女性達が風俗で働く上で大きな法があった。それは異国の民との子を作り、産んではならないという法律だった。
国にはセックスをしても妊娠しないための防衛策、避妊具や緊急避妊薬が存在するが、それでもこれを破った国民は厳しく罰せられる。
一方で、レイプを引き起こした外国人に対しての処罰は寛大だった。国内で裁きを受けることはなく、国外退去を行い、各国の法の下で裁く方針であった。
賠償金もなく、もしお腹に自分の子を宿してしまっても泣き寝入りするしかない被害者。
こうも観光客に対して寛大である理由は全て、観光産業に頼らざるおえない現実が目の前に立ち塞がっているからである。
外国人との交流が増えていくが、シカリア王国で一緒に住めない以上、国を離れたいと訴えかける国民も増え始めていく。
女王は異国の民を歓迎する方針を変えることなく、特別な要件を満たさない限り、十日間以上の滞在は禁ずるという、単純明快なルールだけを敷いて、対策を打ち出すことはなかった。
外国人を嫌うもの……。
異性を求めるもの……。
観光産業によって潤う者達……。
そして、観光客を大事にする女王の方針を支持し、貧困の蔓延を恐れる者達……。
諸外国との交流が増えれば増える程、分断が進む国民意識。その中で治安は悪化の一途を辿り、女王は悩み藻掻く日々を送っていた。
そんな中、ルミナスリバティーは立ち上がった。
現状を打開する革命を夢見て。
ルミナスリバティーは段階的に移民を受け入れ、男性であっても差別されない、居住が許される社会に変革すべき時が来たと宣言したのだ。
これと同時にルールを破り、非行を繰り返す観光客に対しては断固として厳しい刑罰を採用し、より平和な社会を築くことを目指して活動しているのだった。




