七年目
「さようなら。ありがとう。今まで私に生きる意味を与えてくれて」
京都のはずれにあるとある禁領の丘の上。
古く奥ゆかしい京都の街並みが見渡せる二人だけの場所で、少女は青年に言い放った。
青年は少女の顔がよく見えなかった。
いや、見えていたはずだ。
太陽のように明るい、|心の奥底から湧き出ている《●●●●●●●●●●●》笑顔。
「さようなら」
青年にとってはその一言がショックで、けれどこれは自分にある三つの「後悔」により引き起こされた結果なのだと受け入れるしかなかった。
その言葉を最後に、彼女は森の奥へと姿を消した。
彼女との別れを必死に受け入れようとする中で、その言葉が本当は彼女にとっての本心なのではないかと青年は恐怖した。
いや、本当に彼女はそう思っていたのかもしれない。
思い込みは記憶を書き換える。彼女がいなくなるという不安と恐怖が自分に別れを告げる彼女の表情を、無理をした笑顔を浮かべたと、本当は別れたくないと、そう誤認した可能性の方が高い。
彼女との別れで、青年の将来は確定した。
自分を愛してくれる女性との結婚。約束された軍の将校という立場。安定した収入。人並み以上の幸せを送ることができる生活。
この夜、青年はそれを手に入れた。
さて、これは本編「お国のために ~勇者はアサルトライフルで世界を救う~」で登場するとある軍団長たちの過去をなぞった物語となっております。




