第1話:アイドル引退、そしてトラック。
初めましての方も、偶然迷い込んだ方も、ようこそ!
推しロスからのトラック転生、そして推しが7人!?
そんな“ありえない”が詰まった物語の始まりです。
軽い気持ちで読んでみてくださいね!
「──本日をもって、七瀬あかりは芸能活動を終了します」
突然のアナウンスに、会場全体が静まり返った。
拍手も歓声も止み、何千というサイリウムの光がまるで凍りついたようだった。
俺、真白翔矢は、手に持っていた青いサイリウムを落としそうになりながら、呆然とステージを見つめていた。
彼女は確かにそこにいた。
俺の“推し”。誰よりも眩しくて、心を照らしてくれる存在──七瀬あかり。
「……なんで、そんな急に……」
涙も出なかった。ただ、世界から色が消えたような感覚だった。
ライブが終わっても、俺はしばらく席を立てなかった。
「七瀬……ほんとに、終わっちゃうのかよ……」
家までの帰り道、駅までの坂道をとぼとぼと歩いていたそのとき──
耳に届いたのは、エンジン音。そしてクラクション。
──あれ? こっち、来てないか?
振り向く暇もなく、視界が白く弾けた。
音も、痛みも、何もなかった。
ただ、七瀬の笑顔だけが、心に焼きついていた。
気がつくと、俺は白い空間にいた。
地面はなく、空もない。ただ、光と風だけがそこにあった。
「……ここ、どこだよ」
目の前に、小さな少女が現れる。銀髪、白い羽。まるで天使のような──
「ようこそ、選ばれし感情の管理者さん」
「……え?」
「あなたは、“七瀬あかり”という一つの魂を愛し、その感情でこの空間を動かす存在になりました。
ここは、あなたの心から生まれた世界。──“リュミエール”です」
「リュ……何?」
「そして、あなたが愛した七瀬は、こちらに──」
パッと周囲に現れる、七人の少女たち。
全員、あの七瀬あかりに瓜二つ……なのに、瞳の色も、髪型も、雰囲気も違う。
──誰だよ、これ。
「……え、何? これ、推しのクローンってやつ? なにこのラブゲーみたいな……」
「ようこそ、翔矢くん。私たちは──あなたの愛を、ずっと待ってた」
その瞬間、7人の“推し”が同時に、俺へと歩み寄ってくる。
「好きです! 付き合ってください!」
「ねぇ、誰を選ぶの?」
「ずっと、一緒にいようね?」
──え、ちょっと待って?
俺、これからどうすんの……?
最後まで読んでくださってありがとうございます!
まさかの“推しクローン7人”というスタートでしたが、
ここから1人1人とちゃんと向き合っていく物語になります。
次回は、翔矢がいきなりクローンたちと同居!?
推しに囲まれる地獄(天国?)がはじまります!