それで、ドラゴンを撃退したのか?
「それで、ドラゴンを撃退したのか?」
「はっ、それが、地面全体が黄金色に輝きだしまして、アッとゆう間に、その光が天に昇って行ったんです。辺り一帯も光に包み込まれました。その光に触れるとドラゴンたちは精気を吸い取られるようにチリヂリに砕けて吸収されたように見えました」
「その黄金の光はどうなったんだ?」
「はい、どんどん上昇して……、あ、あれがそうです」
隊員の指差す方を見ると、空一面、金色のウロコ雲でどこまでも覆われていた。
「「「あれが金龍神!?」」」
そこにいるみんなが天を仰いで、感嘆の声を上げる中、瀬戸だけがスマホを弄っていたのだ。
「なぜ、今までと違って、英霊たちが姿を現し、その力を増したのかわかったわよ」
そう云って、瀬戸は二〇分前のニュースの録画だとスマホの画面を俺たちに向けた。
そこには少し前まで、スメラミコトになることを国民から熱望されながら、現スメラミコトが,前スメラミコトと同じように現皇嗣に譲位することを発表した途端、自らマスコミから姿を消して、話題に上らなくなった皇女がいた。
「日ノ本の国は宇宙から来た侵略者に対して戦を宣す。全軍、全力を極めて侵略者と交戦のことに従うべき。願わくば、危急に瀕し日ノ本国が侵迫せられるとなす今、忠勇勇武なる歴戦の英霊たちを頼みにして、力を得ることを期す。
詔勅をもって宣言する。不退転の覚悟を持って出撃せよ」
※詔勅とは、大和言葉で天皇のお言葉を宣るという意味
力強い宣言のBGMには開戸兄が歌う「出征兵士を送る歌」が流れている。
彼女自身には鬼法を操る能力はない。だけど、その強い思いが暗黒粒子の一部となっている英霊たちに伝わったのだ。
まさに詔勅による召集令状は、英霊の魂を震わせたのだ。
日ノ本憲法には宣戦布告については規定されていない。過去の日ノ本帝国憲法においてはスメラミコトだけが持つ権限である。
それに則って、その皇女が自らスメラミコトとなる決意をして、宣戦布告をしたってことか? この戦いの犠牲も損害もすべての責任を負う覚悟を決めたということだ。侵略者を退けたとしても、それで終わりではないというのに……。
真の統治者だと素直に思う。
「このニュースは二〇分前に、全国民に向かって放送されたみたい。それこそ、テレビだけじゃなく、ラジオも、それにSNSも……。私たちに英霊たちがはっきり見えたのは、ちょうどそのころじゃない」
「大したもんや、生まれた時から日ノ本のスメラミコトになるべき心得をちゃんと教育されてんねんな」
「まったく、彼女のおかげで、助かったね」
瀬戸、根戸それに開戸がそれぞれ同じ女性として誇らしそうに讃えている。
「どうやら、彼女が即位したみたい。皇嗣一家が継承を辞退した途端、千載一遇のチャンス、二度と継承を蒸し返さないように、すぐさま宮内庁も動いたみたいね。宮内庁も色々と我慢が限界だったんでしょ。私たちアナウンサーも、十年前の娘の結婚以来、報道規制された大本営だって、不満に感じていたしね」
そのニュースを見て、花形アナウンサーも、俺たちに清々した表情で言ったのだ。
そう云えば、あんた、居たんだ?!
新たなスメラミコトの即位は熱狂的に受け入れられたみたいだ。
もし、彼女の詔勅がなければ、俺たちもあの四天王に勝てたかどうか。それに金龍神を封印から解放出来たかどうか?
「こ、これが金龍神?! なんて巨大で美しいんや!!」
今度、声を上げたのは吹戸だ。そして、スマホの画面を俺たちに向けた。
スマホの画面に映るのは衛星画像だ。これは日ノ本上空の画像か? 日ノ本の上空は日ノ本列島とほぼ同等の大きさの金色の龍体がうねっている。その姿は躍動感に溢れ、無双感が半端じゃない。
その姿は鎌首を上げ、巨大円盤の方に向かって、光り輝くブレスを吐いている。大気圏に留まっている母船の下部から熱線が発射されたが、その熱線ごとブレスに飲み込まれ、巨大円盤型母船は大爆発を起こした。さらに、金龍神の巨大なしっぽが円盤型母船に振り落とされ、吹き飛ばされ円盤同士が衝突して大爆発を起こしている。
ここまで高度が上がると、下から見ている俺たちにも概要が見えてくる。金龍神自身が落雷を纏い、雷鳴と共に四方八方に稲妻が走しり、その先にある敵戦闘機や爆撃機に直撃して大爆発を起こした。
全体像をとらえきれないその姿は、その巨体を悠々と上下にくねらしながら、太平洋の方に泳いでいく。衛星画像を見るに、どうやら、大気圏まで昇り切った金龍神は、地球の周りを衛星のように周りだした。
各国の大都市上に待機している巨大円盤型母船や、そこから発進した爆撃機や戦闘機を撃墜し始めた。
そんな現状を確認している俺たちに向かって、ここまで運んできてくれたヘリコブターが上空にやってきて、上空でホバリングを始めるとロープが降ろされた。
それは俺たち神籠石遺跡の場所だけでなく、谷底にも降ろされていく。そこを見ると、この場所での攻防で落ちた人がロープにつかまり引き上げられているのだ。谷底には戦闘ヘリが墜落しているのも見えた。そこから手を振る自衛隊員がいるのだ。
この高さから落ちても死なないんだ?! 第一空挺団の不死身伝説は本当だった。
まあ、色々と驚かされながら、この「速佐須良神社奪還作戦」に参加した俺たち六人と花形さんとカメラマン、自衛隊の空挺部隊四〇名は誰一人欠けることなく、いや、戦闘ヘリが一機、損失が出たようだが……。俺たちは五台の多目的ヘリと戦闘ヘリ一台が編隊を組みながら、八尾自営隊駐屯地に帰還したのだ。
帰りのBGMは軍歌『愛国行進曲』だ。この歌の通り、八紘一宇「天下をひとつの家と見立てて」正義の平和打ち建ててほしい。その道のりは遥か彼方なんだろけど……。
軍歌こそ後世に語り継いでほしい文化だと思う。軍歌には、今の日ノ本が失った大事な何かがあると思う。
俺は教育者で、決して右翼主義者じゃないんだけどな……。命令一つに命を懸けるまだら模様に囲まれて切に感じてしまう。
まあ、風呂にゆっくり入って平和をしみじみ感じたいとこだな。俺の脳内は「いい湯だな」が流れていた。
◇ ◇ ◇
ここまで読んで頂きありがとうございます。
「出兵兵士を送る歌」は元気をもらえる軍歌です。通勤時間にカーステレオで聞いています。
「愛国行進曲」は第二の国家だいう人もいます。軍歌を超えて、日本のすばらしさを称えています。




