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31. インスピレーションで殴る

 翌日。


 テストを終えた僕と藤宮さん、楪と茅野センパイは生徒玄関で集まっていた。


「ぜぇ……ぜぇはぁ」


 顔を白紫に染めた藤宮さんが、詰まらせた様に息を吐く。


 ふと見上げれば、教室付近の窓では鬼口先生が顔を真っ赤にして廊下を駆け抜けていた。


「藤宮さん、今度は何したの」

「こ、今度やらかしたら……ごっほ、うへぇ。た、退学だって……」


 僕は何したんだって聞いたんだけど。

 ……事情は聞かないでおこう。絡まれたら面倒くさいし。


「ごはっぶはっ! ……と、いう訳で第二回、怪盗団会議! 今日はせっかく時間があるので、出張版!」


 空元気に片手をあげる藤宮さんを、楪が興味深そうにのぞき込む。


「出張版ですか」

「そう、皆でデパートにお出かけしつつ会議します!」


 目を輝かせて、ふんすと鼻息を吹く藤宮さん。


 僕は夕方からバイトだから、可能なら喫茶ハコニワだとありがたいんだけど。


「藤宮さん、ちなみに何で出張版なの?」

「あれだよ、いい感じにショッピングモールでインスピレーションするんだよ!」


 僕の質問に藤宮さんがドヤ顔を浮かべる。


 基本的に受ける概念じゃなかろうかインスピレーション。


「というか藤宮さん、明日もテストだけど勉強はしなくていいの?」


 本来、今日の午前下校は明日のテストに向けて学習する想定な時間の訳で。

 まぁ僕も家に帰ったらソシャゲとネトゲに浸る予定だったけども。


「それじゃさっそく、出張怪盗団会議いってみよー!」


 逃げるように藤宮さんが校門へと駆け抜けていく。


 ………事件よりもテストはずっと厄介だぞ、名探偵。事件にも負けてるし。


「茅野センパイもすみません、テストの直後に怪盗団なんて疲れちゃいますよね」

「……てすと?」


 目をまんまるにした茅野センパイが、まるで初めて聞く単語の様に首を傾げる。


 待ってくれ茅野センパイ、ある意味そのリアクションは藤宮さんよりも怖い。

 簡単すぎて、記憶に残らなかったって事だよな? そういう事にしておこう、うん。


「かやちゃんセンパイ、はやくー!」

「んー」


 校門で飛び跳ねる藤宮さんへ、茅野センパイがてとてと歩いていく。


 ふと僕は、横に立つ楪へと視線を移した。


「茅野センパイは置いておくとして、楪も付き合ってくれるんだ?」


 楪が参加してくれるのは、少し意外だった。


 怪盗団には興味で参加してくれたけど、まさかテスト期間まで怪盗団を優先するとは。


「い、いえ……テスト勉強よりも幸太郎と誰かが一緒に出掛ける方がテスト勉強に集中できないからとか、そういう浮ついた理由じゃないですから! テスト勉強用の飲み物とか買いに行くついでに参加してるだけです!」


 うんうん、確かに水分補給は大切だ。だいぶ余計な前振りが付いてた気もするけど。


「無理して怪盗団に付き合わなくても、買い物が終わったタイミングとかで離脱しても大丈夫だからね?」

「あ、はい」


 すんっ。と、いきなり死んだ目モードになる楪。


 本当にびっくりするから出来たら控えてほしい。幽霊? 幽霊が憑いてるの?


「ちょっとー柏くん? 楪さんも、早く来ないとインスピレーションなくなっちゃうよー!」

「よー」


 藤宮さんと、横にいる茅野センパイも大きく両腕を振って僕らを呼ぶ。


 そんなバーゲンセールみたいな感じなんだ、インスピレーション。

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