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21. ネトゲの時間(アフター)

  自室、夜も徐々に更けてきた時間。


 僕は扇風機の風を堪能しつつ、ゲーミングチェアに胡坐で座っていた。


『そういえば、これは知り合いの話なんですが』

『おうおう、どうした藪から棒に』


 今は何度かクエストの周回を終え、ドロップ素材をチェックしている。


 イブキちゃんはまだログインしていなかったので、今日は少し高難易度なクエストだ。


『どーせ柏マンの話なんだろ?』

『いや、だから違いますって』


 超図星だからスルーを決め込む。


『その知り合い、友達とか親しい人がほとんどいなかったんですけど』

『やっぱ柏マンの話なんじゃん』


 今すぐ張った倒そうかと思ったが、ここはPVP禁止エリアだ。


 うーむ無念。無視して話を進める。


『最近になって、人と話すことが多くなってきたんですよ』

『へぇ、目覚ましい進歩じゃん』

『そうなんです、でも慣れないだけに困ってることがあって……』


 学校やバイト先での、楪の動向を思い出す。


 自然な会話をしてるつもりなのに、いきなり死んだ目になったり、逆に感情豊かになったり、はたまたリラックスし始めたりするから本当に訳が分からない。


『ある人と会話してると、いきなり怒ったり喜んだり様子がおかしくて』

『それはその人が……度を超えて個性的で、特殊なだけなんじゃないか?』


 だいぶ言葉を選んだな戦士ナギ。


 あれ、否定しようと思ったけど一理あるかもしれない。


『ま、まぁ普段はどちらかというと落ち着いているというか、最近になって様子が変になりはじめたんですよ』

『ふぅーん、具体的には?』

『そうですね、例えば……』


 僕は楪の様子を、覚えている限り戦士ナギにチャットで説明した。


 もちろん、個人名や場所が特定されそうな要素はとことん伏せて。


『ナギさん?』


 しばらく、戦士ナギのチャットが止まる。


『いや、なんでもない。ところで柏マン、その相手って女の子だったりするか?』

『え、なんでですか?』

『いや、女の子だとしたら9割9分、柏マンが悪い』


 どうして。僕は訝しんだ。


 というか、これは知り合いの話だった筈なんだけど。


『普通だったのに、いきなり対応が変わるって事は、なんかやらかしたんだろうさ』


 なにか反論しようかと思ったが、何も思いつかない。


 ……相談したのは僕なんだから一応アドバイスとして飲み込んでおこう。


『つーか、その手の話はイブキちゃんのが詳しいんじゃないか?』

『いや、なんかイブキちゃんがいる時に話したら恥ずかしくないですか』

『いや、別に話す内容としては普通だろ』


 ははーん。戦士ナギ、こいつさては現実世界で割とモテるな?


 下手に他人に相談事、特に異性との会話についてなんて、下手すれば学年中で話題になって公開処刑されるのがオチだ。(相手はあの出雲崎 楪だし)


 その点、異性と話すタイミングどころか、友人と話すタイミングさえない僕に死角はない。あれ、涙が出てきた。


 欠伸モーションで寝転がる戦士ナギが、チャットを更新する。


『まぁいろいろ大変なんだろうさ、年頃の女の子は』


 確かに、楪が抱えているであろう苦悩や悩みを、僕は知らない。


 それが想像できないような事情や思慮があっても、不思議なことじゃないのかも。


『まぁ、あくまで一つ可能性として言える事だけど』


 寝ころんだままの戦士ナギのアカウントが、「フ(笑)」とモーションを浮かべる。


『単純に、その女の子がかなり面倒くさいタイプなだけの可能性もあるけどな』


 かなり面倒くさいタイプ。

 なんだか、パズルの最後のピースがハマる様なカチッと妙な説得力。


 

 楪本人が聞いたらどんな目で僕を見てくるか、想像もしたくないので忘れることにしよう。



閲覧ありがとうございます!


★★★★★の評価やブックマーク、コメントなどを頂けると嬉しいです!

モチベーションも爆上がりし、とても執筆の励みになるので是非ともお願いいいたします!


まだまだ続きますので、是非とも本作にお付き合いいただけると幸いです!

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