そして、五〇メートル先を行く斥候が
そして、五〇メートル先を行く斥候が曲がり角で立ち止まりハンドサイン。この先はかなり広い広場のようだ。その数百メートル以上先に、巨大台座に突き刺さった凍った竹のクサビを発見したようだ。
第一小隊がその広場に突入した。何なんだこの人たちは?!命知らずですか?!
予想通り、いきなり、炎の弾丸がぶち込まれた。
「火ふせ!! かんばほむら!!!!」
もちろん、俺も突入に合わせて瞬時に動いて、複数の障壁と炎に炎をぶつけて相殺する。それと同時に、俺たちと一緒にいた第二小隊も広場になだれ込む。第二小隊には炎が放たれた反対側から石の矢じりが襲い掛かる。
飛び込んだと同時に、地面に伏せ、小銃の標準を石矢じりを放つ方に向けていた。
その銃口の先にいたのは、アヌンナキそのもの。あらゆる属性を使い自然を思いのままに扱う神そのものの存在。
この場は巨大な台座を頂点にした五芒星の戦場。台座を除く4つの頂点には巨大な竹節が鎮座している。
「あれは、ルガルパンダの首を引きちぎり、王城で兵士たちを皆殺しにしたアヌンナキたち!!」
一緒に突入した瀬戸が怯えながら声を上げた。瀬戸が最初にサイコメトリーした内容がウル王国の壊滅だった。奴らは「ニビル四天王」と呼ばれるアヌンナキの中でも最強の鬼法の使い手。それに唯一の対抗手段である軍歌は「軍艦行進曲」に変わっている。
この曲は函館恵山の第五チャクラで、初めて軍歌のBGMで戦った曲だ。
瀬戸といい開戸兄といい、初心に返られてくれる。力以上の力を引き出す。何よりこんな理不尽に立ち向かう気持ちにさせてくれる。
『眞鐵の鐵梃、日ノ本の仇なす敵を攻よかし』
軍歌だけじゃない。俺の手元のバールもアヌンナキには有効だったんだ。
「形代!!!! 龍爪!!!!」
俺のバールを意識して、隊長たちが持っていたバールに俺の持つバールの力をコピーした。あとは隊長さんたち次第。身体能力は元々人類最強だ。
俺は火のアンヌナキに対抗する第一小隊、土のアヌンナキに挑む第二小隊を信じて、俺は氷結竹クサビへと走り出した。
わずかな空気の震えをほほに感じて、足からスライディング。ゼミ生を背に空気の震えを感じた方を伺った。
「ほおっ、我の一撃を躱すとは。下等動物にしてはやるの!!」
地の底から響く声の主は、六本の腕に風を纏いながら剣と弓矢そして、槍を持って姿を現した。
「風のアヌンナキ?!」
「いかにも、この封印を守るアヌンナキはニビル四天王よ。水、火、土、そしてわしが風、お前らが封印を解くことなど万が一にもないぞ!!」
風の矢をつがえたかと思うとその矢は放った。風の矢は数十にも別れ、その速度を増した。
「ひふせ!! とばり!! お前らは絶対に許さない!!」
ゼミ生の方に障壁を飛ばし、俺は矢とは反対の方に走りだす。俺の予想外の行動に面食らったアヌンナキに一斉射撃が襲い掛かる。第三小隊が俺たちに追いついたことを察知して、自衛隊が十全に戦えるように、この五芒星の至るとことに、障壁や散兵壕を鬼法で配置したのだ。もちろん、俺の背を追うゼミ生たちには、金龍の加護に加えて、俺も障壁を三重に張っている。
そして、俺の向かった先は濃い霧に覆われていた。
「のわきはぜ(エアーバースト)!!」
風鬼法で霧を吹き飛ばすと、そこには別のアヌンナキがいた。そして気が付くと、足元はぬかるみ、底なし沼のように足が捕われた。
「飛び浮石!!」
咄嗟に足場に空気の塊で足場を作り、アヌンナキから距離を取る。
よし、計算通り。ここに残ったアヌンナキは水鬼法の使い手。
俺は陸自最強の空挺部隊のために、この広場に土鬼法で散兵壕を展開し、縦横無尽に塹壕線を伸ばし、塹壕地帯を作り上げた。しかし、この塹壕の最大の敵は雨水そして毒だと言われている。だからこそ、俺が水鬼法の使い手を相手にするという作戦をとったのだ。
アヌンナキの鬼法が俺を襲う。水流の爆撃、うたかた、さらに毒もか?!
「みまり(アクアボール)!! みずねはぜ(アクアブロージョン)!!」
鬼法で対抗しながら、バールで攻撃するが、敵も強化した水槍と水剣で弾き、流し、突いてくる。俺も右脇腹と左肩それにほほに槍と剣をかすらせている。その場所が熱を持ち、肉が毒でぐずぐずと崩れてくるのが分かるのだ。
この水に毒を含ませてやがる。第二次大戦の塹壕戦に大きな戦果を挙げたのは毒ガスだ。そこまで予測して俺が相手をしたのに……。
周りはどうなってるんだ? 第四部隊の逐次投入はあるのか?
そんな気弱になるほど、相手は戦い慣れていた。それに気が付けば、入り口で時間を合わせたヴィチューブの軍歌メドレーは止まっていた。
誰だよ。稼ごうとしてCMを入れた奴は?!
ヤバい。デバフ効果が切れている中、あいつの本気の攻撃が来る!! 身構える俺の目に巨大で厚い水の壁が迫る。これは毒を含んだ津波だ。土堤があっと言う間に決壊する。




